Sparkling* 光ってるのどうする?

こんにちは、ウトです。こちらは 以前のBittersweet in NZ の続きです。主に、NZ暮らしでの体験や思いを言葉にして発したくなると綴る私感ブログです。

犬くん、灰になって帰ってきた。

特に頼んではいないけど、夫のブリティッシュジョークは毎日繰り出される。
 
いつにも増して炸裂し、娘がそれを打ち返す。
 

 

家族全員が悲しい。
けど、犬くんの世話を一番していた私の悲しみようが深かったから、
みんなが底無し沼から、おかあさんを引き上げようとする。
 
 
火葬にすることにしたので「遺灰が届いたら電話する。」と獣医さん。
 
2〜3日で連絡は来ると思ってたけど、なかなか来ない。忘れてんじゃないだろうか。
 
いつもの獣医さんにも、入れてた予約のキャンセルと報告をしないといけない。
これがもう、しんどかった。
とても電話なんかできないからメールを書くけど、泣いて泣いて書ききれない。
 
そのままにしておいてある犬くんのあちこちの居場所は、
いなくなってから3日すると、ベッドもクッションも毛布も匂いが薄くなってきた。
 
いやだいやだ、そんなに早く消えないで。
 
そうしてくんくんしていると
6日目には、ぶわっと強い犬くんの匂いが戻ってきた。ああ、よかった。
 
そうしたらその夜、救急獣医から「取りに来てください」と電話が来た。やっと来た。
待ってたよ。
救急獣医院は夜に開くので、電話も夜に来るのです。
 

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遺灰の入った箱は、思ってたより大きかった。
そして箱は開けられない。なんでだなんで中見られないんじゃ。
 
ネジで閉めてあるので、お母さんの強い希望により今度慎重に中を確認するつもりです。
 
うちには日本から分けて持ってきた、父ちゃんの遺骨も家族みんなを見守るように祀ってある。
今は犬くんは本人のベットの上だけど、そのうち一緒に父ちゃんと並んで仲良く見守ってもらうことになっている。
 
父の遺骨を祀ってて「ほら、あちらに」なんて言うと、うちに来た人の中にはギョギョッとする人もいて面白い。だからわざと真顔で話す。
 
私は宗教を持たないけれど、先祖はみんながある島の出身で、神道系で育った。
子供の時にその島に行った時には、母に連れられて、砂浜だったような気がするんだけど
亡くなった先祖の骨を掘り起こして、海水やお酒で洗って清めるという儀式について行きました。
そこにいた親戚同様に、母も遺骨の主(多分おばちゃん)を慈しむようにオンオン泣いていて。
みんなで骨をきれいにして骨壺に納めていくのです。洗骨・改葬儀礼というらしい。
そういう風に育っていたこともあって、亡くなった大切な人とかの骨がそばにあることは、精神的にとても自然なことなのですよね。
魂だけになって、つらさや痛みから解放されただろうから、安心して話しかけることができる。
 
それに、私はその島で生まれ育ってないのに、ヤーナー(家名・童名)をもらっていました。
 
「ムチャ」
 
他の兄弟には無かったので、多分私は、長子(父)の長子だからでは?と推測してます。
親や親戚から聞いてた話によると、生まれてすぐ本名がまだ決まってない間に、悪い霊に名前をつけられないように、ヤーナーをつけるって言っていたと思います。今度じいちゃんに読みなさいよってもらってた、島の習俗の本でも一度チェックしとかないといけないな。
 
ちなみに「ウト」っていうのは、遠い昔のばあちゃんの名前からもらいましたが、ヤーナーには「ウトゥ」っていうのがあるので、本当はウトゥだったかも。
父ちゃん渾身の家系図では「ウト」だったしそれを使ったけれど。
以前、別の名前がほしいなと思って家系図を見た時に「あ、こっちの世界に来たそうにしてるな」と感じたのが「ウト」ばあちゃんだったのですね。
 
 
イーストウィンドの多くの被害者達が、自分で立ち上がれずに泣き寝入りしそうになってるのを奮起させ続けて無力感に押しつぶされそうになっていた間も
犬くんはずっとそばにいてくれた。背中から黒い炎がゆらゆら出ていた間も。
 
犬くんがずっとそばにいて、私の正気を保ってくれていた。
 
だから彼がいなくなったからといって、正気を保てなくなったらみっともない。
 

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彼がいてくれたことで、学んだことがたくさんあった。
 
怖がりな子だったから、彼の揺るぎない信頼を得るために
圧倒的な安心感をもつにはどうしたらいいか?
「ママがいれば大丈夫」って思ってもらうにはどうしたらいいのか?
人間じゃない家族の犬くんから教わったことは、大切な宝ものだ。
 
悲しみすぎてたら、犬くんが心配しちゃう。
 

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夕焼けを眺めながら、庭で夫とゆったり飲んでいた。
いつもは、犬くんがそばにいるか、「投げて」とボールを持ってくるのに、もういないことを突きつけられて二人共しんどい。逝くの早すぎるよ。
 
夫が庭を眺めながら言う。
 
「あのこと(死)があったけど、あの子の魂はこの庭を駆け回っているし、止まらないよ。」
 
本当にその通りだ。
 
だって今日は全然別の場所で、もわっと匂いがしてね。今日はここにいたんだ、おもしろい子だね。
 
何年経っても2〜3歳の男の子みたいで、いつも私のことを目で追ってくれてたね。
 
いっぱい愛して、いっぱい愛をもらったね。
 
ありがとうね。
 
旅立つたった数日前の最後の散歩では
新しい横道を見つけたから、2時間以上散歩したよね。
なのにもっと歩こうとしてたよね。
 
 
みんなが本当に淋しくてしょうがない。
 
 
犬くんとたくさんドライブした道を、平常心で進んで行けるように。
散歩しながら聴いてた音楽を、泣かないで聴けるように。
 
無理せずゆっくりと、そのうちに。
 

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