Sparkling* 光ってるのどうする?

こんにちは、ウトです。こちらは 以前のBittersweet in NZ の続きです。主に、NZ暮らしでの体験や思いを言葉にして発したくなると綴る私感ブログです。

「がん」かもしれないと言われて感じてたこと。(4)いよいよ手術

ちょっと書き残しておこうと思っただけなのに、つい長くなってしまう......
自分の頭の中(+心)の整理にもなってるので、読んでくださってる方にはもう少しおつきあいしてもらえるとうれしいです。
 
<Hysterectomy 子宮摘出術について心の準備>
もし子宮全摘出するとなると、開腹手術膣式子宮全摘術腹腔鏡下手術とがあるらしい。
 

 

*回復期間:開腹手術6〜8週
 
*回復期間:膣式4〜6週 
 
体調が回復するまで、開腹手術で6〜8週間、膣式でも4〜6週間かかるそうな。
腹腔鏡下手術もおんなじくらいかな?開腹やだな〜。
開腹以外になりますように、お祈りしておく。
 
***
 
お医者さん達から、「子宮体がんがあるかもしれない」「その場合は子宮を取らないといけないかもしれない」と言われるたびに、取ってもいいです、って迷わず即断即答した。
子宮がなくなることよりも、術後の痛みとか回復のことのほうが気がかりだったから。私が動けなくても、家庭がうまく回していかせられるか?ごはんは?犬の毎日の散歩は?
 
<突然「ホヤ熱」>
 
ちょっと遡って、順調な月経周期から、突然の大出血が始まる直前のこと。
 
突然やってきた衝動。「ホヤに惚れた。」
 
ホヤって、これじゃなくて。植物のほうの、ホヤのことね。

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ぽってり丸い葉がかわいい Hoya “Obovata”  ホヤ オボバタ
日本に比べてNZでは入手できる種類がとても少ないんだけど、観葉植物が好きで。
 
でも、ホヤは持ってなかった。
 
それは数年前に、ホヤ・セルペンスを多肉植物と勘違いして、多肉と同じかと思ってて枯らしちゃったことがあったから。両方葉に厚みがあるから似てるのね。
 
「ホヤは、好きになるとはまる」ってよく言われている。Hooked on Hoya とか  Obsessed with Hoya って。
 
なんでみんなそんなにはまるのかな?つい気になって調べてみると
「蝋細工のようなユニークな花が咲いて、甘い香り」がするらしい。
 
「甘い香り」ってどんなんだろう?
 

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うちのママ・サンスベリア
想像して浮かんできたのは、うちのサンスベリア。
このママ・サンスベリアは時々、とってもさわやかで優しい香りのする花をそっと咲かせてくれる。咲くとうれしいのに写真も撮ってないけど。でもすごくいい香りなの。
で、ホヤの花の香りは?
想像したら火がついた。爆発的にほしい。
 
そうやって「私のホヤ探し」に夢中のまま、大出血が始まり、子宮温存の危機に突入した。
 
これまでの人生で、とてつもなく植物育てに夢中になるのは、これで2度目。
1度目は日本で。2人の男の子の子育てで、てんてこまいになってくたびれていた頃。あんなにクタクタだったけど、思い出すとなんて愛おしいんでしょう。
あの頃は、すでに2人の男の子に恵まれていて。しかも次男は2回流産して不育症かも、と悩んだ後に授かった子。なので2人とも可愛くてしょうがなかった。だけどとにかくもう、元気でやんちゃで、毎日毎日休みなくおしりを追いかけて、とにかく体がクタクタに疲れていた。しかも夜中の授乳で何年も細切れ睡眠だったから、しっかり休めてなかったのもあるかもしれない。
 
それでたまたま、ふと緑や花にふれると、不思議と心が安らいで。なんてきれいなんだろう。それでコンテナガーデニングを始めるように。作業は増えたけど、花びらに触れてるとうれしかった。
 
これは私の場合だけど、体力が落ちている(枯渇してる)時って、自然と植物が恋しくなった。無意識に、自然の美しさとか瑞々しさに触れていたい気持ちが湧いてくるんじゃないだろうか?
 
<いよいよ子宮内膜組織検査&子宮内膜全面掻爬術>
 
手術を待ってるまで、薬を飲みながら+気合で出血を止めながら、
 
「ガンがもしひどかったら」という不安も時々浮かんではくるけど
それより私は「マイ・ホヤ探し」に夢中で、ワクワクのほうが心を占めてくれてた。

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家に葉っぱが多すぎると厳しい娘も好きな、ヒンドゥーロープ。Hoya carnosa compacta “Hindu Rope”
お迎えしたホヤ達に、うれしくて。
ワクワクしてる中で、子宮内膜組織検査&子宮内膜全面掻爬術の日がやってきた。
 
*当日の朝*
 
指示された通り、前日の夜からちゃんと絶食しておきます。
 
子供のお弁当作りと送り出しもできた。病院行く前に、シャワーも入っておく。
 
犬くんはママに何かがあるのを察知しているから、早朝からずっとソワソワしてる。
 
そして朝のうちに、夫が車で病院へ連れて行ってくれた。
 
手術前はフツーに身長体重血圧計って、手術服に着替えて、荷物は全部でっかい紙袋に入れる。
ナースから説明を受けたりして準備。
 
夫は帰るきっかけをつかめず。でも後で説明する手間が省けるので、そのまま一緒にいてもらう。
 
私は待ちに待った手術前でワクワク高揚気味なのに、夫の方が心配と緊張で顔色が悪い。かわいそうに。だいじょぶか?夫。
 
手術後に休むベッドに通されて待ってる間に、手術担当のお医者さんが来て、手術の説明と確認をしてくれた。
 
今日執刀する手術が次々入ってるそうで忙しそうな、ちゃきちゃきした感じのアジア系の女性医師。
 
全身麻酔をして、増殖した子宮内膜を除去して、組織の診断をするんだけど、
たくさん質問確認された中で、印象的なのを書いておきます。
 
女医「子宮内膜増殖症」が『異形』か「子宮体がん」の場合は、子宮を摘出するのがいいけど、どうする?」「3人子供いるのね......もう産まないよね?」
 
 「もう3人いるので、取っちゃっていいです。ほしくなったら、次は夫に産んでもらいます。」
 
女医「ミレーナはどうする?」
 
私 「.....ミレーナ?誰でしょう?」
 
女医「ミレーナ知らないの!?」
 
*ミレーナとは、子宮内に装着する小さなT字型の避妊具だそうで、3cmほどの大きさ。黄体ホルモンが継続して出るので、子宮内膜を薄く保つことができて、過多月経を防げるらしい。5〜7年入れっぱなしでいいし、黄体ホルモンが、ピルだと血液中に入るけど、ミレーナは子宮内のみ局所的に作用するので、副反応も少ないとのこと。経産婦や、近い将来妊娠を望んでない人が使用可能。
 
女医「とりあえずミレーナ入れといて、後で検査結果で子宮摘出することになったら一緒に取ればいいんじゃない?」
 
「..... いいですね! ぜひお願いします。」 夫も横でうなずく。
 
それから、取り出した体の一部で検査に必要がないものを体内に戻すかどうかの確認も。どうやらNZは多民族国家なので、毛一本でも自分の体のものだから全て戻せるものは体に戻すことを希望する人もいるらしいのですね。だからちゃんと確認しないといけないんですって。私はいらないけど。
 
 
女性医師が去って、今度は男性医師がやってきた。
 
男医「僕は、手術で判ったことがあったら隠さずに話すからね。」
 
 「そうしてください。そのために今日来てるので。」
 
どうやら、手術担当してくれるメインのお医者さん達がそれぞれ「説明と確認」しに来てくれるらしい。子宮鏡で観察して判ったことを、手術後麻酔でぼんやりする私以外に、夫にも伝えていいかどうかの確認もしていた。
 
 
彼の後には、麻酔科医が来た。
 
過去に薬剤でアレルギーを起こしたことがあるかなどの確認と、再度手術の説明。
患者自身が手術内容を理解してるかどうかと誤解がないように、しっかり確認してるみたい。
 
なんだか楽しい人で「じゃあ、今日自分が受ける手術内容を、自分の言葉でいいから説明してみて。」と言われて、追加したミレーナ挿入も含めて伝えた。じゃ後でね、と去って行く。
 
 
足寒いから、夫に毛布かけてもらってると、ナースが来て、手術室まで歩いて行くことに。ここまでギリギリいた夫は、帰宅。
 
「さっき彼が毛布かけてるの見てて、甲斐甲斐しくてほっこりしたわ〜。」とナース。おや?なんかいい夫に見られてるぞ。
 
いよいよ感に満ちて、手術室まで一緒に歩いてく。
 
「自分のどこが悪いのかやっとわかるから今日は清々しい気分だけど、夫の方がショックを受けててすごく心配してて.....」
 
ナース「うちも同じだったよ。私も同じ手術したんけど、自分よりパートナーの方がすごい心配しててね。」
 
 
そして手術室に入る。
 
バーン!
 
扉が開くと、広〜くて大手術するような器械がいっぱいあって、ビビる!なんかドラマにあるような所だ。
 
オドロキを素直に表現してると、ベット上に横になるよう促される。
たぶん心拍心電図を測るやつを、テキパキと体にペタペタ貼られながら自己紹介。
 
さっきの楽しい麻酔科医が来て、なんか注射しながら(多分麻酔)また。
「今日受ける手術を自分の言葉で言ってみて。」
 
え?まだ手術室の仰々しさに圧倒されてるのに、気を取り直してギュッと考える。
 
「子宮内膜が異常に厚くなってたので、子宮鏡検査と内膜組織を掻き取って......」くらいまでは言えてたような。
 
 
*****
 
 
「ハ〜イ〇〇、手術無事に終わったよ〜」
 
その声で、ボーッとしたまま目が覚める。
 
ちょっと寝てただけなのに、事済んじゃった感じ。あっという間だった。ありがとーーー!
 
紅茶と卵サンドまで、持ってきてくれた。自分が用意しない食事のなんて美味しいことか。
ありがとー!ありがとうが止まらない。
 
ゆっくり味わっていると、さっきの隠さない男性医師がやって来た。
 
男医「ハイ、具合はどう?」
 
 「ものすごくボーッとしてるけど大丈夫です。」
 
男医「そうだよね〜。だから隠さずに簡潔に話すね。さっき子宮鏡検査で直接観察したんだけど。......見た感じだと子宮内膜増殖症の異型か、ガンの可能性が強いと思う。もちろん組織検査の結果が出ないと確定はできないんだけど。もう君の旦那さんには、さっき電話で詳しく伝えたよ。」
「ごめんね、一番いい報告ができたら良かったんだけど。」
 
私 「大丈夫です。わかりました。」
 
男医「組織検査の結果で悪性病変があれば、子宮摘出についても考えていく必要があるから、1〜2週間後に結果が出たら連絡するね。」
 
ボーッとしてても、コロナの予防接種を受けていいかどうかは確認できた。
 
そして真実の医師は、申し訳なさそうにして去っていった。
 
(つづく)