Bittersweet in NZ

ウトです。もっとみんなが暮らしやすい国づくりに参加したくて、NZ労働党メンバー・多文化メンバーをしている普通のお母さんです。*政治を考える=生活基盤をつくること*NZの大学で英語講師をするイギリス人夫を支えながら思うこと * 後半期に入ったNZでの3人の子育て*元日本人雇用主の永住権取得と同時に不当解雇されて闘ったこと*子供の聴覚情報処理障害(APD)の改善チャレンジなど、個人的意見と体験を書いています。(the) MelvinsとSleepとHigh on Fireを聴きながら。

息子とAPD12。息子のチャレンジは、続く。

f:id:uto87:20191229181553j:plain

息子の盟友。


あっという間に11月が過ぎて、12月も終わりです。
 
 
思春期やお年頃の子供がいるNZ生活で、
10月〜12月というのは、いくつもの課題や試験が続き、
進路を考える時期でもあるので
 
子供(と親も)ピリピリしてるおうちも、あったのではないでしょうか。
 
わが家はそうでした…(苦笑)
 
***
 
2年前のちょうどこの時期。
 
息子のひどい中耳炎で、手術後3年以上難聴に悩まされていて
高校生活あと残り1年、という時。
 
モヤモヤしている中で
息子に、APD(Auditory Processing Disorder、またはCAPD, Central Auditory Processing Disorder ) 
聴覚情報処理障害の診断が下りました。
 
ハッキリしたから、スッキリした。
 
だけど学校や国からはサポートが受けられないことがわかって、
途方に暮れながらも血眼になって、必死に解決策を探っていました。
 
1年前のこの時期は。
専門機関と学校の協力で、障害の症状を軽減するためのトレーニングを続けて
高校最後の学力試験に臨んだ。
結果次第で、彼の進みたい進路を選べるかどうか?の大事な試験。
 
そして今年のこの時期は、次のステップへ進めるかどうかの試験。
 
 
2年前には、日本語でAPDを検索してもあまり出てこなかったけど
最近では日本でも知られるようになってきたのか、
調べられるようになってきてますね。
よかったです(^^)
 
この2年はあっという間に過ぎたのだけれど、ここまで来れたのかと思うと
感慨深い。。。
 
このブログでは、聴覚情報処理障害のこともアクセスが多くあるので、
この1年を振り返って、アップデートしますね。
 
***
 
2年前に、聴覚情報処理障害の診断が下りた時
勉強の努力がなかなか結果に結びつかず、落ち込み悩んでいた息子。
 
NZの高校では、NCEAという全国統一の高校教育認定資格を取得しますが
一つの教科でいくつもある試験で
結果のとても良いのと悪いのの差が大きかったんです。
 
勉強の心配もあるけれど、APDのことを知った母親の私は
息子が例えば、肉体労働の仕事をやるかもしれないのに
「現場で指示がちゃんと聴こえてなくて、事故に遭ったらどうしよう!!!」と
大怪我の可能性の方を、ものすごく心配していました。
 
それで診断が下りてから、ものすごくジタバタしたおかげで
訓練を1年がんばる事ができました。
高校卒業時には、進みたい進路の大学入学資格もクリア。
 
そして高校卒業時に、案の定「肉体労働の仕事」の話がきました。
武道の有段者として、道場で先輩として後輩を指導している息子を知る人からの
お誘いでした。
なので、大学生活資金を貯めようとその仕事のために、進学を遅らせて。
上の兄ちゃんも仲良く一緒に、力仕事でいい汗をかいていました。
私の心配だった「聴こえてないから、大怪我」もありませんでした。
 
その仕事場では、南アフリカ人・NZ人・イギリス人がほとんどで、
アジア系はうちの子達だけだったのですが
 
ある日息子が
トマティスとか補聴器(遠隔マイク補聴器)のトレーニングやって、
本当によかったよ〜」
嬉々として仕事から帰ってきました。
 
トレーニングのおかげで、仕事場の人たちの「ビミョ〜な」ジョークが
よく聴こえるようになって
ものすごい笑えて、面白かったそうなのです。
 
トレーニング効果を勉強の成果で、というよりは「周りの人との日々の会話」から
本人は実感していたようです。
 
ちなみに「勉強の方は?」と聞くと
 
トレーニングしてから、先生の授業にコミットするようになったけど
それは自分にAPDがあるって分かってから、精神的に変わったり
自分に効果ありそうな勉強方法に変えたりしたから
「トレーニングだけで、勉強ができるようになった」のかは、わからない
 
のだそうです。。。
 
でも、トマティス遠隔マイク補聴器の聴力トレーニングを始めたおかげで
彼の意識が変わったことは、事実なのでしょう。
「このままだと、ヤバイぞ。」と。
 
その仕事場の人達は、本当にいい人ばかりで。
30歳代で子供が生まれたばかりのあるマオリの先輩が、
「数年後に、お前がここで働いてるのを見つけたら、ブッ飛ばすからな!」と
進学予定の息子を、激励してくれたそうです。
 
息子達にとって、とてもいい経験でした。
 
*****
 
 
<トマティストレーニングの流れ(息子の場合)>
 
 
 
トマティストレーニングでは、通常は3〜4回のセッション
 
…..なんですが、息子は今年も続けてやっていて、数えたら、計8セッション
 
トマティスの先生によると、息子は中耳炎からAPDにかかった可能性が高いので
トレーニングの成果が出るのに通常より時間がかかっていたのだそうです。
 
私は先生と仲良くなっていて、大学の勉強の心配をよく話していました。
息子がトレーニングを真面目に文句も言わずやっていたこともあって
先生のご厚意で、結局、8セッションも続けてくれたのでした。
 
大学の授業では、(女子のおしゃべりで聴きづらい時などに)
遠隔マイク補聴器をつけた方が理解しやすいそうで
サッとメガネをかけるくらいの気軽さで使っているそうです。
遠隔マイク補聴器をつけていると、脳の聴力トレーニングになります。
 
もし、これらの脳と聴力のトレーニングをしていなくても
もしかしたら「ちょっと見づらいから、メガネかけようかな?」くらいの不自由さで
暮らしていけたのかな?と、ふと思う時もあります。
 
でもAPDは、例えば他の発達障害のように
人とのコミュニケーションが苦手さが表に出るというよりも
聴こえてなくて理解ができないことが、他人にわかりづらいので
劣等感が心の中に閉じこもりがちになる、ということがあるんじゃないでしょうか?
 
これは、APDや学習障害(LD)のある子の親御さん達(NZ人・ヨーロピアン)も、
あるあるって同意していました。
成人男性でも苦手なのを必死に隠そうとする人が結構いるよ、とも。
 
明るい息子が、APDがあることについて、ハッキリと
「オレがバカだと思われる。」と辛そうに呟いたのは、これまでに2度ありました。
 
***

f:id:uto87:20180329101455j:plain

遠隔マイク補聴器(Remote Microphone Hearing Aids “RMHA”)。もう必要がなくなったら、今度は誰かのために寄付するつもりです。
<APDのあった息子の現在>
 
脳と聴力トレーニングをして、2年ほどが経ちました。
 
現在の息子はどうなったのか?というと
彼に、聴力障害があると思う人はなかなかいないと思います。
それくらい、人にはわからないです。
 
それ以上に、息子本人が、
 
APDの症状である
  • 何度も聞き直す
  • 背景の音があると、話が聴き取りづらい。
  • 言われたことを間違って理解している。
  • 聞いたことを覚える「ワーキングメモリー」が弱い
  • 計画を立てる、プランニングが苦手
 
ということを
日々の生活上、困難に感じることがとても少なくなりました。
 
劣等感が小さくなって、あるがままの自分を受け入れて
いろんなことにチャレンジしようとしています。
 
本人はそれを淡々と受け入れているのだけど、
親の方が、その変化にとてもうれしいです。
それは家族から見てもよくわかるほど。
 
普段は、便利なツールや周りに伝えて知ってもらうなどして
自分で工夫しているようです。
 
学校では、APDに理解があるけど
仕事先など社会に出ると「APDだから」という言い訳が
NZでも残念ながらあまり通用しません。知らない人もたくさんいるし。
 
APDだと、「聴いて理解する」ことに人一倍集中するので
脳が、夕方ごろまでにはかなり疲れてきてぐったりして
しっかり睡眠が必要です。
長寝だったのが、少し短くはなってきました。
 
 
APDは、聴き取りが悪いので、注意力散漫に見えるADHDと間違えられやすいし
APDは、読み書きに問題を抱えやすいので、
学習障害(LD)のディスレクシア間違えられやすいです。
 
特に、薬の効かないAPDですが、
ADHDでは薬物療法もあるので、
ADHDと誤診されないように、的確に診断される必要があります。
(息子の場合は、学生だったのでAPDの専門機関と教育心理学医の診断が必要でした。)
 
APDだけではなく、
ディスレクシアなどの学習障害(LD)・自閉症・自閉症スペクトラム(ASD)
・ADHDなどの症状がある場合、トマティスを利用しているようです。
うちのお世話になった先生の受け持つ、
ADHD・LD・ASD(あるいは混合)のある生徒にも、トマティスは使われています。
 
もちろん、このブログで伝えているのは、個人的体験と感想なので
合う合わないは、ご自分達で判断してくださいね。
 
 
*****
 
今はもう
息子とAPDをつなげる必要がなくなった、といえば伝わるでしょうか?
 
「もうAPDを言い訳にできないね。」と笑い合っています。
 
それよりもこれからも続くチャレンジの方が、大事で。
 
自分がチャレンジしたい方向に、これからもチャレンジできそうだということ。
 
それが大きな収穫です。
 
*追記ですが、APDには楽器を演奏するのがいいそうですよ。
専門家の先生たちが言ってました。
そこで息子はバイトで貯めたお金で、気に入った楽器を買っていました。
 
 
息子のチャレンジは、これからも続きます。
 
親もがんばらなくちゃ….