Sparkling* 光ってるのどうする?

こんにちは、ウトです。こちらは 以前のBittersweet in NZ の続きです。主に、NZ暮らしでの体験や思いを言葉にして発したくなると綴る私感ブログです。

息子とAPD1。APD専門医の検査

去年8月半ば。

 

数ヶ月後に17歳になる次男は

オークランドにあるAPD専門の聴覚クリニック、

SoundSkillで朝9時半から聴覚の精密検査を受けました。

www.soundskills.co.nz

 

APDという言葉を初めて聞いてから

私は検査日までたくさん論文や資料で調べていて、質問したいことなど

検査の結果を受け入れる準備を整えてきました。

 

普段の病院関係は、いつも母親の私だけで

夫は付き添いにはほとんどついてきません。私に任せっきりです。

 

でも今回ばかりは、時間がなくて勉強不足だった

夫が専門家に直接説明してほしいと言うので、夫婦そろって行きました。

 

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いざ行ってみると、聴覚士と私たちでヒアリングとコンサルタントが40分ほど。

 

本人がどんな風に困っているか、学校や勉強の様子、これまでのこととか細かくて、

ていねいな質問が続きます。

 

親の方も、子供が未熟児だったか、出産時や小さい頃のトラブルとか兄妹との違いなど細かく聞かれます。

 

なので、夫婦で行ってよかったです。

 

これから検査の予定があるおうちは、親一人じゃなく

一緒に暮らす家族何人か付き添うといいと思いますよ。

 

なんでかと言うと

息子に対して、気なることの視点が夫と私ではやっぱり違うんですね。

 

例えば、

息子の聞き間違いにイライラする夫に対し

私は繰り返したり言い直したりを、のん気に自然にやってしまうから

聞き間違いを問題視する観点が弱いんです。夫に比べると。

 

夫と息子がテレビで映画を見てて

夫はストーリーに集中してるのに、

息子はささやく会話は聞き取りづらいからか

画面のビジュアルに気が向いてしまったり。

 

このヒアリングでは、小さい時から今までの

「あれ?」って言う感覚を思い出す作業が必要だったんですね。息子本人も、親も。

 

その「あれ?」っていう感覚を、聴覚士が細く記録していって

時々それは、こういうことかもしれないですね、と説明してくれたりしました。

 

それが終わってからは、息子だけで聴覚検査が1時間か1時間半ほど。

 

その間、私たちは下の階のカフェで待ちながら、

息子のこれからを心配する会話が続きました。

 

検査では計算や言葉を使ったりして集中しなければならないそうで、

検査を終えた時の息子はちょっと疲れていました。

 

検査後、聴覚士から結果の説明がありました。

正式な検査結果のレポートは2週間後にメールで送られます。

 

  • 明らかに、APDの症状がある。
  • APDによって、ワーキングメモリー(短期記憶の一種。作業記憶)が弱い。
  • 高校で行われる試験での特別措置をNZQAに許可してもらうために、教育心理学者の診断も推奨。
  • 周囲の雑音の中で、聴きたい特定の音を聴き取れない症状が両耳にみられる。この症状が片耳だけにあるとSoundSkills の「両耳分離聴トレーニング」は効果が高いけれど、息子の場合、両耳なので効果が出るのに時間がかかる。
  • 学校での勉強のために、 *遠隔マイク補聴器Remote Microphone Hearing Aid system の使用を強く推奨。

 

*遠隔マイク補聴器:学校で先生がマイクを首から下げて、補聴器がクラスの雑音をシャットアウトして授業を受けられる。

 

 

試しに息子が遠隔マイク補聴器をつけて、聴覚士がマイクをつけて話をしてみると

周りの雑音をカットして聴覚士の声が鮮明に聴こえるそうで、

息子はすごくビックリ!

飛行機のコックピットにいるような感じなのだそうです。

 

試しに騒がしいカフェにも行って、雑音の中で夫がマイクにささやいてみると

かなり離れているのに鮮明に聴こえるので、息子はとても気に入っていました。

 

…..でも

せっかく気に入ったのに、この遠隔マイク補聴器はNZ$5000!

 

 

補聴器自体が$3,767.74(日本円で30万強)。試用してみて効果がなければ返金可能。

補聴器の試用とフィッティングに$1250(日本円で10万強)。返金なし。

 

 

NZ$5000もかかるのです。

 

せっかく本人気に入って、補聴器との相性もいいのに。

 

小さい時からAPDだったら、国からの補助が補聴器代のみ出るけれど(フィッティング代には出ない)

大きくなってから診断されたので、国からの補助は出ないとの事(当時は、教育費を削減しまくったNational政権)。

 

でも、後でわかった事だけどAPDというのは

成長するに従って、勉強などで使う言葉が複雑になってくると

小さな時には見逃されてしまったAPDが発見される事が多い障害なんだそうです。

 
障害がわかっても、「自費でみんなどうにかしてくださいよ。」って国は言ってるわけです。
 

だからうちの子おかしいな?と思っても

検査や治療を受けさせてあげられないままになっている子供達が、多いのだそうです。

 

そんな高額な出費(40万円以上)簡単には出せない、と夫が言うと

聴覚士も「そう言う家庭がほとんどで、この補聴器を使う子はあんまりいないんですよ。でもたまに中古品が寄付されることがあるので、それだとフィッティング代だけで済むから、それを待ってみましょうか?」と。

 

フィッティング代だけでもって、まだ10万するけど…

 

今後はこのクリニックの教育カウンセラーと、話し合いを続けることになりました。

 

 

検査結果のレポートは、2週間と言っていたけど、

聴覚士さんは、ありがたいことに急いで高校に報告するため

10日で送ってくれました。

 

 

それでも、このクリニックでの両耳分離聴トレーニングでは、

効果が出るのに息子には時間がかかってしまうので

 

高くても時間がないからできる事を早く、補聴器を使いたいと思う私と、渋る夫。

 

「お金がかかっても未来のある子のために、できる限りの事をしなさい」と

日本で孫を心配するじーちゃんばーちゃんの電話口向こうで
焦る気持ちを重々感じて
 
悩みながらも、
聴覚士にもらった教育心理学者のリストに片っ端からコンタクトを取り、
突破口を探す母なのでした。

 

 

 

 

 

 

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ニュージーランドの誇らしい女性たち、 男性たち。

先日、NZのアーダーン首相が、

現在妊娠中で

6月に出産予定という発表がされました。

 

おめでとう!わーい!(^^)

 

ニュージーランドでは、去年10月にLabour(労働党)主導の政権となって

Labour党首のJacinda Ardern(ジャシンダ・アーダーン)が 首相になりました。  

 

妊娠の発表されたその日は金曜日で、

多くの報道陣に囲まれてジャシンダと旦那さんのクラークが

家の前で ニコニコインタビューに答えていました。

 

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ニコニコだけど、産後はフルタイムで赤ちゃんの世話をするという

クラークの方が、来たる責任を感じてか、非常に緊張していましたね。

 

いやいやあなたの周りには、

たくさんサポートしてくれる親切な人がいっぱいいるから大丈夫だよ。

 

それで、我が家には Labour党から いろんな知らせが来るのですが

その発表した金曜日の夜にも、

ジャシンダ本人から妊娠の報告が送られてきました。

 

報道各社への対応が大変だったのだから、もうゆっくり休めばいいのに。

 

ちゃんと送ってくるということが、この人は本当に律儀なんだよなあ。

 

緊迫した選挙戦を終えてほっとした頃にわかった

予期せぬ妊娠だったようで、

とてつもなくびっくりしたそうです。

 

ジャシンダのお知らせには、

産休中には副首相で、NZ First党党首のピーター氏が、

代理任務を快く引き受けてくれたこと。

ピーター氏とはとても良い信頼関係があること。

産休6週間が終わったら復帰すること。

 

一国の首相の出産と育児が、大変なことは重々分かっているけれど、

夫がフルタイムで育児を担ってくれるということが、

いかに恵まれているかということを痛感している、と。

 

それに、本当は自然に妊娠するのは難しいだろうと言われていたそうで、

驚きも格別だったでしょう。

 

余談ですが、私も一人目の後に流産を2回したので、

不育症ではないかと悩んでいた時期があり、

欲しい欲しいと思うとなかなかできなくて、

他のことで忙しくしていたら授かったんですよね。

 

それなのに去年の選挙中には、

37歳なので子供はどうするのか、など

散々バカなリポーターたちに質問されて

「2017年というこの時勢に女性だからという理由で、そんな質問をされるなんて許せない」と彼女は怒っていました。

 

この報道があると、NZの女性ライターたちが

「さあこれから、 性差別者達と戦うわよ。」と息巻いておりました。

 

世論調査によると、

ほとんどの人がこのニュースに好意的で、

首相としての任務にも影響がないと思う人が多かったのですが

やはりどうしても「乳幼児は母親が育児をするべきだ」とか

「私の時代には母親が 赤ちゃんにつきっきりだったのだからそうするべきだ」とか、ありました。

 

私は3人の子供に3年づつ、合計9年間母乳をあげ続けました。

9年間母乳を出し続けるということは、夜間授乳を休みなく続ける、ということ。

つまり、9年間コマ切れ睡眠だったわけです。

 

何より子供たち自身が望んだことだったから、やって本当によかったと思うけど

それを人に押し付けたいか?といったら、それは絶対にありません。

だってその人やその家族の状況や、考え方によって決められるべきです。

 

赤ちゃんや子供が幸せに育つためには、

快適な環境と

たくさん愛情をこめて、

ぬくもりと手をかけてくれる人がいればいいのです。

 

別にそれはお母さんじゃなくてもいいのです。

 

そんなことは、ちいちゃい子に接したことのある人なら、分かるはず。

 

去年の Labour党の集会では、赤ちゃんができたらできたで

みんなでサポートすればいいじゃんと、私も含め女性達は言ってましたよ。

 

国民に対する裏切りという海外メディア。何言ってんの?

 

ちゃんと仕事すればいいんでしょ?

 

いい国作ろうという人の足を何で引っ張るんだ???

 

子供いなかったらいないで叩くし。できたらできたで叩くし。

人間は生き物だから、人生は思い通りにはいかないの。

 

計画通りにもいかないの。

 

本人たちがちゃんと考えてるし、何かあったらみんなでサポートするんだから。

 

よその国のことより

もっと自分の国どうにかしなさいよ。

 

 

それに政権がNational党からLabour党主導に変わってから、

国会ではこんな光景が。

 

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SCREENGRAB: TVNZ

赤ちゃんを抱っこする国会議長Trevor Mallard。うれしそう(^^)

6人のお孫さんがいるのだとか。

 

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NEW LABOUR MPS KIRI ALLAN, LEFT, AND WILLOW-JEAN PRIME WITH THEIR BABIES IN PARLIAMENT THIS WEEK. SCREENGRABS: TVNZ

Labour党国会議員の2人。 赤ちゃんもすやすや。

議長に抱っこされてたのは、右の議員の赤ちゃんだったと思います。

 

 

私がものすごく尊敬しているジャーナリスト、

John CampbellのCheckpointという番組で。

youtu.be

 

泣き出した赤ちゃんに、ジョンがうれしそうに

「まさに人生って、生きるってこういうことですよね。」

 

議長も、国会を

働く親のためにサポートできる職場のいい例として

国民をリードしたいと、いうことでした。

 

ジョン・キャンベルJohn Campbellは、

以前Campbell’s liveと言うテレビのニュース番組を持っていたのだけれど、

ジョン・キー元首相(National党) への追求が激しすぎて、

テレビ番組を降ろされて(圧力圧力)

今はラジオ番組をやっています。

でも今の方が、もっと自由に報道できてる気がするな。

 

さらに去年、グローバル放送賞のトッププレゼンターとして選ばれました。やったー👍

 

ジョンはいつも一般の人の味方で、

ニュージーランドの心を象徴する代表的人物だといつも痛感する。

 

何と言うか、出さなくていいのに

人として熱い血が通っていますよというのが、ボワーっ!と溢れ出ている人なの。

もう心底、尊敬しています。

 

日本では、市議会か県議会に赤ちゃんを連れて行った議員に

厳しい声があったようだけど、

会議なんだから子供が静かにしてればいればいいし、

むずがったら 別室に移してあげるサポートがあれば済むことじゃないだろうか?

なんでそんなに堅苦しいんだ?もう、少子化で困ってるのに。





それから突然ですがNZでは、堕胎は犯罪だって知ってましたか?

 

夫が前、大学で学生から聞いてびっくりして、私に話してさらに驚愕

 

堕胎が認められるのは、

妊娠した女性の命や肉体的精神的に害を及ぼす場合や、

妊娠の継続によって胎児の身体障害を負う危険がある時。

 

さらに二人の医師による承認が必要だそうです。

 

望まない性行為や

望まない妊娠の時はどうしたらいいんだ?

 

いつも友達に聞いてみようと思って、忘れちゃう。他の話題で。



先日も議論してて、

 

性交渉の時に No と言えばいいという(妊娠したのは女の責任)

小さな子供のいる女性がいたので、

 

「女性みんながあなたのように No を受け入れてもらえる健全な関係であればいいけれど、現実には、拒むことすら許されないような関係にあったり、そこから逃れられない女性もたくさんいる。同じ女性であるあなたが、想像力が乏しいがために、その人たちのことまで考えてあげられないことは、とても残念 。」と発言したら、

私に賛同してくれた女性や男性が考えをどんどんつなげていってくれた。

 

「ガイジン」の私が指摘すると、

「あ、やっぱりおかしかったんだ。」って気づくみたい。

 

人の苦しさを想像できない人は、どこの国でもいるのだ。

 

胎児であっても命があるのだから、堕胎してはいけないと

思うのは間違いではないけど、

それを人の人生に押し付けるのは、おかしい。

 

他人に、人の人生を決める権利が、なんであるんだ。

 

望まない妊娠で、母になりたくない人が

優しいお母さんになることは、もちろんある。

 

でも、悲しいことに虐待したり毒親になったりしても

堕胎反対論者は責任を取ってくれるわけではない。

 

生きながら苦しむ子供たちを、助けようともしないのに。

 

子供を持つかどうかは、男性にもそうだけど

特に、女性に決める権利があると思う。

 

ビル・イングリッシュ前首相(National党)は、

去年の選挙戦で堕胎が犯罪であることについて「特に問題ない」と言っていたが

ジャシンダは「犯罪であるのはおかしい。」と言って改憲する意思があると言ってた。

 

女性の権利は守られているようなイメージのニュージーランドだけれど、

 

よーく見てみると、結構おかしいとこがある。

 

だからいつもよーく見ているのが、大事。



移民として、この国に子供達を連れてきた以上、

環境を良くするために、

政治に関心を持ってできるだけ活動することは、

 

私自身は親としての責任だと思うし、

 

「お母さんがする、当たり前のこと。」のうちの一つ。

 

高いスマホや車を買ってあげることはできないけれど、

 

確固たる信念があることは、子供たち、みんな背中見てて感じ取ってくれている。

 

いや、もうみんなでかくなりすぎて

元大女だった母の背中を、見下ろしているな。

 

 

いい動きを、強くしよう。

 

広めよう。

 

すばらしい活動をしている人たち。

 

ジャシンダのこれからは、NZのためにいい風になるはずだから

 

とても楽しみ。

 

応援できることが、うれしい。








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NZで育つのは本当にいいことだらけなの? 悩みに向き合い続けて思うこと。

NZに移住してあっという間に10年。
 
英語を教えるイギリス人の夫を通して、一緒にたくさんの生徒たちを見てきました。
 
そんな中でも夫は
英語が母国語でない、
主に家庭の中で話す言語が英語じゃない生徒をたくさん受け持ちます。
 
30年ほどの教職経験の中でも
NZでの経験は他の国での経験とは違うよう。
 
アカデミック英語では、授業や課題のテーマとして
NZの抱える問題、例えば
移民、住宅、インフラ、差別、教育、医療、その他さまざまな切り口を批評的な視点で
議論したり小論文を書いたり、スピーチや発表をします。
 
だから生徒たちは、必然的に自分の置かれている立場を見つめざるを得ないんです。
 
それに夫が最初に自己紹介して、
外国人歴が長く、妻がアジア人で、同年代の子3人の親であること
それにNZerじゃないことを知ると
NZに否定的な意見や悩みを打ち明けやすいようです。
 
生徒たちそれぞれの考えや経験からくる思いに、直に接していると
「苦しんでいる生徒の多さ」に気づかされるんです。
 
夫は気になること心配事をしょっちゅう話すので、
一緒に対応を考えるんですね。
 
たくさんの生徒をサポートする夫を
妻側も精神的にサポートしていかないと、
支える先生がいつか倒れちゃうんじゃないかって、ぐらいに。
 
生徒たちの気持ちに寄り添ってみると、
初めは海外からの留学生だと思っていたら
実は、NZで生まれたり小さい時からいて
ここの教育を受けてきたはずなのに、苦しんでいる人が少なくない。
 
その多さにショックを受けたのはもう8、9年前のこと。
 

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小さい頃は、「自分はキウイで、〇〇人じゃないぞ!」と信じて疑わなかったのに
成長に伴って、無視したいけどできないビミョーな違和感、
食い違いを感じることが増えて
高校の中頃には、自分はどうしてもネイティブじゃない、キウイじゃない、と
思い知らされる。
 
夫がいうにはアジア人学生には、難しい言葉を知っているのに
使い方が間違えていることが多いらしい。くせになってて簡単に直らないことも。
 
学校ではそんな細かく指摘してくれないから、
 
家庭で根気強く直していってあげるべきところだけど
おうちのお父さんお母さんがそこまでやってこなかったってことですよね。
 
 
悩みを抱えている生徒たちのメールでも
練習のエッセイでも、
ちゃんと言葉で表現していても、していなくても、
 
つらさしんどさって滲み出ている。
 
すごい、モワ〜っとね、漂ってるんですよ。文面から。
 
劣等感、自己過小評価、低い自尊心、拭えない違和感が。
 
私自身が英語ネイティブじゃないからか、気持ちが敏感にわかって
大抵夫より先に気づきます。
 
大事なサインかもしれないから、自分の子を見つめるように
いつも注意深く真剣に見ています。
 
 
NZで子育てしてきた、している親御さんたち。
 
このことに気づいているのは、どれくらいいるのだろう。
 
 
生徒たちのほとんどは、この気持ちを親に話してません。
 
 
私の注目している人で、NZのコメディアンで、
精力的にメンタルヘルスの支援活動をしている、
Mike Kingさんと言うすばらしい人がいるのですが
 
そのマイクさんが去年8月、Checkpointという番組で言っていたことによると
 
子供達は悩みや苦しみを、
親に悪い傷つけたくない、できるだけのことはしてくれたからなどで
親に話さないことが多いんだそう。
 
NZに暮らす40%の子供が、学校を卒業までに自殺未遂をするそう。
そして自殺を考えたことのある80%の人は、
親や周りに助けを「一度も」求めなかった。
 
話した情報で何をされるか、親を傷つけるから親はできることはしてくれたから、と。
 
これ、すごい実感してます。
 
私たちが気づいた悩みのほとんどは親に言ってないです。
 
物騒なことを書きますが、事実なのでね。
 
去年のUNICEFの発表ではNZの青少年(15ー19歳)の自殺率は、調査37カ国中で
ワースト1です。
 
 
そして、マイクさんは
周りの大人は子供に対して決めつける考え方をやめるべきだ、と訴えていました。
 
 
 
海外生活だから、楽しくて当たり前?
 
ちっちゃい頃から学校で英語に囲まれてるんだから、英語できて当然?
 
お友達とは英語で会話してるし、英語習得は学校にまかせとけばなんとかなる?
 
親が母国語で話してるんだから、バイリンガルになるのは当たり前?
 
(バイリンガルって、英語も母国語もどっちも中途半端でもいいの?)
 
多民族国家だから、差別やいじめが少ない?
 
 
これらは、「親ふざけんな!」と怒りを込めて訴えてきた生徒たちの声。
 
生徒たちって、30代もいるんですよ。
 
 
以前ある韓国人生徒が、
「海外での子育ては、親(母親)にとってはファッションみたいなもの。ステータスがあって、自分たちは英語話さない日もあるくらい韓国コミュニティーにどっぷり浸かってんのに、さも充実しているかのように、海外生活自慢に余念がないんだ。子供には勉強頑張れって言うくせに、自分は十数年いても英語上達させようともしない。そのくせ家では、韓国語や文化を忘れないように押し付ける。」と
 
ぶちまけてくれたことがありました。
 
これを聞いた時、正直、すごくうれしかった。
 
それまで韓国人生徒は、不自然なくらい親をかばい過ぎるくらいで
もどかしいほど辛いのは自分のせい、と言う子ばっかりだったから。
 
ご飯作って毎日の移住生活で、親御さんも大変だと言うのもわかります。
大人がそれだけやってるから子供はなんとかなるだろうと。
子供がなんとかなったんならラッキーだけど、なんとかならない場合があるから
たった一人の先生のところにこれだけ悩みが寄せられるんですよね。
夫はカウンセラーじゃないんですよ。英語の教科の一教員なんです。
 
たまたまある教育を受けている人に、たまたま夫が接して、見つかった苦しみは
絶対に氷山の一角なはず。
 
でも生徒たちの訴えは、全部に近いくらいほとんどがホント的を得てて
「あなたの言う通り!」っていう感じなんです。
 
「あなたの言う通りだと思うよ。私に話してくれたみたいに、お母さんに話すことはできそう?」って前出の韓国人生徒に、そっと聞いてみたら
 
「聞く耳がないよ。言ったって理解できない。NZはいい国いい教育って信じて疑ってないから。学校みたいに毎日感じるやな態度とかズレを実際に知らないから。」って
あきらめ笑いをしてた。
 
大学の場合だと一人の学生に3ヶ月の期間しか接することができなくて、
悩みに気づいて励まし続け続けるのも、専門機関につなげることも
短期間でしかできません。
大丈夫なくらい立ち直っていくまで見届けることは、なかなか難しいです。
残念です。
 
 
あるヨーロピアンのママ友達が、
(私たちが)そんなに学生からたくさん悩みを打ち明けられるのは、
学生たちの親とは全然関係がないからじゃない?と。
悩みを聞いてると、親がもっと早くに気を利かせて手を打っていれば
こんなに悩まなくてよかったのにと思うことばっかり。
 
同じ親として腹立つから、何ボサーッとしてたんだー!と飛んでいって
スリッパでパコーン!と親の後頭部をはたきに行きたいところだけど、実際は無理。
 
つらかったら、ためてたらダメ。吐き出した方がいい。
 
私たちに吐き出してくれると、いつも「ああよかった」って思う。
 
ただ英語を教える夫にはたくさんの生徒が次々とやってくるので、
長年のうちに残念だけど忘れてしまうことがあって。
 
きちんと経験をつぶさに覚えているのは私だけ、なのです。
 
もう7、8年前からたくさんのみんなの悩みを本にして世に出して、
移民の親たちに現実を知ってもらいたいとまで考えていたけど
 
プライバシーもあるしそれは無理そうなので、
ここで書いて残していきたいと思います。
 
NZはいい国いい教育って、無邪気にパラダイス気分の親御さんに会うと
「家族みんなが同じようにそう思ってるといいですね。」って言います。
 
親がいくら気を揉んでても、
子供が朗らかだったりネガを振り払って前向きに生きれる人に育っていったら
いいことですよね。
 
でも親がのほほんと、子供のつらさや日々晒される困難を
理解しようともしないでいたら
子供だって心を開きたくなくなりますよ。
 
親の前では、何があっても万事OKのふりして「大丈夫」って言ってる、って
言う生徒とても多いですよ。
 
 
メンタルヘルスへの取り組みが危機的状況なのに、
前National 政権はずっと問題視していなくて、
去年9月の選挙の数週間前に、やっと問題として「選挙用に」取り上げた。
 
学生たちの置かれている現実の苦しさを私たちは知っているから、
手を打たない前National 政権には、ずーーーーっと頭にきてた。
そんなNationalに投票するサポーターに対しても。
 
この前の選挙では、
メンタルヘルスへの取り組み強化を長年訴えてきたLabourが政権を握るために
 
私も心の中から熱い想いが湧き上がって駆けずりまわったのだけど
 
あれは、夫や私には言えるからと、
悩みを打ち明けてくれたみんなのおかげなんだなあ、って今わかった。
 
 
悩みを打ち明けてくれたみんな、本当にありがとう。
 
みんなのおかげで、いい国にいい環境にしようって力が湧いてくるよ。
 
これからも、私たちに出会ったら話してみてね。一緒に考えたいから。
 
 
 
問題を明らかにして指摘するのは、解決する必要があるから。
 
文句言うのは、良くしたいから。
 
じっと何もしないほうが、しんどい。
 
 
ただ海外移住して、お客さんのようにそこに住んでるだけなのは、自分らしくない。
 
なるべく多くの人にとっていい環境にしたい。
 
 
 
新しい年になって、そんな私の想いで動き始めていることには、
 
ポジティブに勇気づけて後押ししてくれる人たちがいて、うれしい。
 
 
苦しかったり違和感が拭えなかったりする人は、
 
とにかく周りにわかってくれそうな人を見つけて、伝えてください。
 
 
吐き出した方がいいから。
 
 
これからも、私たちは当たり前のこととして手助けしていきます。
 
 
 
でも、もしNZで子育て中の親御さんがこれを見ていたら
 
自分の家庭ではどうか、考えてほしいのです。
 
 
家族にはそれぞれ方針があるし、何が正しい間違っているじゃなく、
 
こう言う現実があって、自分の家族はどうだろう?と考えてほしいのです。
 
 
考えて、
 
自分たちなりのやり方で、手を打ってほしいのです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

NZ不当解雇体験記20。移住環境はよくなるだろうか?

 

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ビザ手続きをする人は、移住アドバイザーや弁護士に
「お金払って頼んだから、おまかせ」じゃなくて
自分たちでも漏れのないようにしっかり確認してくださいね。

NZ不当解雇体験記19。移民局 Immigration NZへの報告。

移民詐欺、搾取、不正取引。
 
日本人の元雇用主から「永住ビザ取れたからサヨウナラ」と不当に解雇されたことがきっかけで、今までよりももっと移民問題に関心を持つようになった。
これは、いいことかもしれない。
イヤというほどその痛みがわかるから、きっといいことに違いない。
 

NZ不当解雇体験記18。次のステップに進みたいけど、ぐるぐる渦巻く思い。

さかのぼって、Employment Relations Authority(ERA)が、
私も夫も、このことを
知人、初顔合わせの人にかかわらず
いろんな方面で話すようになりました。

流産した時のこと。

わが家には、幸運なことに子供が3人がいます。


でも、長男の後に2回、流産をしました。


流産のことを産まれるまで育たなかったのだから
仕方ない、と思える人と
ものすごく悲しむ人がいますね。

私は、後者の方でした。

 

最初の流産では、ちゃんと人の形をしていて

超音波検査での写真では、横顔がきれいで。

前回の検査では、ちゃんと心臓もパコパコ動いていて。

でもその日の検査では、心臓が止まってて。


先生が言うには

このままにしておくと、母体が死亡した胎児を外に出そうとして

大出血して母体が大変なことになるから、

急いで胎児を出す処置をしないといけないそうで。

 

悲しみに打ちひしがれた私は、心ここに在らずのまま

数日後の予約を入れて、当時2歳だった息子の手を握って、

産院からの帰り、

荻窪の道を、バス停に向かって歩いて行きました。

あの時の、2歳の息子のかわいい手は今でも覚えている。

 


悲しくて悲しくて。

死んでしまいたいと言うわけではないけれど

赤ちゃんを出さないでおいて、体が拒絶反応して大変なことになっても

それはそれでいいんじゃないか?

ママがわざわざ、出さなくてもいいんじゃないか?

 

それでも、2歳のかわいい息子の手を握っていたので、

この子のために(ごめん、夫のためというよりも….)

後日、処置をしに産院へ行きました。

 

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             [The Kiss- Gustav Klimt]

 

麻酔から醒める時、クリムトの黄金の光の中を

ものすごい勢いで上へ高く高く昇って行き、

心配することはなにもないなんとも言えない恍惚感で満ちていた。


昇りつめると、母乳がたくさんシューシュー吹き出して

大変だ、拭かなくちゃと思ったら、目が覚めた。

 

本当に母乳が吹き出た感触が、

乳房が熱っぽくて、服も濡れている感触があるのに、

それは夢だったのか、目が覚めたら

処置が終わってた現実に引き戻されて

とたんに猛烈に悲しみが襲ってきて、怖かった。

 

もう赤ちゃんは、いないんだ…


あれは母が、私が10歳になる前
妹の出産時に、大量出血して心臓が止まってしまい、
妹も子宮の血の中を溺れて大変なことがあって、

その時、お花畑にいてすごく気持ちのいいところだったのに、
目が覚めたら家族は誰もいなくて
ひとりぼっちですごく怖かったと、元看護師の母が言ってたのと

同じ感じだったんじゃないかと、思う。

 

流産した子は育たなかった胎児だから、仕方がないと

産院でも、いろんな人にも言われて、

頭ではわかっているんだけど、

心が納得してくれなくて。

 

息子がいるから笑っていてあげたいんだけど

数ヶ月は外にも出たくなくて、泣いてばかりいたし

泣かないでも、話せるようになったのは、何年も後のこと。


しかも、気をつけていたから続かないだろうと思ってたのに
2回目の流産もした。

 

妊娠すると体が母乳を作る準備もするから、
流産をしても乳房の手入れをしたほうがいい、というようなことを
長男の母乳育児でお世話になった桶谷式の本に書いてあったので、

 

流産後2回とも
お世話になったY先生を訪ね、号泣しながら報告をした。

 

Y先生も涙をためながら、
今度の赤ちゃんにいいお乳が出せるように手技をしてくれた。

 

おかげで乳房にシクシクするような、
小さなガスみたいなのが、スッととれた。

 

 

それから不育症じゃないかと、悩み始めて、

欲しい欲しいと願いが強すぎると、
なかなかできづらいことがわかって、考えないようにしていたら
次男をを授かった。

やっと生まれた2人目は、体重計の台から体がはみ出るほど
元気な背の高い巨大児だった。

 

 

子供が3人になっても、

あの時無理してたんじゃないか、動き過ぎてたんじゃないかと
時々、むくむくと後悔が湧き上がってきてた。


そうしたら、ある人の
「流産した子を思い出して悲しまなくても、家族だんらんで楽しい時を生まれてこられなかった子も一緒に楽しく過ごしたらいい」っていう言葉に
すごく楽になった。

 

みんなでワイワイガヤガヤにぎやかな時に、

あっちにいる子達も一緒に楽しんで、

みんなの成長を見守ってもらっている感じがしている。

 

それに、子供が3人そろっている時に、
あと2人生まれてこられなかったきょうだいがいるから、
その子達の分もみんな大切に生きるようにねと、言ってあります。

 

みんながわかる時期に伝えたから、ちゃんと分かってると思う。

 

5人きょうだいだったらもっと楽しかったのに、と
あの子達は、小さい頃言っていた。

 


3人きょうだいでよかったな、と思うのは、

家族の大切な意識を、お互いが諌めるように

共有感覚として保とうとすることだ。

大切なことだから、茶化したらいけないよね。


下の子がわからなかったら、上の子が真面目に説明するし、

その逆もある。

 

 

長男が10代の終わりころ、リビングで長男と2人の時に

静かに話をした。

 

流産をした時のこと。

 

昔何度か話した時は、よく本気で悔しがっていたね。

 

母体が危険でも処置をしたくないと思っていたけど
赤ちゃんを出さないとママの命が大変になるかもしれなくて、

 

もみじよりはもうちょっと、力強いキミの2歳の握る手があったから、

ママは大変なことにならなかったんだよ、

 

あなたは命の恩人なんだよ。

 

だから、ありがとうね。と伝えた。

 

ちゃんと感謝していることを知っていてほしかったから。

 

 

「おれ、覚えてないし、たぶん手握ってただけだし。」と

うつむきながら長男はおだやかに口にしたけど。


でも、手を握ってただけでも、

キミにはとてつもなくパワーがあって、

お母さんを生かしてくれたのよ、と


ちゃんとありがとうを、言っておきたかったの。


ママは、今でも子供達の可能性を未来の道につなげようと奔走しているけど、

 

一番のお願いは

「ママより先に、あっちに逝かないで。」っていうことに尽きる。

 

 

死にたい、とか

殺してしまったりとか、

日本でも世界でも、後を絶たない。

 

夫のところにも、

「きえてしまいたい」と打ち明けるしんどい人が。


私達は、真剣に考える。

 

いや、やっぱり、せっかくこれからがあるんだから

きえたら、いやだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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