Bittersweet in NZ

ウトです。(the) Melvins を聴きながら。NZの大学のイギリス人英語講師の奥さん目線 & NZ移住して3人の子育て後半戦に挑む奮闘記 & NZで元日本人雇用主の永住権取得と同時に不当解雇された体験記、息子のAPD(聴覚情報処理障害)との奮闘レポートなどなど。

息子の友人の、早すぎる死。

その出来事は、生徒たち
 
教師たち、そして親たちに、重くのしかかる。
 
 
なんてことをしちゃったんだろう…
 

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週明けの朝、子供たちの高校から連絡があった。
 
週末に学校の生徒が、近くのあるビーチで事故に遭い
重篤な状態にあるということ。
そのため、生徒たちのストレスと精神的サポートの必要性を伝える内容だった。
 
そこは、いつも犬がコンブ食べに散歩に行く、おだやかなビーチ。
 
なんであんなところで事故が起きるんだろう、と思っていた。
 
 
子供達が学校から帰ってくると、息子が
学校で集会があったと教えてくれた。
 
週末のビーチで、7人の男の子が、車をスピンをしていて投げ出された。飲酒していたらしい。
重篤な状態の生徒は、息子と同じYear 13。
 
息子によると
その子は生徒のリーダーで、人気者で明るく
慈善活動もしている思いやりのある、いい人。
 
人気者だと鼻にかける生徒が多いけど、その子はまったくそんなことなく
本当に「いいヤツ」なのだそうだ。
 
助かった生徒たちには、息子の友達もいて。
ハンドルを握っていた子のことも、知っていた。
 
集会で、校長先生は生徒の名を言わなかったので
息子も、家で誰だったのか言いたがらず
私たちも聞かなかった。
とにかく心配だねと、奇跡的な回復を願った。
 
でも、もう非常に深刻な状況だ、ということは聞いていた。
 
***
 
次の日になると、事故のことがニュースになっていた。
 
本当に残念なことに、
重篤だった男の子は助からなかった。
 
彼の名前や写真、お父さんのコメントまで出ていた。
 
どれほど息子を愛し、楽しい日々を過ごし、成長を楽しみにしていたか
お父さんの言葉から、痛いほどわかる。
気丈にも臓器提供のことまで、語っていた。
 
 
その日、わが息子のほうは、寝坊したので
朝、車で学校まで送る。
 
運転しながら、朝のニュースで出てたよと
報告した。だめだったんだって。
 
息子は、悔しがる。
 
その子が、去年のダンスパーティーで
クレイジーなダンスでみんなを盛り上げるような
人気者を鼻にかけない「すごくいいヤツ」だったと
しきりに繰り返していた。
なんでだ?と。
 
昨夜夜遅くに、息子は
友達から生命維持装置が外されたという連絡を受けたそうだ。
そう言って
「あいつ、どこまでわかってたかな?」と呟いて、うつむいてしまった。
 
それを聞いたとたん、
そうしなければならなかったお父さんお母さんの無念が、
突然命が終わってしまったその子の無念が、大波のように押し寄せてきて
ハンドルを握りながら私は、涙が止まらなかった。
 
なんでだ。
本当に、終わらなくてよかった命なのに。
 
残されたほうは、これからもずっと後悔する。なぜ止めなかったのか、と。
 
 
外泊、車の運転、飲酒とか。
 
大人になるまでに、慣らしていくこといろいろあるよね。
 
ママは、冒険したい年頃の君たちが何かをしたい時に
全部禁止するのは良くないと思っているから
「いいよ」と言う時
よく本当にいいかどうかを、よく考えるよ。心配な時もある。
「いいよ」と言ったら、責任を感じる。
 
だけど、その子のお父さんお母さんも
ママみたいに、自分の息子を信じていたんだと思うよ。
 
それでもこういうことが、起きちゃった。
 
息子が信じられないんじゃなくて、置かれた状況がすごく心配なことはある。
怖くなる時が。
 
だから、
とにかくどんな時も、自分を見失わないこと。
そして、絶対ママより先に死んだらダメだよ。
 
そう言い聞かせると、
俺の友達は、飲んで運転するようなやつらじゃないと言って
母を安心させようとする。
 
そうだね。
 
***
 
勉強とか仕事とか生活態度とかよりも
子になによりも一番願うのは「親より先に死ぬな」ということじゃないだろうか。
 
一番の願いで、一番の恐怖。
 
 
***
 
NZでは18歳以上になると、身分証明書を提示できれば、
お酒を飲んだり買ったりできる。
18歳以下だと、
法律上の親か保護者が一緒の場合に、
食事ができるレストランなどの場所で飲酒ができる。
 
これが、結構困って
親がいろんな国から来ているので、アルコールに対する親の考え方がまちまち。
おおらかな家庭もあれば、厳格な家庭もあって
特に男の子の成長過程で、対応に難しいことがたびたびある。
 
アルコールだけでなく、男の子にさまざまな経験させることを
過剰に禁止する家庭もあるので、
 
子供たちの友達から直々「うちの親と話してほしい」と私が頼まれることもある。
説得はできなくても、親の不安を分かち合うことはできるかもしれないから、
やってみる。
 
やはり厳しいのはアジア人が多いけど、案外NZ人にも鉄のように厳格な親がいて
子供の進もうとする行く手を、ことごとく否定し続ける。
 
アルコールだけじゃなく、ドラッグが心配なのは重々わかるのだけど。
 
ある男の子は、高校卒業の頃には意思表示をあきらめるようになった。
不公平・卑怯に敏感なわが家の息子たちは、そんな友人の親たちに怒りを覚える。
 
なんていうか、育てていて、男の子たちに向き合っていると
冒険したい時に、全面禁止するようでは、遅いと思うのだ。
 
「悪い事する時に、悲しむ顔が浮かぶような母親になりなさい」というのを
昔聞いたことがあって
そうありたいと、日々子育てしているのだけど
冒険したい時点より前に、
それまでどう子供と向き合ってきたかのか、が大事なんじゃないだろうか。
 
それでも、取り返しのつかない悲劇は起きた。
あれだけ立派な、分別のあるような子の身にも。
 
彼の死は、成長過程の息子を持つ親たちにも
自らを問う重石となって、のしかかる。
 
***
 
数日しか経っていない高校に、足を運んだ。
息子の聴覚障害サポート体制を、モデルケースとして確立することで
今後、生徒・学校・専門機関がフォローしやすくするためだ。
そのための調整に、障害を克服中の親、そして発起人として参加した。
 
私が、真剣に取り組んでることの一つだ。
後に続く人たちのために。
 
事故後の学校の生徒たちは、同学年の子たちも
落ち着いているように私には見えた。
 
でも、馴染みの主任の先生と話し始めると
生徒たちも、教師たちも、親たちも心に重い痛みが癒えていないのがわかった。
 
私たちは、教師と親ではあるけれど
息子を持つ、同じ親同士として
悲しみを分かち合い、支え合った。
 
報道で言われているように、コミュニティのショックは大きい。
 
 
犬はまたコンブが食べたいので、そのビーチへ私を連れて行った。
タイヤ痕は残されたまま。
見つめて、呆然と立ちつくす。
 
息子の、あいつどこまでわかってたかな、というのを思い出して
サングラスの下をぬぐっていると、
犬を連れて通り過ぎる男性が、悲しい顔をして
私に相槌を打つ。つらいね、と。
 
 
それは、突然起こった。
若すぎる。
無念すぎる。
誰か、誰か1人でも、止めてくれる子がいてくれたら。
 
亡くなった子、止められなかった子たち、
事故を起こしてしまった子を知っているのは
息子だけではない。
 
 
まだ息子と同い年の、17歳。
 
今年の、高校最後のダンスパーティーは
あと数日後だというのに。
 
去年、クレイジーなダンスで、
パーティーのみんなを盛り上げたその子は、もういない。
 
 
***
 
オセアニア最大の高校のリーダーとして、大変だったでしょうね。
 
でも、みんなのためにがんばってくれて
 
本当にありがとう。
 
 
I just want to say thank you so much, Robbie.
 
Thank you for being a caring leader and energetic for students and our community. 
 
Thank you for being as you were. 
 
Your positive attitude influences others in many ways.  We’ll miss you.
 
 
***
 
 
 
子供たちの精神的サポートができる機関は、ここです。
Youthline  0800 37 66 33
Whats Up  0800 942 8787