Bittersweet in NZ

こんにちは、ウトです。家族とNZで暮らしています。移住して10年近くは、多くの怒りやフラストレーションを感じていましたが、おかげで行動・経験・学びができて、最近はおだやかな日々がとても増えています。いろんな変化の流れが強いので、大切なのは何か?ということにも向き合っていたい。ここには、体験や感じたことを言葉にしておきたくなった時に綴っています。 Thanks for being here.

息子とAPD11。トマティストレーニングを続けてみて。

 
はぁ....風邪ひかないって、大事だな。
 
 
去年の今頃、診断された次男の聴覚情報処理障害(APD)。
そのあと、Tomatis トマティストレーニング
クリスマス前に始まって、9ヶ月が経過しました。
 
できれば、NZの高校卒業後の進学に重要な、今年11月の校外テストまでに
全部終わるといいなぁと期待していたけど、
 
最後の4回目セッションが、延期になってしまいました。
 

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原因は、この冬2ヶ月ほど続いていた風邪
 
この時の風邪はしつこくて。
APD障害の原因らしい中耳炎になった
4年前の風邪とそっくりでした。
咳と鼻水と、熱が上がったり下がったりして
嫌な感じがしていた。
 
治ったと思っててこの前受けた、トマティスの聴覚テスト。
指導してくれている先生のエスメに、
残念だけど、この前の風邪で中耳炎になってるかもしれないから
GP(かかりつけ医)に行って診てもらって、と言われました。
 
で、GPに行ったら
中耳炎ではないけれど、「鼓膜にハリがない」から、
鼓膜の向こう側に分泌物があると思う。
春になってもっと暖かくなったら、ひと月くらいで
自然に流れてクリアになるはず。とのこと。
 
次男にまったく自覚症状は(鼻水が出るとか)ないけど。
 
鼓膜、DULLって言ってた(泣)
 
ともかく鼓膜が、通常の健康な状態じゃないので
とにかく、今は鼓膜の回復待ち。
 
進学したい次男の希望を
高校最後の年だから、できる限り後押ししたいと言って
4回目のセッションを追加料金なしでしてくれるエスメ先生
いつも本当に、ありがとう。
 

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From: https://www.tomatis.com/en/sessions

トマティスのプログラムは、
1セッションが通常は
1日2時間で脳トレーニングを13日間(または1日1時間で20時間)。
そのあと、
定着期間(トマティスはお休みで、フォーブレインで発声トレーニング4〜6週間)。
 
で、聴覚テストしてそれぞれの状態に調整されたプログラムで
3〜4回セッションが続きます。
 
 
<トマティスをやってみて、よかったのか?>
 
次男は
一年前、障害があることがわかった頃にはすでに
その前に3年半、「プールに潜っている」ように耳の聞こえが悪かった。
 
だから進路を決めないといけないのはわかっていても
自分の成績で将来何ができるのか?
自分はどんな道に将来進めばいいのか?わからない
様子でした。
 
そして、障害があることがわかってから
ジタバタする私がこぎつけた、
トマティス(教育)と遠隔マイク補聴器(医療)のサポート。
 
その教育と医療の専門家が
「APDは、脳の障害だからトレーニングできるんだよ。よかったね。」
励ましてくれたおかげで、
堰を切ったように、
進学して「ある道」に進みたい、それしか考えられないと私たちに訴えました。
 
もちろん止めも反対もしないけれど
それは、去年までの成績では叶いそうにもない厳しい道でした。
 
でも一年経った今。
 
叶うかもしれない、に変わってきました。
 
去年のNCEA Level2と今年のLevel3の成績は、全然違います。
もちろんLevel3のほうが難しいのに、断然よくなっているのです。
 
それに、本人のやる気が全然違います。
 
険しい道だとはわかっていても、そっちに進みたいのが
ひしひしと伝わる。
 
私たち親は、止めも反対もしないけど
今は、もしや可能性がないわけじゃ、ないんじゃないか?という気持ちです。
 
そんなにやりたいのなら、とりあえずそっち方面に行ってみたらいいよと。
行くなら、本気でいけ!って。
 
だから私たちは、トマティスをやってよかったです。
 
「やるしかない」という危機感と
「面白そうだからやってみようよ」という好奇心が
私の中に両方あって、それを信じてついてきてくれた
次男本人と、夫にも感謝です。
 
<人間の体だから、合う合わないはあるはずで。>
 
「障害がある」と言われた去年の今頃は
日本でいう高校2年の終わり。
 
最初の改善法の可能性、遠隔マイク補聴器が高額で無理だろうと言われて
私には時間がなくて急いで「なんとかできる」方法を
早急に探し出さなきゃいけなかった。
 
それが、トマティスでした。
 
体験者の意見だけではなく、
研究論文と検証をたくさん、夜遅くまで読んで
勘で「これでいこう!」って、決めました。
 
選択するのは自分の責任。
 
結果はどうであれ、「何か」をやるしかなくて。
やらなきゃ、きっと後悔すると思ったから
結果が変わらなくても、自分が(母として)決めたこと。
あの時の衝動に従ってよかった。
 
だから、もしトマティスをやってみることを考えている人は
ぜひ研究や検証を英文だけど、読んでみることをおすすめします。
 
人のせいではなく、自分が納得して、決めること。
 
 
障害の診断と
進路決定と
改善サポートとの出会いが
たまたま一度に起きたことが、幸いだったのかもしれないけれど。
 
この一年で確実に、次男に変化が起きて
本当によかった。
 
成績が良くなっているのは、もちろんなんだけど
彼が、難しそうでもあきらめなくて
自立して生きる道を進みたがっていることが
親としては、一番うれしいんですよね。
 
***
 
このブログでは、「障がい」ではなく「障害」と書いています。
 
それは、この漢字の使い分けの話を次男にした時。
 
このニュージーランドで英語で
Disorder 障害
Difficulty  困難、と
気を使って使い分けられるのに、似ているかもしれないのだけど。
 
「どんな言い方にしたって、害は害だろ?鬱陶しいのに、変わりないよ。鬱、陶、しいの。」って
イライラして彼は言いました。
 
もちろん「障害」じゃなくて「個性」だという考えもあります。
 
でも、“Disorder IS DISORDER."って困っている本人がそう言っているので、
ここではそうします。
 
Tomatis トマティスでは、聴覚情報処理障害(APD)だけではなく
発達障害や学習障害、不安障害などにも対応しています。妊婦さんや言語習得にも。
 
ADHD
自閉症やアスペルガーなどのASD
全般的発達停滞(GDD)
強迫性障害(OCD)
反抗挑戦性障害(ODD)
不安障害
うつ
トラウマ
聴覚過敏….
 
学習障害(LD)では、
ディスレクシア(読解)
ディスグラフィア(書字障害)
ディスカルキュリア(算数)など。
 
 
聴覚情報処理障害(APD)は、ADHDやディスレクシアと混同しやすいそうです。
 
ちゃんと指示が聴こえていないからなのに、ADHDの注意力散漫だと思われたり
思考を書いて表現するのが、同年齢と比較して遅れがあるので
ディスレクシアだと思われたり。
 
なので確実に判定するために、APD専門の聴覚士だけではなく
教育心理学者による検査と診断が必要でした。
この次男のレポートだけでも10ページ以上あります。
 
その結果、息子にはADHDやディスレクシアはなく
聴覚情報処理障害(APD)のみ、です。
 
最近、日本でも発達障害や学習障害が語られているので、
よかったなと思っているのですが
APDの症状が
ADHDやディスレクシアに紛れて語られているような感じがして
どうも気になります。
 
次男のお世話になっている専門家たちも、
他の発達障害・学習障害などとの判別はとても難しいので、
適切な指導のためにも正確に判断されるべきだ、ってよく言ってました。
 
ADHDでは投薬をすることもあって、APDでは薬治療がないのに
ADHDと誤診されて不要な投薬をされでもしたら、大変です。
 
 
<「障害」じゃなくて「個性」だという考え>
 
次男は、友人やよその人に障害があっても
それは個性で、別に悪いことじゃないと思っています。
 
だけどいざ自分が、よく聴こえないようになって
イライラするその症状が障害だとわかってからは、
自分の身に起きているこれは、「障害は障害だ」と言っています。
 
本人が嫌気がさしてるから、私は懸命に改善法を探してきて
本人もまっすぐに取り組む。
母親の私がいくら「障害じゃなくて個性だよ。」と言っても、スルーするでしょう。
 
社会全体としては「障害」を「個性」と捉えてほしいと思います。
 
だけど本人の言う「障害の鬱陶しさを、できるだけなくしたい」
と思う気持ちも、尊重してあげたいのです。
 
親がいくら「障害」は「個性」だよと思っていても
 
子のほうは、成長したら
なんで障害をどうにかしてくれなかったんだ?と思うかもしれない。
 
移住者の英語習得において、夫の生徒たちからも
同じような意見を聞くことがあります。
親に対して、なんでどうにかしてくれなかったんだ?って。
 
本人が「生きづらさ」を感じているかどうか?もそうだけど
その本人が思ってなくても
本人の周りの大切な人が、カサンドラ症候群のように
「生きづらさ」に至るまで、苦しませてしまうのはいやだなと。
 
 
次男はこれまで、たくさんのいい友達に恵まれているけれども
最近よく聞く、カサンドラ症候群の人の葛藤や、つらさには
考えされられました。
 
次男の障害の場合、
彼のこれから出会う人々に、障害のせいで理解し合えない経験は
なるべくしてほしくないと思うから、できるだけのことはしていきたい。
 
「個性かもしれないけど、障害ではある。」と本人は、とらえています。
 
 
移住したばかりの土地で、
知らない文化と言葉と勉強についていくのに必死だった頃。
サポートの必要な生徒たちのサポートを
大人からのプレッシャーで
せざるを得ない状況だった長男。
 
娘のクラスでは
ある生徒の、小学校から高校でも変わらない症状に
日々困惑している、他のクラスメイトたち。
周囲に迷惑をかけてもわからないから、よく思われていないことも。
悪い子じゃないのに。
 
母親の私も、小学校から高校に入るまでずっと
知的障害のある友達の隣の席や同じクラスになっていた。
先生が、その子が私のそばにいると落ち着いているからという理由で。
それはその通りだったし、友達なのでちっともいやな訳はなかった。
だけど私の母のほうが、その子の親から
ありがとうの気持ちも何もないことを、よく思っていなかった。
 
その子がある日興奮して、私を突き飛ばしてしまい私が骨折した時も
その子の親からは謝罪も何もなかったから、母は怒っていたけど
母も、その子のきれいな心が好きだった。
残念なことに私が子供を持ったことを、なかなか理解してもらえなくて
家庭を持ってから会えなくなってしまったけど、40をとうに過ぎた今も
会えないけど元気でいてね、と願っています。
 
 
障害のある人を包む周りの環境が
いつでも、あたたかくあってほしいけど、そうとは限らない。
包むほうだって、感情のある、人だから。
 
何も、APDの症状を一切無くそうとしている訳じゃなくて。
絶対に聞き間違えはしない、とか
プランニングは完璧!とかそんなパーフェクトにならなくていいから。
 
APDがある人は、聴いて理解しようと人一倍集中するから
1日の終わりには、脳が人一倍疲れて
耳からの音の情報をシャットアウトしてしまうこともあるのです。
 
だから彼が自立してからも、このことで生きづらくならないようにと
できる限りの事をしているのです。
 
次男のこれから出会う人々が、不必要に困らないように
彼もそのことで、心を痛めないように。それだけなのです。
 
次男は、改善トレーニング始めてからたった9ヶ月で
本当に毎日が、ずっと楽になったのが見ててもわかります。
 
トマティスは、あと1セッションあるし
遠隔マイク補聴器も、最低2年は使用することになっています。
 
アメリカでは、5〜10人に1人
ニュージーランドでも、把握できているだけで20人に1人の割合に起きるAPD。
多くの生徒が、クラスの最前列で授業を受けるだけの指導しか
受けられていないそうだから
次男は、とても恵まれています。
 
だから多くの人に知ってほしい。
 
もし、つらさをどうにかしたいと思っていたら
 
こういう方法も、あるんですよって。 
 
 
トマティス・コグメド指導員のエスメ先生も
発達障害・学習障害者への教育指導をしているそうです。
 
だからAPDだけではなく
発達障害や学習障害、不安障害などがある人も
Tomatis トマティスで、症状を軽減、改善したい人がいるかもしれないので
本人の許可を得て、綴っています。
 
これはニュージーランドでの体験談ですが
どの国でも大体似たように、進められるんじゃないかなと思います。