Sparkling* 光ってるのどうする?

こんにちは、ウトです。こちらは 以前のBittersweet in NZ の続きです。主に、NZ暮らしでの体験や思いを言葉にして発したくなると綴る私感ブログです。

こんなニュージーランドは、イヤだ。

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NZの10ドル札で見つめる女性活動家、ケイト・シェパード Kate Sheppard。
 
NZで暮らす人だけではなく
 
1年、3年、5年後
いつか、この国で暮らしてみたいあなたへ。
 
ちょっと、考えてみてほしいんです。
 
 
ニュージーランドが、他の「海外暮らし」とちょっと違うところは
 
「移民でも、永住権があれば投票できる」ということ。
 
 
***
 
1893年9月19日。
この日、ニュージーランドでは選挙法1893が制定され、
世界で最初に全女性に選挙権が認められました。
 
NZの婦人参政権運動団体の主要メンバーであり、イギリスから移住してきた
ケイト・シェパード Kate Sheppardを始めとする活動家たちの
長く厳しい闘いの末に、勝ち得た権利です。
 
そしてこの9月には、
ニュージーランドでは女性の参政権125周年記念がありました。
 
 
人気コメディ「The Funny Girls NZ」の記念番組のコメディタッチな予告編に、
ジャシンダ・アーダーン Jacinda Ardern首相も参加。
 
スタッフ全員女性でそろえたから、人件費が安上がりでいいと言ってるとこに
ジャシンダが、ちゃんと払わないとダメとツッコミ入れてます。
 
この中のジョークで、ケイト・シェパードが喉にパンチしたという元首相は
実は、夫の大親友の祖父か曽祖父。
家族ぐるみで長い付き合いの元首相の孫たちの政治観は、おじいちゃんとは違うけど。
 
あの時代に、長年の友人のおじいさんが首相として尽力した国、ニュージーランド。
 
 
現在では、女性だけではなく
18歳以上のNZ国籍保有者とNZ永住権保有者が、投票できます。
 
永住権があれば移民でも、投票できるのです。
 
トランプ政権になったアメリカの選挙では、
あの坂本龍一さんや野沢直子さんも「投票はできない」って言ってたような。
野沢さんなんかは、トランプが勝ったら
アメリカから引っ越したいっていうほど嫌がっていたから、大ショックだったろうな。
 
移民だから、長年暮らしても政治参加で
国を良くすることができないのが、ほとんどでしょう。
 
でも、ここでは
移住先の国の政治に、参加できるのです。
 
 
 
***
 
<もしNational党が、今も政権を維持していたら?>
 
前回のニュージーランド総選挙では、
昨年2017年10月に
9年間のNational党政権から、Labour党主導政権に変わりました。
 
が。
 
「もしNational党が、今も実際に政権を維持していたら?」という仮定した
デヴィッド・コーマック David Cormack の論評が、わかりやすかったので
おおまかに載せておきます。(カッコ内は、私のつけ足した説明)
 
自ら「政治オタク」という、デヴィッドさんは
Labour党、Green党だけでなくNational党のビル・イングリッシュ前党首とも仕事した経験があるそうです。
 
***
 
「前回の選挙で、もしNational党が政権を維持していたら?」
 
National党が(選挙戦で)掲げた減税は、今ごろ実施されている。
高所得者がより多く恩恵を受ける減税のため、貧富の格差がさらに拡大する。
Labour党の社会保障の拡大は実施されないので、低所得層は少額(週$11か$20)受給できるが、ファミリーパッケージに貧困層は対象外。
所得に関係なく高齢者対象の「冬期の暖房費の補助金」は支給なし。
出産時の両親の有給休暇は、減額される。
大学の入学者数は、ほぼ同じの見込み。
 
世界で最も高額な道路がオークランドに建設され、車両数が増加する。
特にNational党は、公共交通機関の整備を拡大する気がないので、車の利用者も増加して交通渋滞はさらに悪化する。
トランプに端を発した貿易摩擦と、資本主義経済下の好不況の波が自然に終焉を迎えて、世界の経済状況は悪化。
にもかかわらず、ビジネスリーダー達はNational党を強く支持しているため、景況感が揺るぐことはまずない。
そのため、National党は安心しきっている。
 
社会福祉受給者にとっては、承認プロセスの厳格な制度とWork and Incomeからの公的手当が削減されるので、厳しい状況が続く。
未確認ではあるが、貧困層からの信頼はどん底であると予想される。
生活状況が悪化の一途を辿っている下層階級の救済に対応するための協議会を、ナショナル党が組織することは決してない。
 
最低賃金は物価上昇に追いつかず、希望も持てない貧困層の生活は改善しない。
 
保健大臣(ジョナサン・コールマン)は、相変わらずメンタルヘルス問題には干渉せず、対策を取るべき意見すべてを無視し続ける。
National党政権の提示した賃金は、現レイバー主導政権の提示した賃金の半分以下であったが、それでもストに入った可能性はある。
あるいは、National党政権が(医療危機)をまったく気にも留めていないことを看護師達は知っているので、ストライキを起こさないことも考えられる。(注:ある看護師団体の看護師が教えてくれたことによると、National党政権時にストを起こせなかったのは、契約書で制限されていたからで今年になってその期限が切れたそう。)
 
気候変動に対しては、暗黙の了解で「気候変動は、ホントは我々のせいじゃない」政策のため、同意するのは口先だけである。
パリ協定は、ビジネスと国の経済にダメージとなるのでほとんど無視される。
焦点はビジネス第一に当てられるので、景況感も安定。
National党政権も楽観。
 
労働団体の方針決定をアドバイスするナショナル党外部の専門家が不在なので、労働団体の約4000団体が減る。
それどころか、ジョナサン・コールマンJonathan Coleman(前保健大臣)が、医療分野で(コールマンにとって)最善の対策を指示する。(コールマンは公共医療危機を放置し続けた張本人で、現在は民間医療会社を経営している。)
 
病院や学校などの公共インフラの失策は、市場マーケットによって最終的に解決されるという考えを(ナショナル党は持っている)ので、大規模な道路建設以外は、眼中にない。
 
刑務所は倫理的・財政的な失敗であったと、ビル・イングリッシュ(前)首相が事実語ったにもかかわらず、特大刑務所は建設される。
刑務所制度の倫理的・財政的な失敗は続くだろう。
事実、厳罰化による経過の悪化が証明されていても、法と秩序の厳罰化計画に変化はない。DV被害者に対する休職の援助も制定されない。
引き続き、住宅危機の存在を否定するので、住宅価格はとどまることなく上昇し続け、不動産所有者の裕福感の上昇も続く。
この住宅価格の上昇によって、不動産所有者はクレジットカードからの借入や借金を今まで以上に増やす。
失望する住宅の未所有者数も増え、かわりにアボカドや現実的に利益の出せる商品に貯蓄を投資するように。
車の購買も「初めて買う家」同様に厳しくなる。
 
ナショナル党員の多くが中絶の現行制度について、なんら問題ないと考えているので(注:現行の犯罪法で中絶は「犯罪行為」)中絶法の改正は、決してあり得ない。
 
ニュージーランドの中間層にとって、目に見える変化はない。
大したことは起こらない。ただ退屈で効果のない政策が、継続される。
 
その間ずっとNational政権は楽観し続け、景況感も安定するだろう。
 
 
 
*****
 
デヴィッドさんの論評は、National党政権が9年間で
「困ってる人に手を差し伸べない」をやってきたことの続きと、
選挙戦で言ってきたこと。
 
私がLabour党を支持しているのは、
こんなニュージーランドに住みたくないから。
 
日本でのあたたかな人間関係と環境を絶って、選んだ生活。
移民としては、苦しむ誰かの存在を見ても見ないふりして
当然なこととして呑み込んで、暮らしていかないといけないのだろうか?
 
それが自分には、できない。どうしても。
 
Labour党メンバーになって、ドアノッキングとかして
不支持者とも話をしてきているのは
文句ばっかり言って、何もしない人間でありたくないからだ。
 
子連れで任務をこなすワーキングママ首相がいて、
ニュージーランドはリベラルだとかいうけど
それは何もしないで、空気のように自然に流れるものじゃない。
誰かの長年の努力や奮闘を見ようともしないで、ただただ満喫するだけの人たち。
 
それは女性参政権のために闘った人々のように、
フェイクニュースやデマや、変化を嫌う人たち
時代に合わない価値観、Me Me Me Me Meの
濁流に逆らい続けて、やっと勝ち得た権利だ。
 
 
Labour党の飲み会で、意気投合した大先輩が言っていた。
 
「投票できるのに、投票しないのは『生きていないのと同じ』」だと。
 
子供たちには、「バカな大人に、生活をコントロールされないように。」と
伝えているから、わが家では投票しないなどということはない。
 
 
 
論評にあるように、ビジネスリーダーと数年前から大量移住を許可した
主に中国人富裕層に、National党支持者が多い。
だから、全体の4割占める支持率は非常に固い。
 
「よくわからないけど、Nationalに投票するように言われたからNationalに投票する。」という中国人インド人の、なんと多いことか。
何言われようとも、苦しい立場の人たちの話をしても
(肥えた自分の懐は誰にも分け与えたくないので)
National以外に決して投票しないという富裕層も。
 
よく自分で考えるように説得しても「同じ国の〇〇さんに頼まれたから….」と
とにかく、自分の頭で考えない。
 
みんながそういうわけじゃないと思いたいけど、本当にうんざりするほど多い。
 
だから「今のジャシンダ政権いいな!」って思ってる人がいても
今後の選挙でくつがえされる可能性は、大いにある。
 
「困ってる人は放っておけ」政党に投票して
「困ってる人は放っておく国」作りに加担しているのに、
困ってる層から人種差別で攻撃されると、助けを求める。
 
???
 
貧困層が、外国の富裕層に国を乗っ取られていく無力感を
放っておくほうがおかしい。
 
移民が人の国に入って
我が物顔で自分のことばっかり考えてたら、受け入れたくないでしょう。
 
日本でも、そのうち在日外国人がどんどん増えて
うちの親兄弟とか、元々いる国民ないがしろにして
自分だけに有利な政党に投票したら、困る。
 
 
移民が自分の立場最優先で投票するのなら、
デヴィッドさんや、政治に熱心な住民のように
それによって何が起きるのか考えてみたらいいでしょう。
 
以前、中国人と間違えられて日本人が襲われたという被害があったけれども。
 
たくさんのアジア人学生を受け持つ、教員の夫も
いつも学生たちに注意を促しているけど
去年には、とうとうアジア人の元生徒が悲惨な襲撃を受けてしまった(閲覧注意)。
 
詐欺まがいや搾取する移民も
真面目に移住してきた移民も
 
自分と一部のことしか考えない移民も
みんなのために行動する移民も
 
外見からはわからない。
 
みんなのためにと思って行動する私も
いつか怒りの矛先を向けられてしまうことも、あるかもしれない。
 
 
10年以上の移住する前には、たくさんの日本人や非日本人の友人から
「人種差別目的の襲撃に気をつけろ。」とさんざん言われた。(あと、自殺の多さと)
 
残念なことに、今も無くなってないわけだから
もう移民は、ただ入ってきて暮らしてるだけじゃダメなんじゃないだろうか?
 
 
***
 
身近で、韓国人同士の搾取があった。
 
体験者として、負けないよう、気をしっかり持つように励ますけど
精神的に不安定で
闘おうと血気盛んになるのと
劣等感で無気力になるのと、早いペースで交互にやってくる。
すごく心配。
 
ニュースでも、中国人同士とか、インド人同士とか、なんなんだ?
またかぁ〜って思うのが、また嫌で。
 
労働雇用法の改正案が、国会で審議されていますが
イアン・リーズ ギャロウェイIain Lees-Galloway 移民・労働大臣が
「将来、政権が変わってしまったとしても揺るがない労働者の権利を、確保したい。」って、力説してました。
 
でも、ここで暮らしている人だけではなく
3年、5年、10年後
いつか、この国で暮らしてみたい人へ。
 
私もイアン大臣の言う通りだと思うし、支持しているけれど
新法をかいくぐるズルイ奴が、どうしても出てくると思うんです。
汚い奴は、とことん汚い。
 
だから、被害者を守る法律も大事なんだけど
被害に遭わないように
被害に遭う前に、食い止めたり避けてほしいんです。
 
自分のした嫌な体験を、他の人にさせないためにはどうしたらいいか。
 
私も不当解雇されてからも、元雇用主が責任逃れで重ねられるウソの数々と
国の機関の指示を無視したり失礼な言動の数々は
見聞きするこちらの方が、ビクビクさせられるほどだった。
 
イアン移民労働大臣に、元雇用主にされたことを話した時に
急変した空気と、あの怒り。
あれを横で感じて、確信した。
 
私が体験したことは
今後も「被害を食い止めるための体験談」として、
 
これからも不正行為を防ぐために、被害者を増やさないために
その手口を公開し続けるつもりです。
 
フツーに考えれば
賠償金支払いを逃れればいいと思っているだろうけど、とんでもない。
 
私の得たかったのは、自分の体験を公開する権利。
被害を食い止め、泣き寝入りしないよう、誰かの力になること。
夫ですら、もう諦めろと言っていた中で
弁護士なしで闘い抜いて、勝ち取った私の権利。
 
賠償金よりも、自分の周りの環境の誰かに変化を起こすこと。
 
ここで暮らしている人だけではなく、いつかこの国で暮らしてみたい人が
被害に遭わないよう、目を見開いてもらえるように。
3年、5年、10年後でも。
 
 
***
 
時々、
「日本の教育は良くない、海外の教育はいい」と
決めつける声を聞くけど、本当にそうでしょうか?
 
日本で子育てしてた頃は、
ミックスの子どもがいじめられないように
心配な私は、幼稚園や学校ご近所ママ友、
あちこち動いて話をして、理解をしてもらうと
あの頃の子育て環境は本当に良かった。
 
親の自分が育った時代と、今の教育は違っているところもあるのに。
決めつける人は、状況を変えようと
実際にたくさん行動して、話し合ってきたのだろうか?
 
日本もやだ、移住先もやだ、じゃどうしようもない。
 
 
でも
こんなニュージーランドは、イヤだって感じたら。
 
環境を変えるには、まずシステムを変えて
人々の意識も変えないといけないから
 
それが、移民でも永住権があれば
政治参加からできるのが、ニュージーランド。
ヤキモキしても傍観してないで、ちゃんと投票できる。
 
NZでは、Nationalが最大政党で
Labourが次で、NZ FirstやGreenなどの小さい政党があります。
 
もうほっといても、Nationalは最大政党。
だから、前出のデヴィッド・コーマックさんの指摘する政策がイヤだったら
Labour党を支持する、大きなたくさんの力が
もっともっと必要なんです。
 
先日、オランガ・タマリキのソーシャルワーカーたちが
元々が、最低賃金並みだったそう。
 
前のNational政権が、現場の声なんか無視し続けてきたから
やっと聞いてもらうための協議やストが、行われている。
溜まりにたまった問題を、一気に解決することはできなくても
もう変化は起き始めています。
 
投票権を生かさないで、起きる影響も
国民一部のために投票して、起きる影響も
国民全体のために投票して、起きる影響も
 
それは、一人ひとりの責任。
 
元々いる住民のせいにして、傍観者でいることはできないのです。
 
移民であっても。
 
 
でも、そのほうがよくないですか?
 
 
ともあれ、昔の首相の孫たちは
今のニュージーランドの政権を、喜んでくれています。