Bittersweet in NZ

こんにちは、ウトです。家族とNZで暮らしています。移住して10年近くは、多くの怒りやフラストレーションを感じていましたが、おかげで行動・経験・学びができて、最近はおだやかな日々がとても増えています。いろんな変化の流れが強いので、大切なのは何か?ということにも向き合っていたい。ここには、体験や感じたことを言葉にしておきたくなった時に綴っています。 Thanks for being here.

NZ不当解雇体験記23。「隠匿」と「労働の搾取」3

多くの国で、永住したい移民は難民とは違って、その国に「利益」をもたらさなければなりません。
 
「うちの国に住みたい人。誰でも来てくださ〜い!」なんて
両手を広げてくれる国は稀でしょう。
 
「うちの国のためになる人、来てくださ〜い!」ですよね。

 

私たちは、日本での子育ての後は、イギリスで子育て後半を続ける予定だったので、
NZ大好きが理由で移住してきたわけではありません。
 
当時イギリスの治安が悪く、NZの方が子育てするには安全だったので
日本でNZ永住ビザを申請してダメなら、予定通りイギリスに行こうとしていました。
 
そうしたら、コンサルタントなども通さずに永住許可下りたので、
NZに移住したのでした。
 
永住ビザが取れなかったら、ここに移住しませんでした。
 
もともと夫の国イギリスに戻るつもりだったので
NZに必要とされてなかったら、来ませんでした。
 
ところが、いざ来てみると。
 
「NZ人は親切ってよく言うでしょ?あれは嘘よ。」と、夫の仕事先で上司は口にし、
移住する前には全然わからなかった、理不尽で不公平な現実が始まりました。
 
昔Walk-in(楽にフルタイム雇用が取れた)の時期に入ってきた同じイギリス人教員から
「しんどいだろうけど、我慢していればそのうち良くなるから」と励まされたものの、変わることはありませんでした。
あれから、最近になっても状況はあまり変わっていないようです。
 
去年の9月、まだNational党政権の時のニュースでは、
 
イギリスから移住して来た教師が「NZには来るな!」と注意しています。
技能移民を集う側が、十分に生活できるだけの報酬を技能移民に支払わないのです。
大金をはたいたのに、
人ではなくモノのように扱われて、NZを好きだったけど嫌いになったと。
もう1人の教師は、イギリスに帰国するそう。
技能移民として移住してきて、正当に評価され仕事ができている人は本当に幸運です。
 
でも夫もニュースのイギリス人教師も、移住して目の当たりにした数々の不当な扱い。
 
技能移民より経験も学歴も少ないのにもかかわらず、
業界で牛耳っている人たちの身内・教え子がどんどん優遇されて
 
不利な契約にサインしなければ、生活していけない技能移民は
教育関係だけではないようです。
 
私の周りには、母国では医師だったのに生活のために
全然違う仕事で生計を立てている人が数人。
 
それから私たちの1年前に移住してきた子供の友達の
イギリス人パパさんの業界も相当ひどいらしく、
 
「時々、気が狂いそうになるから『なんのためにNZに来たのか』思い出すために、海に浸かるんだよ。」とつらそうに教えてくれました。
 
お互いに、国を変えて行ったり来たりさせるには、
もう子供は大きくなりすぎてできないのです。精神的にも。
 
彼はイギリスで、厳しい環境で立派な仕事をしてきた人だけど。
 
それからしばらくして、彼の業界の酷さが報道されていました。
 
 
「労働の搾取」というと、普通は
居住権のために悪条件下で労働を強いられる移民にフォーカスされますが、
 
*生活のために不利な条件で働かざるを得ない技能移民
 
*前出のニュースのように、技能移民を不利な条件で働かせるために「人材不足」を叫ぶ業界
 
*「安定した将来性のある仕事」を約束しておきながら、技能移民を無報酬で働かせて
移民局には事実とは違う申請をして、永住権を取得するウソつき移民
 
*国に利益をもたらさない人物を、あの手この手で無理やり移住させる
移住エージェントや、移住弁護士
 
つまり、
人を騙す加害者、
加害者に加担して利益を得る専門業者、
その存在を許している環境、
加害者のもっとらしいウソを信じざるを得ない移民の雇用条件の悪さ、
 
全体的に調査して厳しく正していかないと、「労働の搾取」は減ることはありません。
 
NZはもうたくさんの問題を抱えています。
 
貧富の格差、ホームレスや貧困、若者の自殺率はと調査国中ワースト1、
教育現場と医療現場の危機的状況、移民増加による人口過密でのインフラ整備の遅れと住宅不足、河川の汚染、、、まだまだあります。
 
低スキルの移民や
ましてや国に利益をもたらさない移民を抱えるほどの余裕は
ニュージーランドにはありません。
 
それは、移民大臣だけではなく、他の政治家も言っていたことです。
 
近い将来には、地球温暖化による災害難民の大量受け入れもあるでしょう。
そのための教育基盤をしっかり作らなければ、自力で生活できない人が
今よりももっと増えてしまいます。
 
パシフィックアイランダー支援プログラムで教えたこともある夫は、
 
アイランダーは、コミュニティー内で途切れ途切れの英語を使っている人たちが
少なくなく、それでも内輪では通じているので、経済的に自立した生活のためにきちんとした英語になおす必要があると言っていました。
 
NZはもう前政権の残したたくさんの問題を抱えていて、解消には時間がかかるし、
今後新たな課題も増えるでしょう。
 
だから『金も、ビジネスのコネも、スキルもない』けど
NZに住みたいから、入れてね ^^という移民は
来てほしくないし、国の財源の無駄だ!と、いう怒りをたくさん聞きました。
 
「移民はやっぱり、どこか、ずるい。」
って思われてるなあ、って感じたことありませんか?
 
この国の人だって、移民の全員が正当な方法で移住しているわけじゃない、って
知ってるわけですよね?
 
昔、NZで出産すれば永住権取れるっていうのありましたね。
3人目ができる前だから15年くらい前のことですが。
 
「NZで出産して永住しようかな?」と冗談で言ったら、
一緒にいた在日NZ人の友達が、それだけはやめたほうがいいと真剣に言って、
 
NZ人がこの制度にものすごく反対して非難しているウェブサイトを
いろいろ見せてくれました。
 
「正当に移住しなければ、子供たちが正々堂々と顔を上げて生きて行くことができないことは百も承知だよ。」と笑ったのですが。
 
ずるいとか嫌いだとか、移民に対するネガティブな気持ちが
おおっぴらだったりくすぶってたり、NZにもありますよね。
オーストラリアよりは、ずっと隠してるけど。
 
前政権が移民を大量に流入して、アジア人移民キライが増えてきたと感じます
(そのことについては追々書こうと思います)。
 
その「アジア人移民キライ」を薄めたい、とすごく思っています。
 
 ***
 
昨年はとうとう、
夫の元中国人生徒が家の前で襲撃されるという悲惨な事件が起きてしまいました。
 
(顔面損傷の画像があるのでリンク先は閲覧注意です!)
 
 
帰宅途中に、顔をハンマーやドライバー(!)で襲ったのは
言いたくはないけど、またマオリやパシフィック系の2人組。
 
この生徒は精神的にも非常にダメージを受けていて、その恐怖と
お母さんお父さんの絶望を思うと、悲しくてつらいです。
 
この生徒はうちの長男と同じ12歳で希望を胸に、NZに移住してきたのです。
だから、夫も私も親としてつらい。
 
(続く)