Bittersweet in NZ

ウトです。NZでもっとみんなに暮らしやすい環境のための社会改革に協力したくてNZ労働党メンバー・多文化メンバーをしている普通のお母さんです。*政治を考える=生活基盤をつくること*NZ高等教育機関でイギリス人英語講師をする夫を支えながら思うこと * 後半期に入ったNZでの3人の子育て*元日本人雇用主の永住権取得と同時に不当解雇されて闘ったこと*子供の聴覚情報処理障害(APD)の改善チャレンジなど、個人的な意見と体験を書いています。(the) Melvins を聴きながら。

イーストウィンド問題に考えさせられる。(2)「子供だから大丈夫」の思い込み。

 

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業務停止中のNZオークランドの移住エージェント会社、
EAST WIND イーストウィンド
 
その死亡報告が出された社長、故田中氏のブログには、
自身のお子さんのが自閉症だけど、
みんなと一緒に普通の学校に通っているというエピソードを載せていて
それが日本にいる、障がいのある子のいる家族の興味を引くらしいですね。
 
自閉症・発達障害・自閉症スペクトラム(ASD)・アスペルガー症候群
・高機能自閉症・広汎性発達障害(PDD)・ADHD・学習障害(LD)などを持つ
あるいは持っているかもしれない子の家族が
「ニュージーランドでならうちの子も一般の学校に通えるのでは?」と
考えるのでしょう。
 
でも2016年には、
オークランド大学イギリス人教授の、自閉症の子供の居住権申請が却下されたので
NZを去ることになった、というニュースがありました。
この教授が、当時の前National 国民党政権下の移民局の判断に、
不満だったのは当然でしょう。
 
でも、2008年から2017年10月までの9年間、
前国民党政権は、医療費・教育費を大幅に削減したため
 
 
実際にどんな症状なら、NZが受け入れ可能な健康状態の基準をクリアするのかは
その都度調べる必要があるし、明確な障害の診断がつかない場合もあるでしょう。
 
診断がはっきりしなくても
人とのコミュニケーションが苦手だったりして
日本(母国)の学校になじめなくて、海外でならどうだろうか?と
家族として考えることもあると思います。
 
イーストウィンドと関連会社に限らず
他の留学エージェントにも言えることですが
故田中氏は、自分の子が通常の学校に通ったことに関して、
 
留学する子供を実際にサポートする学校内のクラス環境、
特にサポートを任される生徒に関する、詳しい説明をしていましたか?
 
障害のある子をサポートするのは、専門家だけではありません。
学校だけでもありません。
 
一番サポートしているのは、毎日の学校生活でサポートする担任と教科の先生達と、
サポート係を任されるクラスメイトの生徒です。
学齢によっては、その生徒の親もそうです。
 
留学してきた一人の子に何人もサポートする関係が生まれること
その人達のことまで、故田中氏も移住サポーターも、ていねいに説明していましたか?
 
 
日本だったら学校と先生の「大丈夫」の言葉だけじゃなく、
クラスの雰囲気も他の生徒達の気性もきめ細かく、親は確認しませんか?
 
子供のために、大事なことですよね?
 
 
学校内で、大人の目の届かない場での「実際の生徒達の態度」を知りもしない
「外国人」の大人達の言う「大丈夫」を、そんなに簡単に信じてしまうのでしょうか?
大事なわが子の環境選びは、それで大丈夫なのですか?
 
 
その状況を熟知しない人に「大丈夫」と言うのは簡単です。
だってその人が理解してることに、プラスαつけて
「大丈夫」って信じさせればいいんだから。
 
だけど、本当に誠実に「大丈夫」と言う人もいます。
 
「真実の大丈夫」と「ニセの大丈夫」。玉石混交。
ニセの大丈夫言う人も、すごくいい人のフリしてるからいい人に見える。
違いがちゃんとわかりますか?
 
ニュージーランドの学校が、
あたかも障がいのある子にとってサポート体制の整った環境であるかのように
もし、故田中氏が障がいのある子の親として、
一方向からしか語っていなかったとしたら
彼は事実を知らなかったのかもしれないけど、まったく事実を伝えていません。
 
なぜかというと、
わが家の子供達はみんなこれまでサポートする側をやってきたからです。
そして同時に私は、日本以外では学習障害の一つである
聴覚情報処理障害(APD)を持つ子の親でもあるからです。
 
障がいのある子の親御さんが、NZでサポートを受ける側の視点だけでなく
障害のある子の親の一人として、
サポートする側の実体験を参考にしてほしいと思います。
 
留学させることが、子供の可能性を広げることになるのか
あるいは、泳げない子を大海原に放り込むような行為なのか?
それぞれの家庭がよく考えてほしいと、思うのです。
 
 
たいてい、英語がまだ不自由な移民の生徒が来ると、クラスの生徒がサポートします。
ESOL以外の授業は一般の生徒と一緒の授業なので、先生の説明で理解できない生徒を
サポート係の生徒が説明します。
 
でも中には、いつまでたってもサポート役を頼ってしまう、
英語習得したくない子もいます。
 
移住がホントはイヤだった、
ネイティブとのありすぎる差に諦めて無気力、
劣等感を持っている、とかで。
 
頼られすぎるサポート役の生徒の勉強や成績に、支障が出るほどになると
先生と相談してサポート役をはずれます。
 
でも学校は、ケアできる教育環境が整っていないのに、
英語ができないことに加えて、人との関わりが苦手だったりする生徒を
受け入れることはよくあります。
 
例えば、夫が受け持ったクラスの初日。
教室に入ると、英語と母国語の二人の通訳者がついている、
耳の聞こえない難民の生徒が一人いました。
驚いたものの、夫は臨機応変に授業内容と進行を変えました。
こんな風に、学校側は前もって教師に伝えないことなんかザラにあるのです。
 
同国の移住サポーターには絶対会いたくないからと
他の階に行きたくても行けずに、廊下で必死に隠れ続けている、成人している生徒を
不安を取り除くために、別のサポーターのところへ連れて行ったり。
 
本当は家族サポートが必要なのに、親が手に負えないから、
海外に送っているんじゃないか?と、
先生達に思われているような、単独でやってくる留学生もいます。
 
 
ある時、息子のクラスであった、一番わかりやすい体験。
 
移住してきたばかりで、英語の不自由な生徒が
同じクラスのうちの息子となら落ち着いて話ができる、というので
息子は先生からサポートを頼まれました。
 
もちろん困っているのを手伝うのは当然なので、
息子自身も移住したばかりでしたが引き受けました。
 
でも、ちょっと様子がおかしいぞ?と感じたのはすぐのこと。
 
息子以外とは、どの先生ともクラスメイトとも話したがらないその子。
その子と先生が意思疎通ができなかったり、困ったことがあるたびに、
息子が体育してようがテストしてようが、担任の先生だけでなくヘルパーの先生も、
1日に何度も息子を呼び出すようになりました。
 
しょっちゅう息子の勉強が中断されます。
それは、最初の1年間は毎日、2年目には2、3日おきに続きました。
 
学校も先生も、その子と意思疎通ができないので、息子に丸投げ状態でした。
 
呼び出しによって、学校の勉強がとぎれとぎれになるので
当然、息子は自分の勉強が思うようにできず、
英語だけでなく、他の勉強も周りのみんなに追いつこうと焦って、
毎日夜遅くまで勉強していました。
 
勉強に支障が出るほど、毎日何度も呼び出されるのは多すぎる、
どうにかしてもらいたいと、親子で先生とも何度も話し合いました。
 
でもいつも
「大変すぎるのだったら、サポートをやめてもいい。『だけど….』」
おしまいに何度も『だけど….』と口ごもる先生。
先生もとても困っているのは、私達親子にも、わかっていました。
 
誤解のないようにはっきりしておきますが、
その子やその親御さんのことをどうこう言っているのではないんです。
 
学校はいろんな生徒を引き受けるけれど、
実際に受け持つ先生もヘルパーの先生も、
その生徒とコミュニケーション取れなくて、対応できない。
 
移民を受け入れるNZの全国すべての教育現場が
生徒のすべての「多様性」に、対応できているわけではない、
という事実を知ってほしいんです。
誰かの善意、誰かの無理に頼らないと、実はやっていけてない教育現場がある、と
いうことを。
 
今でも、特別ケアが必要な生徒への支援と専門教員の数が圧倒的に足りないと、
教育現場で問題が続いています。これはネイティブの生徒に対してです。
 
英語のできない特別ケアの必要な生徒になると、もっと足りないはずです。
 
OECD加盟国36カ国中で、
いじめ発生率の高さが2番目に多いのです。
ワースト1は、ラトビア。
でも移民の子が言葉でいじめられても、母国語で言われているわけじゃないから
それほど傷つかないだろうし、気づかないフリすればいい、という生徒もいます。
移民の子がいじめられても、なかなか注目されません。
 
イギリス人友人の家族は
子供へのいじめを学校に訴えても
「うちの対応がイヤなら、転校してくれて結構です。」と言われて
転校せざるを得ませんでした。
 
日本の学校でも、いいとこ悪いとこあるように
NZの学校も、例外なくいいとこ悪いとこあるのです。
 
<「大丈夫」が、大丈夫じゃなくなったら、どうする?>
 
日本は合っていないみたいだから
ニュージーランドに何かを求めて、やって来たり、つながりを持つようになる。
 
いい国だと言われて、
子供のためと信じて、選んだ海外の学校で
思いがけず、成長につまづいたらどうしますか?
 
誰かに言われた「大丈夫」が「大丈夫じゃなくなった」時に、
先陣切って子供を守れますか?
 
昔はよく「英語ができなくても、移住した」話があって、人気ありました。
守るべき大切な人がいなければ、それは可能かも。
海外移住すると、自然に英語が話せるようになると、今も思われてるかもしれません。
 
主に話す英語はHelloとThank youだけで、何年も暮らしていけている人
ほとんど自分の国のコミュニティとの交流しかなくて、
英語で意思表示が10年20年いてもできない人が、たくさんいます。
 
英語ができなくても、ただ暮らすことはできます。外国人としてほっとかれるから。
大丈夫って学校に言われるから、大丈夫だろうと、安心しながら。
(特に何も言ってこない移民家族は、学校にとって都合がいいし「日本人の親は夢見てる、ファンタジーの中にいる」と指摘されたりしますが。)
 
でも、NZで英語ができないということは
自分だけでなく大切な人に、いざ何かあった時に
守れない、助けることもできない、ということです。
 
英語ができないということは、「無力」だということではないですか?
 
英語ができなくても、誰かにサポートしてもらって
英語ができなくても、なんとかなってる状況が続くのは
本当は、危ないことなんだと思うんです。
 
その人を無力化させているんだから。
 
無力化させて、都合よく利用する。
 
それから。
言葉ができなくて、同じ国の人と固まっているアジア人の親集団のことを
学校で生徒達が、軽蔑しバカにしていることを、ちゃんと知っていますか?
 
そういう大人達の影響で、アジア人の子供達もバカにされたり
いじめにあうことを。
 
気づいていないフリして、黙っているアジア移民の子供達のことを
ちゃんと知っていますか?
 
この状況を変えられませんか?
アジア人移民はいつまで、バカにされる対象にならなければいけないのですか?
 
 
<わが家で、「大丈夫じゃなくなった」時>
 
息子には、聴覚情報処理障害
APD(またはCAPD、Central Auditory Processing Disorder)があります。
APDは最近日本でも、症状を自覚する声が増えているようです。
 「人の話が音として聞こえるけど、言葉として聴き取りづらい・理解しづらい。」
原因に先天性や、中耳炎が原因の後天性があります。
 
このブログでは、
息子本人が「Disorder障害は、自分にとっては『害』だ。」と言っているので
障がいではなく、障害と表記しています。
 
ちなみに、息子のが中耳炎が原因だろうとされるのは、
APDの脳訓練が、先天性の場合より、
効果が出るのに時間がかかっているからだそうです。
(中耳炎になると、脳の情報処理能力の聞き耳を変えてしまうので)
ということは。
先天性の人の場合、もっと早く脳訓練の効果が出るかも?ということですよね(^^)
 
APDとの奮闘も書いているので気になる人は、たどって読んでみてください。
経過のUPもするようにします。 
 
APDは聴き取りが悪いので、注意力散漫に見えるADHDと
読み書きに問題を抱えやすいので、学習障害のディスレクシアと、
混同されやすいなぁと感じます。
特に、薬の効かないAPDですが、ADHDでは薬物療法もあるので、
誤診されないように、的確に診断される必要があります。
 
息子は、高校生の時に、しつこい咳が続いて重い中耳炎になり、
ずっとプールの中にいるような聴こえ方のまま、3年半治療に費やした後に
APDと診断されました。
 
この時、高校卒業まで1年ちょっと。
APDへの対処をしながら試験を受けて、
大学入学資格を無事に取得できるまで、たった1年しかありませんでした。
 
たった1年で、どうにかしないといけない私は、焦りました。
 
私がしたこと。
  1. 中耳炎がなかなか治らず、手術後も、かかりつけ医(GP)と耳鼻咽喉科専門医を行ったり来たり3年半。
  2. 聴覚訓練士にAPDの可能性を指摘されて、専門機関でAPDと診断される。
  3. 年少時から(先天性)の症状ではなく、成長した生徒の障害には、国の支援が受けられず効果的な対応ができないことがわかり、当時労働党党首だったジャシンダ・アーダーン現NZ首相に、直談判しに行く。
  4. 対応を確実にするために他の発達障害がないか診断するため、教育心理学者を大急ぎで探す。
  5. 教育心理学の診断を受ける。
  6. APDに関する研究論文(圧倒的に日本のは少ないので、英語)を数多く読んで勉強し、対処治療法を探す。
  7. 時々、息子の周りで過ごすことの多い彼の友人達に負担になっていないか?話し、疑問などに学んだことから教える。(それまでにきれいごとだけでない話ができる友達のお母さんとして、話しやすい関係を作っておく)
  8. 音楽療法を使って、教育指導する別のAPD専門家を見つける。
  9. 善意ある遠隔マイク補聴器の寄付があり、授業内で効果的な脳訓練ができるように。のちに学校で他のAPD生徒が利用できるように、APD専門機関と学校と先生6人と息子本人に協力を持ちかけ、学校内での効果的な脳訓練のプロジェクトを作る。無事に終えて学校を卒業し、脳訓練を続けながら希望の進路へ進む。 
 
イギリス人の旦那がやったのでは?
いいえ違います。夫は、読んでほしい論文も疲れて読めなかったので、
奥さんに任せっきりです。
 
それに
APDなどの専門医は自費で、診察費も高く、ゆっくり治療する時間がない。
研究論文を頭に入れておくことはもちろん
研究からの質問することでさらに知識を増やして、限られたミーティング内で
より多く決断をする必要がありました。
そういうわけで大事な判断も夫は、本人と私に任せてくれていました。
 
***
 
もし、大丈夫だと思っていたことが、うまくいかなくなったり
突然とダブルが起きて、プランBに進まざるを得なくなったら
 
頼りにしていた人や
移住サポーターや留学サポーターは、ここまで対応してくれるでしょうか?
 
サポーターは、聞くところによると何人も生徒を抱えています。
はたして、ここまでやってくれるでしょうか?
 
 3番目のは、やらなくていいとしても
他のことは、日本でだったら親としてやるような通常の行動ですよね。
 
 もし、医療通訳がずっと必要だったら、すっごい通訳費用と時間もかかってしまう。
 
 海外であろうと、子供に何かあったら、日本で対応するのと同じように
親が先陣切って、既存のやり方でなくても対応する必要に迫られる場合があります。
 
発達障害や学習障害の子を持つ、NZerやヨーロッパのママ友達が多くいます。
 
これらのママパパ友達は、私よりもずっと長い間、
子供の障害自体と教育環境の不備に悩み、学校や教育制度と闘ってきました。
そばで、支える親の方が倒れないように、悩みを聞いてきました。
 
似たような症状があって、さらに文化と言語に不慣れな子供が
海外から留学してくる状況を、とても心配しています。
 
海外で子供を育てる、留学させる前に、
もしうまくいかなかった時
自分がどう対応するか、対応できるか?も
考えてあげてほしいのです。
 
放っておかれてそれがいい子供もいる、でもそうじゃない子もいるから。