Bittersweet in NZ

こんにちは、ウトです。家族とNZで暮らしています。移住して10年近くは、多くの怒りやフラストレーションを感じていましたが、おかげで行動・経験・学びができて、最近はおだやかな日々がとても増えています。いろんな変化の流れが強いので、大切なのは何か?ということにも向き合っていたい。ここには、体験や感じたことを言葉にしておきたくなった時に綴っています。 Thanks for being here.

IELTSストーリー。

「ビザが切れそうで、大変なんですー!!!」
「仕事クビになりそうで、大変なんですー!!!」
「退学の危機で、大変なんですー!!!」
 
IELTS(アイエルツ)を受ける前に夫のところに来る
切羽詰った生徒さんたちから、よく聞く叫び。
 
そして私たちはため息ついて、いつも思う。
 
なんで、もっと早く勉強始めなかったの?
なんで、ギリギリになるまで放っておいたの???
 

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夫はよく大学や学校で、IELTSのクラスを受け持ったり
個人レッスンでも教えています。
 
ニュージーランドで勉強したり移住したりする人は、たいてい受ける
IELTS(アイエルツ)という英語検定
 
リスニング
リーディング
ライティング
スピーキング
 
4つの英語力を
バンドスコアという、0(低)〜9(高)の熟練度で判定します。
 
夫は通常のケースだけでなく、
それまでいろんなところで学んでもパスできなかった人や
理由があってなかなか上達できなかった人などにも
大学からの指名を受けて、個人レッスンで教えたりもします。
 
 
ある生徒さんは、
集中力が続かず、すぐ空想に浸ってしまうので、英語力が伸び悩んでいました。
でも教えているうちに、昔の親からの虐待によるストレスが原因、
ということがわかりました。 
でも時間をかけて、目標に集中して、無事達成することができました。
 
その生徒の指導を希望した親戚の方が
届いた合格通知を、信じられなくて。
夫に真偽を確かめると、ものすごく興奮して喜んでくれました。
あれは、本当にうれしかったです。
 
 
英語ネイティブでも、なかなか受からない人もいます。
そういう人は、どうしてもリーディングだけとか、
一つだけ引っかかってしまうようです。
もしかしたら、ディスレクシアやAPD(聴覚情報処理障害)が隠れて、
あるのかもしれませんね。
 
あるイギリス人生徒さんは、
多くの先生たちに「もうあきらめなさい」と言われるほどで、
悲壮なくらい、自信をなくしていました。
ご主人から
「ネイティブなのに落ち続け無理だと言われて、本人がひどくまいっている。」と
内緒で夫に直々にお願いしに来るほどでした。
でもがんばり抜くことができて、めでたく希望の職業につくことができました。
 
ちゃんと、目標達成するまで時間をかけて指導を受けて、努力を続けてくれました。
 
***
 
「IELTSって簡単に受かるよ!」
 
そんな噂が、あるのかな?
 
楽に受かった人の体験で、自分もそうなると「錯覚」しているのかな?
 
IELTS勉強する人の中には、
数週間先生に教われば、とか
あるいは1、2回のレッスンでクリアできると思う人が
よくいるんですよね。
 
どこからそんなに自信が出てくるんだろう?
 
確実にクリアしようと計画的な生徒さんは、体感的には3割くらい。
 
いろいろ話を聞いて「がんばります!!!」って意気込みを聞いて
 
そのがんばりは、
例えて言うならハードル1.8mかねえ…と私たちは想定するのですが
 
でもいざフタを開けてみると、生徒本人の想定努力はハードル1m。
 
それって、努力しなくても今、跳べなくない???
 
本当にそれでいいの?大丈夫なの?って聞きたくなるのです。
 
中には、自分が落ち続けるのは試験官のせいだと抗議に行く人も。
試験官には知り合いも多いのですが、手抜き判定をするとは考えられません。
 
難なくスコアを上げられる人もいますが
一般的には、IELTS6からは0.5ずつでも上げるためには
しっかり勉強しないといけないそうです。
 
***
 
夫が教えるのは、IELTS7を目指している人が一番多いです。
5.5や6は少なめですね。
近頃でも就学前教育の先生が数名、IELTS7を目指して、勉強中です。
7でないと、フルタイム勤務できないんだそうです。
 
ビザのことには関与しないので、ビザ情報は生徒自身や学校や聞くのですが
就学前教育の先生は、子供を持つお母さんの間で人気があるそう。
 
ニュージーランドで暮らすためだけではなく、
イギリス、オーストラリア、カナダ行きを目指している人も少なくないので
IELTS8を狙う人たちも。
 
大学に入るには、6.5や7くらいだそうですが
現実には、
入ってから議論したり勉強していくには、
8はあったほうがいいって夫は言っています。
 
***
 
最高点、IELTS9(エキスパート・ユーザー)を狙う人たち。
 
最高レベルに到達したいという、すごい人もいます。
長年の夫の横での観察によると、それはみんなロシア人。
 
ロシア人のママ友が言ってました。
ロシアでは、勉強ができないといけないという
強迫観念にも似たプレッシャーがあって
彼女はそれを子供にかけたくなくて、NZ移住したそうです。
 
そんなエリート志向のせいかどうかはわからないけれど、
あるロシア人社長さんは、永住ビザもあってIELTS受ける必要無いのに
IELTS9を楽にクリアできるようになりたいと言って、夫のとこに来てました。
 
その後、
IELTS9を3回取り続けたので、満足したのだそうです。
 
***
 
私のIELTS体験。
 
そういう私も昔、10年ほど前にIELTS受けました。
 
元々、子育て前半は日本で
後半は、夫の国のイギリスで、と決めていた私たち夫婦。
 
それが、イギリスが薬物や暴力で荒れ
友人の可愛かった子供までが、殺人事件に巻き込まれるまでになって
子育て環境としてはどうか?と、ひどく心配し始めました。
友人たちからの忠告もよく聞いた上で
夫が、NZに永住につながる技能職ビザを申請しました。
 
一度NZで暮らしてチャレンジして
永住ビザが取れなかったらイギリスへ行く、という選択は
子供たちの負担を最優先に考えるわが家の選択肢としては、
まったくあり得なかったので
もし、永住につながるNZの居住ビザが取れなければ、
そのままイギリスに行く予定でした。
 
そしたら、主申請者の16歳以上の家族も
IELTS5か5.5だったか受からないといけないらしくて。奥さんでも。
 
聞いたらビジネスビザは、主申請者でも4でいいんだそうですね。
ビジネスする人の方が、もっと英語が必要な気がするけど
奥さんで5なのに。なんか腑に落ちないなあ....
 
当時の私は、まだ3人目の子の授乳中で
上2人のお兄ちゃんたちもヤンチャ盛りで、スッピン子育て全盛期。
 
夜間(夜中)授乳も続けていたし、
しかも順番が回ってきちゃって、PTA役員と町内会役員までやっていました。
 
学生以来久々に試験を受けるなんて、そりゃあもう緊張するし
IELTSの勉強は1年ぐらいやらせてほしいと、夫にお願いしました。
 
いつも多くの学生たちの試験の大変さを見ているので、
「1年間はしっかり勉強しなければ」と思っていました。
たとえ英語講師の妻であっても。
 
夫も、申請してもすぐには選ばれないだろうし、何年もかかるかもしれないから
納得するまで勉強するといいよ、と。
 
 
それなのに。
わが家のケースは、予想よりもはるかに早く、あっという間に選ばれました。
そのため、申請手続きを急いで進めなくてはならなくなりました。
 
本当なら、喜ぶべき場面なんだけど、私は
「ちょっと待ったーーーーー!!!」
叫びが届くはずもなく。
急にプレッシャーが、重くのしかかってきました。
 
なんでそんなに頭を抱えたかというと。
 
試験当日は、ほぼ一日授乳ができないからです。
 
知らない人のために
母乳育児のことをちょっと説明しますと。
私の場合、授乳間隔が3時間以上開いてしまうと
お乳がまずくなってきて、しこりや痛みが出ます。
動くのもつらくて、治すのに1週間以上かかるような乳房トラブルが襲います。
その上「さし乳」といって、自分で搾ってもあまり母乳が出ないので
ちゃんと赤ちゃんに吸ってもらわないと、詰まってしまうという面倒なお乳でした。
 
当時IELTSテストは、4つ全部を1日でやったので
試験会場への往復も入れると、ほぼ丸一日授乳できず
過去のひどい乳房トラブルを思い出すと、ゾッとしました。
テストのことよりお乳の心配で、とにかく気が重かった。
 
そうは言っても、
1年間勉強する時間は、なくなってしまったので
効率よく勉強しないといけません。
 
それで、一度試しにテストを受けることにしました。
場所や一日のスケジュールに慣れるためにも。
 
 

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当時、日本語のIELTSテキストは少なかったのですが、
このオーストラリアのテキストが、シンプルでわかりやすかったです。
 
お試しテストの後で、十分勉強できるように
お試しテストを、すぐに予約。
それもあって、勉強できたのは数時間だけだったので
とりあえずテスト方法を理解して、ライティングの時間配分を練習しました。
一回かけたライティングは
夫がチェックしてくれるはずだったけど、結局忙しくて見てもらえず。
 
こんなもんなんですよ。
 
よく旦那さんが英語教えてくれるんでしょ?って思われますが
うちの先生は、よその人に教えるので手が一杯なんです。
だから奥さんは、まるで職人の技を盗むように
日々の暮らしの中で、身につけていくしかありません。
 
 
試験当日は、やっぱり
リスニングの途中でお乳が重くなってきました。
そうなると、脳の40%がお乳に気を取られてしまいますが
負けずにテストに集中します。
 
最後のスピーキングでは、
私の前の若いロン毛のお兄ちゃんが、やる気満々で
ドアを開けてテストルームへ入って行きました。
 
痛くて早く帰りたいのに、
なんで私は最後なんだろうと思いながら呼ばれて部屋に入ると
スピーキングのテーマは「写真」。
 
とりあえず適当になんでも話ができる人だといいですね。
興味ある・なし、がはっきりしている私には、困ったテーマでした。
 
それでも、この日までに
桶谷式母乳マッサージの先生の協力を、しっかり受けてきたので
なんとか無事に終わり、帰宅して夜中も授乳することで
トラブルはにならずにすみました。
 
***
 
なんだかお乳の話になってしまいましたが
英語の先生と暮らしてても、ちゃんと勉強プランを立てるので
 
家庭で英語を使っていないのなら余計に
1、2回のレッスンで目標のスコアが取れるなんて思わないでほしいのです。
IELTSの先生は、魔法使いじゃないんですから。
 
早めに動いてくださいね。
ビザや仕事が、そんなにやばくなる前に。
 
まあ、そう伝えたい人たちは、ほとんど日本人じゃないですけどね。
 
今、IELTS勉強してる人は、がんばってくださいね!