Bittersweet in NZ

ウトです。(the) Melvins を聴きながら。NZの大学のイギリス人英語講師の奥さん目線 & NZ移住して3人の子育て後半戦に挑む奮闘記 & NZで元日本人雇用主の永住権取得と同時に不当解雇された体験記、息子のAPD(聴覚情報処理障害)との奮闘レポートなどなど。

NZで育つのは本当にいいことだらけなの? 悩みに向き合い続けて思うこと。

NZに移住してあっという間に10年。
 
英語を教えるイギリス人の夫を通して、一緒にたくさんの生徒たちを見てきました。
 
そんな中でも夫は
英語が母国語でない、
主に家庭の中で話す言語が英語じゃない生徒をたくさん受け持ちます。
 
30年ほどの教職経験の中でも
NZでの経験は他の国での経験とは違うよう。
 
アカデミック英語では、授業や課題のテーマとして
NZの抱える問題、例えば
移民、住宅、インフラ、差別、教育、医療、その他さまざまな切り口を批評的な視点で
議論したり小論文を書いたり、スピーチや発表をします。
 
だから生徒たちは、必然的に自分の置かれている立場を見つめざるを得ないんです。
 
それに夫が最初に自己紹介して、
外国人歴が長く、妻がアジア人で、同年代の子3人の親であること
それにNZerじゃないことを知ると
NZに否定的な意見や悩みを打ち明けやすいようです。
 
生徒たちそれぞれの考えや経験からくる思いに、直に接していると
「苦しんでいる生徒の多さ」に気づかされるんです。
 
夫は気になること心配事をしょっちゅう話すので、
一緒に対応を考えるんですね。
 
たくさんの生徒をサポートする夫を
妻側も精神的にサポートしていかないと、
支える先生がいつか倒れちゃうんじゃないかって、ぐらいに。
 
生徒たちの気持ちに寄り添ってみると、
初めは海外からの留学生だと思っていたら
実は、NZで生まれたり小さい時からいて
ここの教育を受けてきたはずなのに、苦しんでいる人が少なくない。
 
その多さにショックを受けたのはもう8、9年前のこと。
 

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小さい頃は、「自分はキウイで、〇〇人じゃないぞ!」と信じて疑わなかったのに
成長に伴って、無視したいけどできないビミョーな違和感、
食い違いを感じることが増えて
高校の中頃には、自分はどうしてもネイティブじゃない、キウイじゃない、と
思い知らされる。
 
夫がいうにはアジア人学生には、難しい言葉を知っているのに
使い方が間違えていることが多いらしい。くせになってて簡単に直らないことも。
 
学校ではそんな細かく指摘してくれないから、
 
家庭で根気強く直していってあげるべきところだけど
おうちのお父さんお母さんがそこまでやってこなかったってことですよね。
 
 
悩みを抱えている生徒たちのメールでも
練習のエッセイでも、
ちゃんと言葉で表現していても、していなくても、
 
つらさしんどさって滲み出ている。
 
すごい、モワ〜っとね、漂ってるんですよ。文面から。
 
劣等感、自己過小評価、低い自尊心、拭えない違和感が。
 
私自身が英語ネイティブじゃないからか、気持ちが敏感にわかって
大抵夫より先に気づきます。
 
大事なサインかもしれないから、自分の子を見つめるように
いつも注意深く真剣に見ています。
 
 
NZで子育てしてきた、している親御さんたち。
 
このことに気づいているのは、どれくらいいるのだろう。
 
 
生徒たちのほとんどは、この気持ちを親に話してません。
 
 
私の注目している人で、NZのコメディアンで、
精力的にメンタルヘルスの支援活動をしている、
Mike Kingさんと言うすばらしい人がいるのですが
 
そのマイクさんが去年8月、Checkpointという番組で言っていたことによると
 
子供達は悩みや苦しみを、
親に悪い傷つけたくない、できるだけのことはしてくれたからなどで
親に話さないことが多いんだそう。
 
NZに暮らす40%の子供が、学校を卒業までに自殺未遂をするそう。
そして自殺を考えたことのある80%の人は、
親や周りに助けを「一度も」求めなかった。
 
話した情報で何をされるか、親を傷つけるから親はできることはしてくれたから、と。
 
これ、すごい実感してます。
 
私たちが気づいた悩みのほとんどは親に言ってないです。
 
物騒なことを書きますが、事実なのでね。
 
去年のUNICEFの発表ではNZの青少年(15ー19歳)の自殺率は、調査37カ国中で
ワースト1です。
 
 
そして、マイクさんは
周りの大人は子供に対して決めつける考え方をやめるべきだ、と訴えていました。
 
 
 
海外生活だから、楽しくて当たり前?
 
ちっちゃい頃から学校で英語に囲まれてるんだから、英語できて当然?
 
お友達とは英語で会話してるし、英語習得は学校にまかせとけばなんとかなる?
 
親が母国語で話してるんだから、バイリンガルになるのは当たり前?
 
(バイリンガルって、英語も母国語もどっちも中途半端でもいいの?)
 
多民族国家だから、差別やいじめが少ない?
 
 
これらは、「親ふざけんな!」と怒りを込めて訴えてきた生徒たちの声。
 
生徒たちって、30代もいるんですよ。
 
 
以前ある韓国人生徒が、
「海外での子育ては、親(母親)にとってはファッションみたいなもの。ステータスがあって、自分たちは英語話さない日もあるくらい韓国コミュニティーにどっぷり浸かってんのに、さも充実しているかのように、海外生活自慢に余念がないんだ。子供には勉強頑張れって言うくせに、自分は十数年いても英語上達させようともしない。そのくせ家では、韓国語や文化を忘れないように押し付ける。」と
 
ぶちまけてくれたことがありました。
 
これを聞いた時、正直、すごくうれしかった。
 
それまで韓国人生徒は、不自然なくらい親をかばい過ぎるくらいで
もどかしいほど辛いのは自分のせい、と言う子ばっかりだったから。
 
ご飯作って毎日の移住生活で、親御さんも大変だと言うのもわかります。
大人がそれだけやってるから子供はなんとかなるだろうと。
子供がなんとかなったんならラッキーだけど、なんとかならない場合があるから
たった一人の先生のところにこれだけ悩みが寄せられるんですよね。
夫はカウンセラーじゃないんですよ。英語の教科の一教員なんです。
 
たまたまある教育を受けている人に、たまたま夫が接して、見つかった苦しみは
絶対に氷山の一角なはず。
 
でも生徒たちの訴えは、全部に近いくらいほとんどがホント的を得てて
「あなたの言う通り!」っていう感じなんです。
 
「あなたの言う通りだと思うよ。私に話してくれたみたいに、お母さんに話すことはできそう?」って前出の韓国人生徒に、そっと聞いてみたら
 
「聞く耳がないよ。言ったって理解できない。NZはいい国いい教育って信じて疑ってないから。学校みたいに毎日感じるやな態度とかズレを実際に知らないから。」って
あきらめ笑いをしてた。
 
大学の場合だと一人の学生に3ヶ月の期間しか接することができなくて、
悩みに気づいて励まし続け続けるのも、専門機関につなげることも
短期間でしかできません。
大丈夫なくらい立ち直っていくまで見届けることは、なかなか難しいです。
残念です。
 
 
あるヨーロピアンのママ友達が、
(私たちが)そんなに学生からたくさん悩みを打ち明けられるのは、
学生たちの親とは全然関係がないからじゃない?と。
悩みを聞いてると、親がもっと早くに気を利かせて手を打っていれば
こんなに悩まなくてよかったのにと思うことばっかり。
 
同じ親として腹立つから、何ボサーッとしてたんだー!と飛んでいって
スリッパでパコーン!と親の後頭部をはたきに行きたいところだけど、実際は無理。
 
つらかったら、ためてたらダメ。吐き出した方がいい。
 
私たちに吐き出してくれると、いつも「ああよかった」って思う。
 
ただ英語を教える夫にはたくさんの生徒が次々とやってくるので、
長年のうちに残念だけど忘れてしまうことがあって。
 
きちんと経験をつぶさに覚えているのは私だけ、なのです。
 
もう7、8年前からたくさんのみんなの悩みを本にして世に出して、
移民の親たちに現実を知ってもらいたいとまで考えていたけど
 
プライバシーもあるしそれは無理そうなので、
ここで書いて残していきたいと思います。
 
NZはいい国いい教育って、無邪気にパラダイス気分の親御さんに会うと
「家族みんなが同じようにそう思ってるといいですね。」って言います。
 
親がいくら気を揉んでても、
子供が朗らかだったりネガを振り払って前向きに生きれる人に育っていったら
いいことですよね。
 
でも親がのほほんと、子供のつらさや日々晒される困難を
理解しようともしないでいたら
子供だって心を開きたくなくなりますよ。
 
親の前では、何があっても万事OKのふりして「大丈夫」って言ってる、って
言う生徒とても多いですよ。
 
 
メンタルヘルスへの取り組みが危機的状況なのに、
前National 政権はずっと問題視していなくて、
去年9月の選挙の数週間前に、やっと問題として「選挙用に」取り上げた。
 
学生たちの置かれている現実の苦しさを私たちは知っているから、
手を打たない前National 政権には、ずーーーーっと頭にきてた。
そんなNationalに投票するサポーターに対しても。
 
この前の選挙では、
メンタルヘルスへの取り組み強化を長年訴えてきたLabourが政権を握るために
 
私も心の中から熱い想いが湧き上がって駆けずりまわったのだけど
 
あれは、夫や私には言えるからと、
悩みを打ち明けてくれたみんなのおかげなんだなあ、って今わかった。
 
 
悩みを打ち明けてくれたみんな、本当にありがとう。
 
みんなのおかげで、いい国にいい環境にしようって力が湧いてくるよ。
 
これからも、私たちに出会ったら話してみてね。一緒に考えたいから。
 
 
 
問題を明らかにして指摘するのは、解決する必要があるから。
 
文句言うのは、良くしたいから。
 
じっと何もしないほうが、しんどい。
 
 
ただ海外移住して、お客さんのようにそこに住んでるだけなのは、自分らしくない。
 
なるべく多くの人にとっていい環境にしたい。
 
 
 
新しい年になって、そんな私の想いで動き始めていることには、
 
ポジティブに勇気づけて後押ししてくれる人たちがいて、うれしい。
 
 
苦しかったり違和感が拭えなかったりする人は、
 
とにかく周りにわかってくれそうな人を見つけて、伝えてください。
 
 
吐き出した方がいいから。
 
 
これからも、私たちは当たり前のこととして手助けしていきます。
 
 
 
でも、もしNZで子育て中の親御さんがこれを見ていたら
 
自分の家庭ではどうか、考えてほしいのです。
 
 
家族にはそれぞれ方針があるし、何が正しい間違っているじゃなく、
 
こう言う現実があって、自分の家族はどうだろう?と考えてほしいのです。
 
 
考えて、
 
自分たちなりのやり方で、手を打ってほしいのです。