Bittersweet in NZ

こんにちは、ウトです。家族とNZで暮らしています。移住して10年近くは、多くの怒りやフラストレーションを感じていましたが、おかげで行動・経験・学びができて、最近はおだやかな日々がとても増えています。いろんな変化の流れが強いので、大切なのは何か?ということにも向き合っていたい。ここには、体験や感じたことを言葉にしておきたくなった時に綴っています。 Thanks for being here.

NZ不当解雇体験記16。私の不当解雇がニュースになった!

もう一つのInvestigation Meetingが終わった次の日は、少し息抜きしたかったけど
いつも通りバタバタ慌しい日でした。
 
夜になってメールチェックしてたら、
 
だいぶ前に不服申立の書き方だけ教えてもらった
Community Law Centreの弁護士さんから、突然メールが。
 
「おめでとう!不当解雇、勝ち取ったんですね!」
 
は? なんで知ってるんだろ?
 
「ニュースの一面に載ってましたよ!」
 
はあ?????
 
なんで???
 
いまいち状況が把握できず、教えてくれたリンク先を見てみると
 
本当にネットのStuffニュースの、トップニュースに
私の不当解雇のことが載っていた….
しかも実名で….. や〜め〜て〜〜〜
あわわわわわわわどうしよおおおおおおおおおおお、と
うろたえながら読んでみる。
 
相手は悪いことしたんだし、私達は大人だから仕方ない。うん仕方ない。
 
でも小学校のことが、特定できるように出てしまっていた。
うちの名字は、別に英語名だから目立たないけど、相手の日本語の名字は出てる。
小学校もわかるから、相手の子供が嫌がらせを受けちゃうんじゃないか?と
急にものすごく心配になった。
 
なんで? 実名で出さなくてもいいのに。
しかも、学校まで….
 
大人は仕方なくても、相手の子供になんかあったら困る…..
 
困ったので、
南島にいる長男に電話報告したら「すごいねえ!」と喜んでいる。
 
「ママは正しかったんだぞ」と夫まで喜んでいる。
勝ったんだからもうしょうがないよ、とか言ってる。
 
そんなことじゃないのに!
 
私の困ってるポイントを息子に話すと、記者に連絡してみたら?と。そりゃそうだわ。
 

f:id:uto87:20171028195045j:plain

 
後日とにかく記事を書いた記者さんに連絡してみた。私の心配事を伝えて
実名を出すのはどうにかなりませんでしょうか?とお願いしてみた。
 
それにEmployment Relations Authority(ERA)にも、
ニュースになって実名が載ってるんですけども。。。とお伺いしてみた。
 
 
そうしたらERAからは、
裁決文は公的文書なので
公的文書に載っている実名がニュースになって、内容が公開されることに問題はない
との返事。さすが国の司法機関。有無を言わせず剣でバッサリされたような。
 
記者に連絡をしたStuffニュースの方はというと、
記者じゃなくて上層部の偉い人から返事が来た。ERAに言われたのと同じような内容だけどもう少し説明してくれた。
そして、
不当解雇の件がニュース記事になったのは、公共の利益のために公開されるべき情報であるという司法判断がされたためで、この司法決定は「ERAの指示」であり、実名や特定の名称などの個人情報も公表されるべき情報なので、たとえ個人情報であっても削除して報道したらいけないのだそう。
 とにかく相手の子供への私の心配は「情報公開によって違法行為をした相手側に起きることは、私の心配するべき事柄ではない」ために双方から却下されてしまいました。
 
突然解雇通知を受けてから、
Ministry of Business, Innovation & Employment (MBIE)に相談して言われた言葉。
(私の)権利を主張することで相手側に影響があっても、
あなたには何の関係もなく、相手側の家族に起きること関しては、違法行為をした相手自身が考えるべきこと。
 
あの言葉は、この時も変わらず貫かれてた。
だから、ここでもういい加減、お人好しは、このことに関してはやめないといけないんだ。
 
 *
 
下のリンクにある、
私の審議があった時期の裁定された賠償金の一覧表を見ると、
賠償金10000ドル以下の件がけっこうあるのけど、
私のは、賠償金10000ドルだった。
 
Authority Member が出してくれた、
裁決に込めた意味を考える。
 
賠償金10000ドルと言われた時、本当にびっくりした。その額の大きさに。
 
そしてニュースにもなった。
 
記者は、事実の全てが書かれているわけではない裁決文から
子供が同じ学校に通う友人関係であったと記事に書いた。
 
Authorityがとても重要視していたのは、
後輩児童が学校生活に慣れるよう、先輩児童であるわが子が周りの協力を得て
1年間ほぼ毎日世話をし続けていたという関係であったにもかかわらず
 
親の方は、自分の子を気にかけ続けたこの親に
不当解雇をして精神的苦痛を与えたということだった。(プラス賃金未払い)
 
子供が世話になった友人でさえも、裏切るその行為
 
高額な賠償命令が下されたのだと思う。
それは移民コミュニティ内で起きやすいもんだいでもあるわけだから。
 
現在も賠償金未払い賃金も、支払われていないし謝罪の言葉のかけら一つもない。
 
ERA、Authorityまで行くまでは、なぜかわからないけど
とにかく元雇用主のしたことを表面化して文書化するべきだという思いに駆られて
一心集中して走ってきた。
 
それはまるで、脇腹を刺されて1年半、
病院を探し回っているような、痛みが心にずうっとあった。
こういうと、体験したことない人の中には大げさだと思う人もいるのだけど。
体験したらわかるかも。
 
 
そして、裁決が出てからは、いろんな人に話すようになった。
そうしたら、よく聞いた言葉が
「よくあることだよね」
 
???
 
ちょっと待て!
 
よくあっていいのか?
 
異国に来て、同じ国の人間を、ビザのために、裏切って。
そんなのがよくある状況が、なんで放っておかれてるの?
悪行が慣例化、日常化してることが許せなかった。
悪いことしても平然とできる社会を変えないと
いつまでたっても、このまんまだ。
話を聞いていると、
他の移民達の間でもよくあるそうで、アジアや中東が多いみたいだ。
 
大黒柱の人が騙されて搾取にあって
精神的に強いダメージを受けてうつ状態になったり
 
家族の関係が崩れたり。
 
家族や友人だという人に、
私はこんな風に闘ったから、ご本人にも伝えてもらえませんか?と
 
勧めるようになった。
 
でも裏切られて搾取された本人の話を聞いて、
私のしてきたことを伝えて、行動するように勧めても、
 
英語に自信がないとか、大変そうだとか。
力の入りきらない言葉が返ってくる。
 
そりゃ、みんな日々の生活を支えていくのに精一杯だ。
 
だけどそれよりも、
人としての尊厳を踏みにじられたのに、取り戻すために行動する気力に欠けていて 
そんな自分を恥じているようで、胸が詰まった。
 
脇腹を刺されて、私は走ってきたけど、この人達は
私よりもずっと刺された傷が深かったり、角度がマズくて走れないんだ。
 
じゃあ、私はどうしたらいい?
 
何ができる? この人達の代わりに。
 
いろんな公共機関の人達にも会ってお世話になってきた。
不正や搾取行為にあちこちで向き合って、どうにかしたいという思いは
ひしひしと伝わってきて、それが私の走りに強く力を貸してくれた。
 
でもそう人達は、自身の職務内でしか動けなくてものすごく限定的だ。
 
でも、私はどうだろう?
限られた職務内で闘っている人たちよりは、もっと動けているんじゃないだろうか?
もしかしたら、被害者は闘う覚悟を持てば、
思ってる以上に自由に動けるんじゃないだろうか?
*** 
 
最近ハリウッドで、性的被害を受けてきた女性達が、
体験と苦しみを訴えるようになったけど、あれだって聞いた時は「やっぱりなあ」と思った。
 
被害者が、心に傷を負っているけれども
それでも勇気を出して、体験した苦しみを訴えなければ、発信しなければ
 平気で人の尊厳を踏みにじる人間が減らない。
 
私のことがニュースになってから
NZ人の弁護士の友達に、これまでのいきさつを事後報告した。
「刺されたまま走ってるようでずっときつかったけどやらないと死ぬ時後悔するから」と。
「そうだね。あなたの尊厳のためだったんだよね。」と涙ぐんで聞いててくれた。
悪いことしていないのに弁護士費用かけるのは嫌だったので
最初の不服申し立てだけ書き方を無料で教えてもらって、
あとは自分だけで調べて、とにかくたくさん書いて書いてここまできた。
 
これまでは、なぜだかわからないけど不正行為を文書化することに、一心だったけど
 
勝って、ニュースにまでなったことで、これからは
私には、何ができるだろうか?
  
苦しみを訴えられない人達のために、何か、私にできることはないだろうか?と
考えるようになった。
  
強すぎる怒りが
 
少し、変化してきた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

SaveSave