Bittersweet in NZ

こんにちは、ウトです。家族とNZで暮らしています。移住して10年近くは、多くの怒りやフラストレーションを感じていましたが、おかげで行動・経験・学びができて、最近はおだやかな日々がとても増えています。いろんな変化の流れが強いので、大切なのは何か?ということにも向き合っていたい。ここには、体験や感じたことを言葉にしておきたくなった時に綴っています。 Thanks for being here.

NZ不当解雇体験記14。私のInvestigation Meeting。

Investigation Meeting 当日。
とうとう来た。
しかも、よりによって、夜中に犬くんが2回も下痢して(なに拾い喰いしたの?)
2回も起こされて、寝不足。
 
もうホント大事な時に限って、
子供が熱!下痢!水ぼうそう!とかになりますね。
 
それでも子供たちのお弁当を作り、犬くんをお留守番させて
 
証人として出席する夫と一緒に
Employment Relations Authority(ERA)のあるシティへ。

 

フロアに着くと、他にも2件 Investigation Meetingがあるようで
2件ともインド人の名前が書いてありました。
 
やっぱり多いんだなあ。
 
当然のことながら、私はものすごく緊張してて
「私悪いことしてないんだから」と言い聞かせるのが精一杯でした。
 
調停の時は、紅茶など飲み物を作れるところがあったんだけど、
ここではテーブルに水が、用意されていました。
 
元雇用主のための通訳の方が、こちら側とあちら側の間に座って、
Authority Memberの来るのを待ちます。
 
以前Authority Officerに聞いたところによると、
通常は大体3〜4時間で終わるのだそう。
 
 
時間が来て、Authority Memberが
「先程確認した時は元雇用主は来ていなかったので、もう一度確認して来ます。」
と一旦出て、戻って来て
 
元雇用主は来ていないので、欠席ということで
このまま審議を始めます。」と、
 
ものすごい威圧感のある「怒」を込めて言うので、
むちゃくちゃ怖かった….
 
ああ私、人の気とか感じられない人間だったらよかったのに…..
 
通訳さんも後で「場を緊張させる人だよね。」と言ってました。そうよね。
 
いやもう元雇用主は、ここに来るまで関わったいろんな人に
Ministry of Business, Innovation & Employment (MBIE)にもERAにも
無礼を続けて来た人だから、Authority Memberが怒るのも仕方ないのだけど。
 
こっちがお金払ってまで、元雇用主の言い分を主張できる場を用意しているのに、
あれほど自分が正しいと言い張っていたのなら
数々の疑問に正々堂々と答えてほしかった。
 
証拠があるのに言うことが変わり、正反対な2つの主張をしていることへの
疑問に。
 
元雇用主のビザ取得のために雇用関係が始まり、そう書簡にも自身で明記しているのに
ビザ取得と解雇は関係ないとか、
 
会社経営は順調と言ってたのに、
同時期の経営は不調だったことを解雇理由に挙げたこと。
 
どっちが本当なの?
 
永住ビザが取れるほど正当な会社経営をしていたなら、
なぜ事実は隠され続けたのか?
 
そうしてInvestigation Meetingは、相手不在のまま始まりました。
 

f:id:uto87:20171021204314j:plain

 
まず私も夫も通訳の方も、真実の供述・通訳をすることを宣誓します。
 
「The statement of problem(陳述書)」
夫と私の出した「Witness statement(証人陳述)」を元に、質問がされます。
 
この3通に対する
元雇用主からの「Statement in reply(答弁書)」は提出されていません。
 
これまで複数回機会を与えられていたにもかかわらず、
元雇用主から私の主張に一切反論がないということは、
反論できるための証拠が一つもなく、
私の主張をすべて認めているということです。
 
いろいろ聞かれたのですが、大事な点として
私は、元雇用主のしたことによって精神的苦痛を受けたことを主張しているので、
元雇用主が永住ビザ取得を確実にした当日に、
突然の会社の業績不振と解雇を通知を受けたことで、
私がどう感じたかを聞かれました。
 
それから、解雇通知から解雇が強制執行された経過と
解雇されてから求職活動をしたか聞かれます。
なので、求職した会社名や職種、時期も答えられるようにしたほうがいいです。
 
それから、すごく意外で細かく質問されたのは、
子供同士が同じ小学校に通っていた私の家族と
元雇用主家族の関係でした。
 
意表を突かれてびっくりしたけど、事実なので、スラスラと答えました。
 
うちの子は高学年で、元雇用主のお子さんは低学年で
うちの子が日本語が話せるからか、
毎日休み時間にうちの子のクラスに遊びに来るようになったこと。
  
あちらの子は英語がまだ不自由そうで、よく校庭で一人で遊んでいたのは知られていたので、
私から、うちの子の友人達も含め、嫌でなければ学校になれるようになるまで元雇用主の子と遊んであげてほしいと、友人達とその親達にお願いをしていたこと。
 
元気な子だったので、怪我やトラブルがないよう常に私が確認していたこと。
 
当時その小学校では、低学年の生徒は高学年のエリアで遊んではいけないことになっていたので、そのことで子供達が叱られないように気を配っていたこと。
 
そしてそれは、1年間続いたこと。
 
私がNZの小中高校大学までの子育てを経験しているので、NZでの暮らしや教育のアドバイスをしていたこと。
 
それから元雇用主が、解雇通知の時に
経営不振の証拠に私に渡したのは、会計報告1枚だけだったのですが、
それをAuthority Memberは「これでは不十分」と一蹴しました。
 
どうやら、会社の経済的理由解雇をする時は
労働者が納得するまで話し合わないといけないので、
しっかりとした報告書を作らないといけないのだそう。
 
元雇用主の弁護士は、元雇用主の取った解雇方法で正しいと主張していましたが、
この審議では弁護士がどう言おうと、元雇用主の責任になるようでした。
元雇用主もそれなりに弁護士費用を払ったでしょうけど、全部こんな風にあっさりと無駄になってしまうものなんですね。
 
相手側がいなかったので、2時間くらいだったか
聞いていたより早く終わりました。
 
そして、裁決を言い渡すので(書かないといけないって言ってた)
それまでお昼ご飯をとって時間まで戻ってくるように言われました。
 
 ***
 
もう私としては、MBIEで言われた通り、
賠償金と、強制的に解雇になったことによる賃金未払いを請求はしていたけれど、
それは、期待してませんでした。
 
ERAのサイトにInvestigation Meetingはこんな風に進みます、という例があって
そこでは、賠償金が$3000だったのでそれくらいかな。
 
 
 
もうここまで来るのに、疲れていたので、
主張できただけでよかった、と思っていました。
 
お昼を食べ終わって、戻ると
Authority Memberが裁決を言い渡します。
 
読み上げられる裁決文はもちろん聞いて理解できるのですが、
通訳さんが、念のために
裁決が確実に伝わるように私の横についてくれました。
 
訴えた側と訴えられた側のどちらかが欠席した場合、
出席した方に有利になります。
 
緊張して聞いていると、開口一番、
Authority Memberは、こうはっきりと言いました。
 
「勝ち負けで言ったら、あなたの勝ちです。」
 
そして、
裁決を聞いているうちに、頭がジンジンしてくるものの、
私の訴えてきたことが、やっと私のつらかったことが
やっと法的に認められている内容だったので、
 
途中から
 
涙が出てきて、
 
「やっと誰かにわかってもらえた」ことで
 
胸がいっぱいになりました。
 
夫はもちろんわかってくれていたけど、
 
客観的に法的に「私は正しい」ことが、やっと他人にもわかってもらえた。
 
それがうれしかった。
 
そして「元雇用主の永住ビザ取得と従業員は必要ないという判断は、同時である」という言葉と、
 
永住ビザのスタンプが押されたパスポートを受け取ったその同日の3時33分に、解雇通告を送ったこと
 
そして、私には一切の非がないこと。
 
が裁決文には明記されました。
 
裁決文読み上げの最後で、元雇用主の行為は「不当解雇」であると。
 
賠償金$10000と、
給料3ヶ月分$5400を、私に14日以内に支払う命令が、
言い渡されました。
 
通訳さんと夫が、横ですごい興奮して教えてくれた。
 
賠償金の多さに、私はびっくりしました。
 
賠償金の多さに、ERAのAuthority Memberの厳罰にした意味を感じました。
 
ここまで来るのに、1年半かかった。
 
解雇されただけでなく、解雇されてからも失礼極まりない態度に振り回されて、
それに耐えてつらかった。
 
それが、堰を切ってあふれてきて、
 
私は、号泣した。
 
 
Authority Memberと通訳さんが、すぐ静かに退席して
 
夫が Well done、よくやったね、と落ち着くまで背中をさすり続けてくれた。
 
***
 
なぜ、私はここまでしてきたのだろうか。
 
それは、「正しかったのは、元雇用主でなく私である。」ということを
明白にして、そのことを
裁決文という公開文書にしておく必要があったんじゃないか。
 
親切心を裏切り、
 
移住先の国NZを裏切り
 
何もなかったように、恩恵だけ受けようとする。そんな移民がたくさん存在する。
 
それは表面化して問題視しなければ、裏切り行為はいつまでたっても無くならない。
 
 
「自分の方がつらい、自分のやったことは正しい」と言い張っていたのだから、
 
これからは、堂々と自分のやったことを、
 
背負ったらいい。