Bittersweet in NZ

こんにちは、ウトです。家族とNZで暮らしています。移住して10年近くは、多くの怒りやフラストレーションを感じていましたが、おかげで行動・経験・学びができて、最近はおだやかな日々がとても増えています。いろんな変化の流れが強いので、大切なのは何か?ということにも向き合っていたい。ここには、体験や感じたことを言葉にしておきたくなった時に綴っています。 Thanks for being here.

息子の友人の、早すぎる死。

その出来事は、生徒たち
 
教師たち、そして親たちに、重くのしかかる。
 
 
なんてことをしちゃったんだろう…
 

f:id:uto87:20180629172630j:plain

 
週明けの朝、子供たちの高校から連絡があった。
 
週末に学校の生徒が、近くのあるビーチで事故に遭い
重篤な状態にあるということ。
そのため、生徒たちのストレスと精神的サポートの必要性を伝える内容だった。
 
そこは、いつも犬がコンブ食べに散歩に行く、おだやかなビーチ。
 
なんであんなところで事故が起きるんだろう、と思っていた。
 
 
子供達が学校から帰ってくると、息子が
学校で集会があったと教えてくれた。
 
週末のビーチで、7人の男の子が、車をスピンをしていて投げ出された。飲酒していたらしい。
重篤な状態の生徒は、息子と同じYear 13。
 
息子によると
その子は生徒のリーダーで、人気者で明るく
慈善活動もしている思いやりのある、いい人。
 
人気者だと鼻にかける生徒が多いけど、その子はまったくそんなことなく
本当に「いいヤツ」なのだそうだ。
 
助かった生徒たちには、息子の友達もいて。
ハンドルを握っていた子のことも、知っていた。
 
集会で、校長先生は生徒の名を言わなかったので
息子も、家で誰だったのか言いたがらず
私たちも聞かなかった。
とにかく心配だねと、奇跡的な回復を願った。
 
でも、もう非常に深刻な状況だ、ということは聞いていた。
 
***
 
次の日になると、事故のことがニュースになっていた。
 
本当に残念なことに、
重篤だった男の子は助からなかった。
 
彼の名前や写真、お父さんのコメントまで出ていた。
 
どれほど息子を愛し、楽しい日々を過ごし、成長を楽しみにしていたか
お父さんの言葉から、痛いほどわかる。
気丈にも臓器提供のことまで、語っていた。
 
 
その日、わが息子のほうは、寝坊したので
朝、車で学校まで送る。
 
運転しながら、朝のニュースで出てたよと
報告した。だめだったんだって。
 
息子は、悔しがる。
 
その子が、去年のダンスパーティーで
クレイジーなダンスでみんなを盛り上げるような
人気者を鼻にかけない「すごくいいヤツ」だったと
しきりに繰り返していた。
なんでだ?と。
 
昨夜夜遅くに、息子は
友達から生命維持装置が外されたという連絡を受けたそうだ。
そう言って
「あいつ、どこまでわかってたかな?」と呟いて、うつむいてしまった。
 
それを聞いたとたん、
そうしなければならなかったお父さんお母さんの無念が、
突然命が終わってしまったその子の無念が、大波のように押し寄せてきて
ハンドルを握りながら私は、涙が止まらなかった。
 
なんでだ。
本当に、終わらなくてよかった命なのに。
 
残されたほうは、これからもずっと後悔する。なぜ止めなかったのか、と。
 
 
外泊、車の運転、飲酒とか。
 
大人になるまでに、慣らしていくこといろいろあるよね。
 
ママは、冒険したい年頃の君たちが何かをしたい時に
全部禁止するのは良くないと思っているから
「いいよ」と言う時
よく本当にいいかどうかを、よく考えるよ。心配な時もある。
「いいよ」と言ったら、責任を感じる。
 
だけど、その子のお父さんお母さんも
ママみたいに、自分の息子を信じていたんだと思うよ。
 
それでもこういうことが、起きちゃった。
 
息子が信じられないんじゃなくて、置かれた状況がすごく心配なことはある。
怖くなる時が。
 
だから、
とにかくどんな時も、自分を見失わないこと。
そして、絶対ママより先に死んだらダメだよ。
 
そう言い聞かせると、
俺の友達は、飲んで運転するようなやつらじゃないと言って
母を安心させようとする。
 
そうだね。
 
***
 
勉強とか仕事とか生活態度とかよりも
子になによりも一番願うのは「親より先に死ぬな」ということじゃないだろうか。
 
一番の願いで、一番の恐怖。
 
 
***
 
NZでは18歳以上になると、身分証明書を提示できれば、
お酒を飲んだり買ったりできる。
18歳以下だと、
法律上の親か保護者が一緒の場合に、
食事ができるレストランなどの場所で飲酒ができる。
 
これが、結構困って
親がいろんな国から来ているので、アルコールに対する親の考え方がまちまち。
おおらかな家庭もあれば、厳格な家庭もあって
特に男の子の成長過程で、対応に難しいことがたびたびある。
 
アルコールだけでなく、男の子にさまざまな経験させることを
過剰に禁止する家庭もあるので、
 
子供たちの友達から直々「うちの親と話してほしい」と私が頼まれることもある。
説得はできなくても、親の不安を分かち合うことはできるかもしれないから、
やってみる。
 
やはり厳しいのはアジア人が多いけど、案外NZ人にも鉄のように厳格な親がいて
子供の進もうとする行く手を、ことごとく否定し続ける。
 
アルコールだけじゃなく、ドラッグが心配なのは重々わかるのだけど。
 
ある男の子は、高校卒業の頃には意思表示をあきらめるようになった。
不公平・卑怯に敏感なわが家の息子たちは、そんな友人の親たちに怒りを覚える。
 
なんていうか、育てていて、男の子たちに向き合っていると
冒険したい時に、全面禁止するようでは、遅いと思うのだ。
 
「悪い事する時に、悲しむ顔が浮かぶような母親になりなさい」というのを
昔聞いたことがあって
そうありたいと、日々子育てしているのだけど
冒険したい時点より前に、
それまでどう子供と向き合ってきたかのか、が大事なんじゃないだろうか。
 
それでも、取り返しのつかない悲劇は起きた。
あれだけ立派な、分別のあるような子の身にも。
 
彼の死は、成長過程の息子を持つ親たちにも
自らを問う重石となって、のしかかる。
 
***
 
数日しか経っていない高校に、足を運んだ。
息子の聴覚障害サポート体制を、モデルケースとして確立することで
今後、生徒・学校・専門機関がフォローしやすくするためだ。
そのための調整に、障害を克服中の親、そして発起人として参加した。
 
私が、真剣に取り組んでることの一つだ。
後に続く人たちのために。
 
事故後の学校の生徒たちは、同学年の子たちも
落ち着いているように私には見えた。
 
でも、馴染みの主任の先生と話し始めると
生徒たちも、教師たちも、親たちも心に重い痛みが癒えていないのがわかった。
 
私たちは、教師と親ではあるけれど
息子を持つ、同じ親同士として
悲しみを分かち合い、支え合った。
 
報道で言われているように、コミュニティのショックは大きい。
 
 
犬はまたコンブが食べたいので、そのビーチへ私を連れて行った。
タイヤ痕は残されたまま。
見つめて、呆然と立ちつくす。
 
息子の、あいつどこまでわかってたかな、というのを思い出して
サングラスの下をぬぐっていると、
犬を連れて通り過ぎる男性が、悲しい顔をして
私に相槌を打つ。つらいね、と。
 
 
それは、突然起こった。
若すぎる。
無念すぎる。
誰か、誰か1人でも、止めてくれる子がいてくれたら。
 
亡くなった子、止められなかった子たち、
事故を起こしてしまった子を知っているのは
息子だけではない。
 
 
まだ息子と同い年の、17歳。
 
今年の、高校最後のダンスパーティーは
あと数日後だというのに。
 
去年、クレイジーなダンスで、
パーティーのみんなを盛り上げたその子は、もういない。
 
 
***
 
オセアニア最大の高校のリーダーとして、大変だったでしょうね。
 
でも、みんなのためにがんばってくれて
 
本当にありがとう。
 
 
I just want to say thank you so much, Robbie.
 
Thank you for being a caring leader and energetic for students and our community. 
 
Thank you for being as you were. 
 
Your positive attitude influences others in many ways.  We’ll miss you.
 
 
***
 
 
 
子供たちの精神的サポートができる機関は、ここです。
Youthline  0800 37 66 33
Whats Up  0800 942 8787
 
 
 
 
 
 

労働搾取と移住と学校教育と。

ちょっと前に、知り合いのマオリのお兄さんから「これどう思う?」って送られてきた。
 
クライストチャーチの日本食レストランのオーナーによる25名の従業員に対する賃金未払いに対して、雇用法違反のためERAから、
$70000の罰金支払い命令を言い渡された、というニュース。
 
労働者の搾取に対して「日本ではこうなんです。」
日本人オーナーは言ったそうな。

ジャシンダ&クラーク、赤ちゃんの誕生おめでとう!

昨日6月21日、
Jacinda Ardern ジャシンダ・アーダーンNZ首相・Labour党党首が、
無事に女の子を出産しました。
 
わーい!おめでとう!!!

 

 

 

届いたLabour通信によると、誕生は4:45pmだったそうで
朝お産体制に入っていったから、いい感じで順調に進んだみたい。
ホッとした〜(^^)
一般の妊婦と同じように、公立病院での出産です。
 
ジャシンダがタフなのはよくわかっているけど、
尋常じゃないストレスの中でギリギリまで働いていたから、本当によかった。
すごく楽観主義なところが、体にうまく作用したかな?
 
パートナーのClarke Gayford クラーク・ゲイフォードさんは、
本当にジャシンダを献身的に支え続けてきて
心ない中傷、やっかみにも辛抱強く耐えてきました。
そういう嫉妬は、人としてみっともない見苦しいものがほとんどでした。
オーストラリアの下品で気味の悪い、ゾッとするインタビューにも耐えて。
 
彼女が頑張れるのは、彼のおかげだなあというのがいつもとても伝わります。
 
尊敬するJohn Campbellジョン・キャンベルのCheckpointで。
 
元首相でLabour党元党首のヘレン・クラークに、
ジャシンダの出産についてインタビューがありました。
 
 
ヘレン・クラークは、ジャシンダのメンターとして大きな影響を与えた人。
 
私たちも彼女が首相だったから、NZ移住を決めたのに
移住したとたん、ジョン・キーに変わって大ショックだったのでした。
 
Helen:2人にだけではなく、NZにとっても素晴らしい日。
国の首相でありながら出産をするということは、国内の若い女性を始め他の多くの人々に「キャリアと母親業は両立することは可能」というメッセージ。
また、赤ちゃんの世話をするクラークも、若い父親のお手本として称賛するし、2人が現代の若い親の模範として影響を与えることを願っている。
 
John:あなたもジャシンダも「女性はなんでもできる」というメッセージを送ったが、つまりは「選ぶということ」「どんな人物になりたいか?」ということじゃないですか?
 
Helen:その通り。ジャシンダは彼女のやり方でやったのです。
 
 
首相の仕事は日に15〜17時間と激務だそう。
だけど、クラークとたくさんのサポートで乗り切ってほしいです。
 
逆に、2人が無理をしすぎないで
人の手をちゃんと借りて子育てしていくことが
若い親や、子育て環境を作る周りの大人に
良い影響になることでしょう。
 
それはNZから他の国へも。
 
女性としてどうありたいのか。
 
親としてどうありたいのか。
 
Who do you want to be?
 
そのメッセージは、ジョンやヘレン・クラークが言うように、
とてつもなく素晴らしいこと。
 
 
 
これまでのNational政権のNZ首相たちはどうでした?
ジョン・キー元首相は、
ウェイトレスのポニーテールを何度も引っ張り不快にさせ、
レイプをジョークにするような人物だった。
それでも長年首相に君臨させていたのは、誰なんだ???
選挙権のある国民じゃないの???
 
ビル・イングリッシュ前首相は、
「女性の堕胎は犯罪」とする法律(女性の体に起きたことを自己決定する権利がない)に問題はないと言い切っていた。
子供を産むことは到底ありえない男が、女の産む産まない権利を左右するの???
 
野党の現Nats党首はというと、大臣もやってたのに
その間放置してきた問題を正そうとする現政権に、いちゃもんつけることに躍起だ。
法改正には、改正案提出して議論してからで1年近くかかる
今抱える問題はNatsがほったらかしてきたのが、ほとんどだ。
汚物を撒き散らして放ったらかしていたのは自分たちなのに、
他の人がきれいにしてくれてる最中に「汚いじゃないか!」と
罵っているようなものだ。
 
現実を無視してきたのは、こういう政治家だけじゃない。
それでもまだこういう政党を支持する人たち、
ただの傍観者として、投票も考えることもしない人たち。
文句は言うのに、変えようとしない人たち。
そういう人たちが、問題を放置してきたのでしょ。
 
事実を直視することは
Andrew Little アンドリュー・リトル前党首も
David Cunliffe デイヴィッド・カンリフ元党首も
Labourが野党の時に、追求してきたこと。
それでも、メディアを牛耳るNats支持のメディアオーナーがほとんどだから
追求が国民に伝わることはわずかだった。
 
それでも、若い女性党首のジャシンダを
メディアは無視し続けることができなくなった。
アンドリューの時は、あんなにも無視し続けてきたのに。
 
やっと、首相になって
女性がありのままに、人がありのままでいること
認められようと変わりつつある。
 
やっと。
 
これは大きな変化じゃないだろうか。
 
本当は、女性男性なんて関係ないはずなのだ。「人」丸ごとであるべきだから。
 
***
 
ドットコムさんが、こんなこと言ってました。
 

 

ジャシンダが出産をした6月21日は、
エドワード・スノーデンの誕生日でもあるそうで
新たな「真実を語る者」の誕生として、この日を祝っていました。
 
事実と向き合う。
 
なんとなく生まれるのは、女の子かなあと感じてましたが
この子は。
ママの生き方を見て、意志を強く持つことを受け継いでいくでしょう。
パパの生き方を見て、支え合うことの大切さと力強さを身につけていくでしょう。
 
いつか振り返って、私たちも堂々と「真実を見つめ、語る者」を支え
今より良くしようと、共に活動してきたことを
誇りに思うことでしょう。
 
「なんにもしない」をしなかったことを。
 
 
***
 
ジャシンダに初めて会ったのは、党首ではなかった頃だけれど
その後話をした時は、私の体験や息子の聴覚障害の話を聞いてくれて
それからも、義務教育後期にわかった障害について話をする機会を
与えてくれました。
 
そうして引き続き息子の聴覚障害をどうにかしたいと、あちこち奔走していると
めったにない遠隔マイク補聴器の寄付があり、幸運にも候補者に選んでもらえて。
 
おかげで聴覚障害の脳トレーニングがスタートし、
私は学校・専門家のサポート体制を組んで
現在、改善・克服に向けて一歩一歩、努力中。
 
これほど素晴らしいサポートチームが組めたのは、
お母さんの熱意の賜物だと専門家たちは言ってくれるけど
首相になるほどの人に会いに行けて、話を聞いてもらえたのは
私にとってとても大きかったです。
 
「なんとかしなくちゃ」「なんとかなるかも」に変わったのは
あの時だったから。
人の痛みがわかる、話を聞いてくれる人が首相になって本当によかった。
 
このブログのことも、すごくいいねって応援してくれました。
 

f:id:uto87:20180813184113j:plain

すごく話やしやすいジャシンダ首相
 
そういえば!
この前、Labourチーム一員で釣り番組の司会者でもあるクラークが、
魚料理を振る舞うLabourイベントがありました。
きっと美味しいのを作ってくれるに違いない!から行きたかったのに、行けなかった…
赤ちゃん生まれたから、もう忙しくてクラークの魚料理は当分無理だ…
残念。無理してでも行けばよかったなあ。
いつかどうか食べられますように…
 
 
ジャシンダの6週間の産休中は、
歯に衣着せない物言いの爽快なNZ First党党首の
Winston Peters ウィンストン・ピーターズ副首相・外務大臣が、
首相代行を務めます。頼もしい。楽しみ(^^)
 
*****
 
懐かしい。
 
あの甘ったるい
柔らかな赤ちゃんのにおいに包まれて
ゆったりと、一日一日を楽しんでほしいです。
 
ジャシンダ。クラーク。赤ちゃん。
 
心からおめでとう!
 
 
 

 

SaveSave

続けて、ありがとうございます!

ちょっと前に。
 
2015年に不当解雇されて、
2016年にERAが$15000の罰金の支払い命令を下したのに
未だにまったく支払いを受けていない男性のニュースがありました。
私と似たような状況です。
 
 
ERAには法的裁決を下せても、
支払いを強制執行させるための権限がないからです。
 

ありがとうございます!

ウィンドウの右上の、赤いプチにふと目が止まった。これは何かな?
 
このブログでは、わが家のニュージーランド生活で直面したいろんな「困った」に
もがいたり、乗り越えた経験をどなたかの参考になったらいいなぁ、と書き残しています。
「ニュージーランドおいし!楽し!」という発信ではないので
2、3人でも読んでくれたらいいなという気持ちでいました。
 
でも、右上の赤プチを見ると、びっくりするくらい桁違いにたくさんの人が。
しかもあたたかいコメントまで… ホントにびっくりした。
本当にありがとうございます。書いててよかったです。