Bittersweet in NZ

こんにちは、ウトです。家族とNZで暮らしています。移住して10年近くは、多くの怒りやフラストレーションを感じていましたが、おかげで行動・経験・学びができて、最近はおだやかな日々がとても増えています。いろんな変化の流れが強いので、大切なのは何か?ということにも向き合っていたい。ここには、体験や感じたことを言葉にしておきたくなった時に綴っています。 Thanks for being here.

息子とAPD4。TOMATISトマティスとの出会い。

 
教育心理学の先生が強く勧める息子のトレーニング、
Cogmed コグメドの指導できる先生が見つかりました。
 
学習障害の指導を専門とするBraintrainの先生が、
 
11月のNCEAテストが終了次第、
12月の夏休みにトレーニングを始めて
少しでも早く、高校の最後の学年Year 13に備えたいという我が家の希望を
理解してくれて、早速予約を取りました。
 
よく見たら教育心理学の診断レポートに、おすすめの専門家としてBraintrainが。
 
 
これまでの、手術の診断書や
APD専門クリニックと教育心理学の診断レポートを、前もって送っておきました。
 
すると、APDだったらにはCogmedの他にも
Tomatis トマティスっていうトレーニングがあるから
今度会うまでに2つの動画を見ていておいてねと言われました。
 
Cogmed コグメドは、こんな感じ。
 
APDというよりは、ワーキングメモリーのトレーニングみたい。
ゲームみたいで日本にこういう脳トレのゲームがいっぱいあるんじゃないかな。
 
<2021年・追記>
Cogmedコグメドのサイトが、新しくなってましたよ!
このページのデモ版を、おかんもやってみたら楽しかった!
英語だけど、そんなに自信がなくてもたぶん大丈夫だと思うのでやってみてくださね。

https://training.app.cogmed.com/demo

 

ワーキングメモリの説明はこちら

 *****
 
Tomatis トマティスは、
モーツァルトやグレゴリオ聖歌などの音楽で、脳が音の情報処理し、優先順位をつけ、理解するように再訓練する聴覚トレーニングだそうです。
 
日本にもトマティスありますね。
自閉症スペクトラム障害(ASD、自閉症やアスペルガーなど)
ADHD、学習障害LDなどに対応しています。
 
でも日本のサイトでは、
息子の持つ、APD聴覚情報処理障害のことがはっきり書いてなかったので、
APDについては英語サイトの方が豊富で、参考になりました。
NZではまわりにディスレクシアの人も多いので。
 
 
 
トマティスは科学的に検証されていて、その効果が証明されています。
耳は脳や体とのつながり、感情の安定にも。
 
 
APDのことを調べるために、英語の論文をたくさん調べましたが
トマティスによるディスレクシア・自閉症・ADD・ADHDへの効果は
こちらにのってました。
 
 
なぜAPDが診断されにくいのか?
ここによると、APD(またはCAPD)は
ディスレクシアの聴覚版とも考えられ、
ディスレクシア・自閉症・ADD・ADHD・心理的身体的な病気などに似た症状を
示すことがあるため
誤診され間違った治療を受けることがあるため、だそうです。
 
はっきりとした原因は特定できてはいないものの、関係があると考えられる症状
  1. 頻繁に起きる耳の感染症、中耳炎(鼓膜チューブの装着に関係ない)
  2. ストレスやトラウマ(認識されない場合も)
  3. 頭の外傷(気づかれないまま経過したものも)
  4. 難産・未熟児
  5. 放置された過剰な耳垢
  6. アレルギーにより耳・鼻・のどの慢性的な炎症
 
 
2つを比べて見ると、APDがある次男にはトマティスの方があっているようです。
 
APDに関して、Tomatis とお世話になっているSoundskillsが
ニュース記事になっていたことで、Tomatisのほうがいいかな、という気持ちに。
 
女子より男子の方が多く、NZでは20人に一人はいて、
大人になってから気づくケースも多いそうです。
 
でも先生に会うまでは、TomatisもCogmedも両方やらないと思っていました。
 
それに、NZではウェブサイトにほとんど料金を表示しないんです。
 
前より少し良くなったけど、それでもほとんどが問い合わせたり
一度見てもらわないと料金がわからなんですよね。
 
だから料金を表示している日本のサイトを見て、
TomatisとCogmedにかかる料金を想像しては、ゾ〜〜〜っとしていました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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息子とAPD3。うれしい知らせ。

9月のYear 13のためのクラス編入試験も終わり、
自室のドアの向こうで、NCEA学外テスト(External)の勉強に励む次男。
 
または
おそらく勉強に励んでいるであろう息子。
 
APD、聴覚情報処理障害の影響で
試験など制限時間内で
考えや小論文を書き切るのが、同年齢と比べて遅い彼。
 
今回のNCEAテストで、息子に対する特別措置は国から出てないので
これまで同様通常の形式でテストを受ける。
 
厳しいけど仕方がない。
 
そう。大急ぎで専門医心理学者に診断してもらって、
学校が国の教育省に特別措置と支援を申請をしてくれたのだけど、却下されたのです。
幼少時からあった障害ではない、つまり先天性ではなく後天性なので、特別支援は受けられないとのことでした。
 

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この頃は、NZ選挙があって
どの党も過半数を確保できなかったので
 
連立政権のカギを握るNZ First党が、連立政権を組むのを
既存のNational党か、
Labour党+ Green党の
どちらにするか決定するのを待っている状況で
 
Labour党メンバーの私は、なぜか夫より声をかけていただく機会があって
慌ただしくしていました。
 
なんでかな?政治に関心のある日本人は珍しいのかな?
 
同時に
Labour党に対して、
私たちの経験したこと、息子のように遅くに障害がわかった生徒に関して
政府の対応システムが現実的でないと訴えていました。
それは学校現場の意見でもありました。
 
高校の後の進路の方向を決める時期までに、時間がないという現実。
 
だからなんとか費用を捻出して
聴覚情報処理障害がわかった、わが家。
 
でも調べる費用が出せなくて、不便な症状を引きずったまま、成長している子供達はたくさんいるのです。
 
このブログにある私の不当解雇体験でもそうですが
対処してくれる行政機関や関係者の方は、
それぞれできるだけのことをしてくれました。
 
それでも皆、権限の範囲内のことしかできないのです。
 
だから問題の根本的なことが改善されないままになってしまう。
結局大元のシステムを変えないと、どうしようもないと
いつも思っていました。
 
わが息子のケースだけではなく、助けを求められない家庭のことも一緒に
Labour党に訴えていました。一番上の人にも。 

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Labour党党首がDavid Cunliffe やAndrew Little の時も強くサポートしていましたが、
これだけ貧富の差を開いて貧困層を放ったらかし、
特に教育や医療費を削って招いた危機を
危機と認めない前National政権とそれを支持する国民には、本当に腹立っていました。
 
特に、治療が受けられず病気の悪化や死に至るケースが続いた医療危機に
ふてぶてしく対応しなかった前保健大臣に投票して圧勝再選させた
多くのNorthcoat住民には、自分がどのような人物に権力を与えたのか
本当に本当に理解しているのか?と問い正したい。
人として恥ずかしくないのか?
 
さて、いろんなことが重なって起きるわが家。
 
NZ First党がLabour党と組むことを決めて、Labour主導政権になって大喜び。
海外の友人達からのお祝いにも感謝のお返事。政治が変わったので、NZに移住したいという人も少なからずいて。
 
*だいたい。
NZ First党党首、ピーターさんの受け取っていた過重年金は、返金したにも関わらず
選挙中、彼を潰すためにNationalが情報を漏らして、
彼の地元の支持票を減らし、議席をNationalに奪われた。
 
なのに、連立政権のためにはNZ Firstと組まなければならず
手のひら返したように言い寄ってくるNationalに、
 
マオリの血を引き、礼儀を重んじるピーターさんが、
嘘をつき続ける不誠実なNational党と組むわけがない、と腹の奥で思っていた。
 
国会でNational政権の傲慢さを何年も鋭く追求し続けて来た、張本人が。
あの怒りを、私は何年も見続けて感じ取っていたから。
 
*****
 
そんな中、ある10月の終わり。
APD専門クリニックの教育アドバイザーから連絡が。
 
「遠隔マイク補聴器の寄付がありました。中古ですが、
希望でしたら息子さんに譲渡できますよ。」
 
???
よく読め、私。
よ〜く読んでも、遠隔マイク補聴器OKのメールだ!
 
調整師の費用だけ$1250(日本円で10万強)はかかる。
でも$3,767.74(日本円で30万強)は、寄付だから無料ですよ。と。
 
信じられない。
補聴器の寄付は滅多になくて、うちのクリニックに来るかどうかもわからない、と
言っていたのはつい2ヶ月前のことだ。
 
40万円以上する高額な
遠隔マイク補聴器、Remote Microphone Hearing Aid systemの利用は
ほぼ無理だろうとクリニックや学校とも考えていたから。
 
夫に興奮気味に連絡して、これでいこう!と確認して
クリニックに「ぜひお願いします!」とGO!メール。
 
そしたらすぐお返事が来て、
「来年度のTerm 1(1学期)初めから使えるように、学校にも手配しましょう。」と
言うので
「Dean(主任)の先生には説明をしてあって、事情をご存知なのでこの先生と連絡を取ってください。」と
連絡先と感謝を伝えた。
 
10月の後半。
日本だと3学期の終わりというところ。
 
ほぼもう授業はなくて、11月のNCEAテストは自宅学習。
テスト後は、長い夏休み・クリスマス休暇に入る。
 
それに年を越した2月頭に、NZでは新年度のTerm 1が始まる。
 
 
 
まさかLabourに訴えたから、奇跡が起きたのだとは決して思わないけれど
あちこちへの問い合わせの時点からすでに、必死さがにじみ出てしまっていたと思う。
 
高校卒業まで1年しかないことを、
クリニックも Deanの先生も気の毒に思っていたみたいだから
何人もの政治家に伝えるまでのおかんの思いの強さとか、混じって
 
高校最後の1年は、授業内容がちゃんと聞こえるはずだよ。
 
これまでは、ちゃんと聴こえていなかったから
 
「わからないことは、質問しなさい」って言われても、
何がわかっていないかが、わからなかったから
 
質問のしようがなかったよね。
 
 
聴こえなかったのが、
中耳炎の鼓膜チューブのせいか、APDのせいだったのか
昔から実はAPDがあったのか、それはよくわからないままだけど
 
過去は悔やんでも直しようがないから、これからできることに向かっていこう。
 
 
学校から帰って来た次男に伝えて、
 
「寄付された補聴器、ピンクじゃないといいね。」と冗談を言うと
 
“ Nah. I don’t mind. I just do it. (いや。別に気にしないよ。ただやるだけだよ。)” 
 
 
いいねえ。
お母さんは、キミのそのスパッと前を向いていくところが大好きだよ。
 
 
後日、日本のお母ちゃんに伝えると、
学校で補聴器をつけることで周りにからかわれるんじゃないか、と孫を心配していた。
 
でもあの子は大丈夫。
気にしないし、友達も着けてみたがるよ、きっと。と安心してもらいました。
 
APDのことがわかってからも、周りの仲の良い友達に伝えると、
笑って「ああ、だから時々天然だったのかあ。」と言う反応で。
 
そういうものがあるのか、と受け止められるだけで
別に変わらないそうです。
 
 
 
 
一方で、
教育心理学者に勧められたCogmed コグメドに連絡を取っていましたが
一向に返事が来ません….
 
NZではしょっちゅうあることなので、気にしない気にしない
(時々ブチッとなるけど)。
 
独自でCogmedを指導できる人を探して見ると、
 
希望通り11月のNCEAテスト終了後に、会って話し合いましょうと
反応してくれた専門家がいました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

息子とAPD2。教育心理学の検査

SoundSkillsからもらった聴覚情報処理障害、APDの診断書は
すぐ、高校の Deanに送って説明をしました。
 
Deanは主任教員みたいなものかな?
こういうことは、クラス担任にも伝えるけれど
教育方針について協力してもらって話を進めていくのは、
Deanの先生とやっていきます。
 
Year 13のためのクラス編入試験は、9月
 
APD専門聴覚クリニックSoundSkillsで息子にAPDがあるのがはっきりしたのが、
8月半ば
 
国の教育資格を管轄するNZQAを説得するには、教育心理学者からも診断書が必要。
 
なのでSoundSkillsでもらったリストに、片っ端から連絡をして話をして
大急ぎで教育心理学の検査の予約を入れないといけません。
 
オークランドの教育心理学者の検査・診断もらうのに
$900(7万円強)〜$1200(10万円弱)くらいですね。
本当にお金が飛ぶ飛ぶ…
 
一番早く予約が取れそうなIndigoという教育心理学に、8月末に予約を入れました。$900。
 
教育心理学の検査は、午後1時から3時まで。
1時間休憩があって、また4時から6時までありました。長い。
 
学校の勉強(計算やライティングなど)のようなこともするため、検査当日はとても脳が疲労するので、当日学校は休むようにとの事。
 
Indigoは教育心理学者グループで、当日行って見たら普通のお家でした。
 
息子の担当の心理学者は若いお兄さんで、
両腕にタトゥーがしてあって、息子にとっては話しやすく
親しみやすかったみたいでよかったです。
 
はじめに母子で説明を受けてから、検査が長いので私は一旦帰りますと言うと、
お兄さんは帰り道がうちの近くを通るので
帰りは送ってくれるとの事。
でもお母さんにちゃんと許可を得ないとね、と笑いながら
そうさせてもらうことにしました。
 
そして2週間後に、検査結果の報告が届きました。
 
内容はとっても細かいので大まかですが、
 
  • APDによって、ワークングメモリが弱い。
  • APDによって書く時間が同年代と比較すると、遅いので学校のライティングのテストでは、タイピングで受けたほうがいい。
  • そして、遠隔マイク補聴器の使用を「強く勧める」との事。(だからそれは高すぎて出来ないのだー!)
 
弱いところがあると、どこか優れているところがあるらしく
(実は親はこれがとても知りたかった)
 
息子は、体を使っての理解力がとても高く、言葉と視覚での理解力が高い。
 
なのでこれを生かした対処やトレーニング方法、
学校の指導などがたくさん盛り込まれていました。
 
例えば
ディスレクシア(学習障害の一種)があると、
39%の割合でAPDなどの聴覚の衰えがあるそうで
 
キウイの友人の子(小学生)は、ディスレクシアがメインで、
APDが少しあるのでこれに当てはまります。
 
でも息子は、ディスレクシアではなく、
APDによってプランニングや書き出す能力が遅いので
APDを中心にトレーニングを考えないといけません。
 
教育心理学の検査は、高いけど
問題がちゃんとわかって、優先順位がよくわかったので
やってよかったです。本人も息子もスッキリしました。
 
それに
8月末の教育心理学の検査日の朝には、
高校のDeanの先生が電話をくれて今後の方針について話し合いました。
 
NCEAの学外テスト(External)で、APDに対する特別措置(タイピングや時間延長)を申請する(先生は『戦う』と言っていた)には、
NZQAは9月で締め切ってしまうので、11月のNCEA試験には間に合わない。
 
特別措置は来年Year 13からだろうとの事。
クラス編成には、なるべく雑音を少なくするために、少人数になるように努力するとの事。
 
遠隔マイク補聴器Remote Microphone Hearing Aid systemの利用も考えているけれど
高額なため、補聴器寄付待ちです、と伝えると
 
料金は先生も知らなかったそうでビックリしてました。
 
お互いほとんど補聴器はあきらめ状態で、他の対応で検討することに。
 
なんで特別措置の申請を9月で締め切るのかわからないけれど
当時National政権だったので、期待はしていなかった。
 
期待はしていなかったけど、急いで勉強して突破口を探して手を打ち続ける事で
悩んでるヒマをなくしたかった。
 
「なんでもっと早く気づいてあげられなかったのか?」
 
はっきりわかっているのは、
もう高校4年半過ぎてて、
これまで3年半、耳がちゃんと聴こえてなかったって事です。
 
日本だと中学2年生から、耳がちゃんと聴こえてなかった。今、高2で。
 
ちゃんと機能していないのが、
耳自体であっても、音情報を処理する脳でも
 
その向こうにいる息子に届いていなかったら
「オレ、ちゃんと聴こえない」になる。
 
気が緩むと、やっぱり申し訳ないっていう気持ちが黒雲のように出てきます。
 
でもすぐに
悔やんでるヒマあったら、さっさと動け!
 
って叱咤の声が自分の中には響きますけどね。
 
だけど、聴こえてなかったのにここまでよく頑張ってきたなあと
息子エライぞ!と思います。
NCEAのLevel 2はちゃんとクリアしたのですから。
 
 
 
 
 
APDについて、
次男がこれ見るとわかりやすいかもよ、と教えてくれたのがこの動画です。
英語なんですが。
どちらかというとAPDには男性が多いみたいで、この動画でもお兄さん達が、
雑音の中で出された指示に従ってカードを選んで、
正解のカードが多いと最後に裏返した写真が完成に近くなっています。
 
お兄さん達は、雑音がうるさくて指示がよくわからなくて
正解のカードが選べないので
かなり「ムカついて」います。
次男はというと、そんなにムカつかないのだそうです。
 
でもこんな風に聴こえなくてわからない感じなのだそう。
 
APDじゃなくても「こんなのわからない難しすぎる」と思うのは私だけかな?
 
 
あと、次男は聞き間違いがひどくて、こんな感じです。
 
 
 
英語が面倒な人は飛ばして、1分37秒くらいから見てもいいのですが、
 
The fox jumped.
という言葉が、耳から入って脳を伝わって聴こえて理解できる様子がわかります。
 
2分23秒からは
「似たような言葉や文字を増やしたり減らしたりして、脳が聞き間違える様子」が
わかります。
 
The fox jumped. (キツネがジャンプした)なのに
 
The ox jumped.(牛がジャンプした)
The box jumps.(箱がジャンプする)
The boy is jumping.(男の子がジャンプしている)
 
オイオイそんなこと言ってねーぜ、ってくらい変換される....
 
 
こんな風に次男も、長男と妹に比べて明らかに聞き間違いが多いです。
 
この前も、家族で料理の話しているのに、単語を似たような別の単語と勘違いして
途中から息子はホラー映画と間違えてたり。
 
タモリさんと安斎さんの、空耳アワーは面白かったですよねえ。
まだやってるのかな?
 
でも、
それが日常にしょっちゅうあると、やっぱり困りもので
 
相手がイライラすることもあると思うんですね。
 
これが社会に出て仕事をするようになると、
まずいだろうと。
心配なわけです。
 
APDは薬で治るものじゃありません。
 
トレーニングが必要で、息子に合うものを探さないといけません。
 
そんな中、
教育心理学者の提案したトレーニング法に、
Cogmedコグメド、というのがあって
すぐに始めるよう言われていました。
 
なんとか行動せねば気が済まない母としては
 
11月のNCEA試験が終わってから、クリスマス休暇(夏休み)中に
集中してトレーニングしたかったので、
 
今度は
Cogmedを指導してくれる専門家探しを急ぐのでした。
 

息子とAPD1。APD専門医の検査

去年8月半ば。

 

数ヶ月後に17歳になる次男は

オークランドにあるAPD専門の聴覚クリニック、

SoundSkillで朝9時半から聴覚の精密検査を受けました。

www.soundskills.co.nz

 

APDという言葉を初めて聞いてから

私は検査日までたくさん論文や資料で調べていて、質問したいことなど

検査の結果を受け入れる準備を整えてきました。

 

普段の病院関係は、いつも母親の私だけで

夫は付き添いにはほとんどついてきません。私に任せっきりです。

 

でも今回ばかりは、時間がなくて勉強不足だった

夫が専門家に直接説明してほしいと言うので、夫婦そろって行きました。

 

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いざ行ってみると、聴覚士と私たちでヒアリングとコンサルタントが40分ほど。

 

本人がどんな風に困っているか、学校や勉強の様子、これまでのこととか細かくて、

ていねいな質問が続きます。

 

親の方も、子供が未熟児だったか、出産時や小さい頃のトラブルとか兄妹との違いなど細かく聞かれます。

 

なので、夫婦で行ってよかったです。

 

これから検査の予定があるおうちは、親一人じゃなく

一緒に暮らす家族何人か付き添うといいと思いますよ。

 

なんでかと言うと

息子に対して、気なることの視点が夫と私ではやっぱり違うんですね。

 

例えば、

息子の聞き間違いにイライラする夫に対し

私は繰り返したり言い直したりを、のん気に自然にやってしまうから

聞き間違いを問題視する観点が弱いんです。夫に比べると。

 

夫と息子がテレビで映画を見てて

夫はストーリーに集中してるのに、

息子はささやく会話は聞き取りづらいからか

画面のビジュアルに気が向いてしまったり。

 

このヒアリングでは、小さい時から今までの

「あれ?」って言う感覚を思い出す作業が必要だったんですね。息子本人も、親も。

 

その「あれ?」っていう感覚を、聴覚士が細く記録していって

時々それは、こういうことかもしれないですね、と説明してくれたりしました。

 

それが終わってからは、息子だけで聴覚検査が1時間か1時間半ほど。

 

その間、私たちは下の階のカフェで待ちながら、

息子のこれからを心配する会話が続きました。

 

検査では計算や言葉を使ったりして集中しなければならないそうで、

検査を終えた時の息子はちょっと疲れていました。

 

検査後、聴覚士から結果の説明がありました。

正式な検査結果のレポートは2週間後にメールで送られます。

 

  • 明らかに、APDの症状がある。
  • APDによって、ワーキングメモリー(短期記憶の一種。作業記憶)が弱い。
  • 高校で行われる試験での特別措置をNZQAに許可してもらうために、教育心理学者の診断も推奨。
  • 周囲の雑音の中で、聴きたい特定の音を聴き取れない症状が両耳にみられる。この症状が片耳だけにあるとSoundSkills の「両耳分離聴トレーニング」は効果が高いけれど、息子の場合、両耳なので効果が出るのに時間がかかる。
  • 学校での勉強のために、 *遠隔マイク補聴器Remote Microphone Hearing Aid system の使用を強く推奨。

 

*遠隔マイク補聴器:学校で先生がマイクを首から下げて、補聴器がクラスの雑音をシャットアウトして授業を受けられる。

 

 

試しに息子が遠隔マイク補聴器をつけて、聴覚士がマイクをつけて話をしてみると

周りの雑音をカットして聴覚士の声が鮮明に聴こえるそうで、

息子はすごくビックリ!

飛行機のコックピットにいるような感じなのだそうです。

 

試しに騒がしいカフェにも行って、雑音の中で夫がマイクにささやいてみると

かなり離れているのに鮮明に聴こえるので、息子はとても気に入っていました。

 

…..でも

せっかく気に入ったのに、この遠隔マイク補聴器はNZ$5000!

 

 

補聴器自体が$3,767.74(日本円で30万強)。試用してみて効果がなければ返金可能。

補聴器の試用とフィッティングに$1250(日本円で10万強)。返金なし。

 

 

NZ$5000もかかるのです。

 

せっかく本人気に入って、補聴器との相性もいいのに。

 

小さい時からAPDだったら、国からの補助が補聴器代のみ出るけれど(フィッティング代には出ない)

大きくなってから診断されたので、国からの補助は出ないとの事(当時は、教育費を削減しまくったNational政権)。

 

でも、後でわかった事だけどAPDというのは

成長するに従って、勉強などで使う言葉が複雑になってくると

小さな時には見逃されてしまったAPDが発見される事が多い障害なんだそうです。

 
障害がわかっても、「自費でみんなどうにかしてくださいよ。」って国は言ってるわけです。
 

だからうちの子おかしいな?と思っても

検査や治療を受けさせてあげられないままになっている子供達が、多いのだそうです。

 

そんな高額な出費(40万円以上)簡単には出せない、と夫が言うと

聴覚士も「そう言う家庭がほとんどで、この補聴器を使う子はあんまりいないんですよ。でもたまに中古品が寄付されることがあるので、それだとフィッティング代だけで済むから、それを待ってみましょうか?」と。

 

フィッティング代だけでもって、まだ10万するけど…

 

今後はこのクリニックの教育カウンセラーと、話し合いを続けることになりました。

 

 

検査結果のレポートは、2週間と言っていたけど、

聴覚士さんは、ありがたいことに急いで高校に報告するため

10日で送ってくれました。

 

 

それでも、このクリニックでの両耳分離聴トレーニングでは、

効果が出るのに息子には時間がかかってしまうので

 

高くても時間がないからできる事を早く、補聴器を使いたいと思う私と、渋る夫。

 

「お金がかかっても未来のある子のために、できる限りの事をしなさい」と

日本で孫を心配するじーちゃんばーちゃんの電話口向こうで
焦る気持ちを重々感じて
 
悩みながらも、
聴覚士にもらった教育心理学者のリストに片っ端からコンタクトを取り、
突破口を探す母なのでした。

 

 

 

 

 

 

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ニュージーランドの誇らしい女性たち、 男性たち。

先日、NZのアーダーン首相が、

現在妊娠中で

6月に出産予定という発表がされました。

 

おめでとう!わーい!(^^)

 

ニュージーランドでは、去年10月にLabour(労働党)主導の政権となって

Labour党首のJacinda Ardern(ジャシンダ・アーダーン)が 首相になりました。  

 

妊娠の発表されたその日は金曜日で、

多くの報道陣に囲まれてジャシンダと旦那さんのクラークが

家の前で ニコニコインタビューに答えていました。

 

youtu.be

 

ニコニコだけど、産後はフルタイムで赤ちゃんの世話をするという

クラークの方が、来たる責任を感じてか、非常に緊張していましたね。

 

いやいやあなたの周りには、

たくさんサポートしてくれる親切な人がいっぱいいるから大丈夫だよ。

 

それで、我が家には Labour党から いろんな知らせが来るのですが

その発表した金曜日の夜にも、

ジャシンダ本人から妊娠の報告が送られてきました。

 

報道各社への対応が大変だったのだから、もうゆっくり休めばいいのに。

 

ちゃんと送ってくるということが、この人は本当に律儀なんだよなあ。

 

緊迫した選挙戦を終えてほっとした頃にわかった

予期せぬ妊娠だったようで、

とてつもなくびっくりしたそうです。

 

ジャシンダのお知らせには、

産休中には副首相で、NZ First党党首のピーター氏が、

代理任務を快く引き受けてくれたこと。

ピーター氏とはとても良い信頼関係があること。

産休6週間が終わったら復帰すること。

 

一国の首相の出産と育児が、大変なことは重々分かっているけれど、

夫がフルタイムで育児を担ってくれるということが、

いかに恵まれているかということを痛感している、と。

 

それに、本当は自然に妊娠するのは難しいだろうと言われていたそうで、

驚きも格別だったでしょう。

 

余談ですが、私も一人目の後に流産を2回したので、

不育症ではないかと悩んでいた時期があり、

欲しい欲しいと思うとなかなかできなくて、

他のことで忙しくしていたら授かったんですよね。

 

それなのに去年の選挙中には、

37歳なので子供はどうするのか、など

散々バカなリポーターたちに質問されて

「2017年というこの時勢に女性だからという理由で、そんな質問をされるなんて許せない」と彼女は怒っていました。

 

この報道があると、NZの女性ライターたちが

「さあこれから、 性差別者達と戦うわよ。」と息巻いておりました。

 

世論調査によると、

ほとんどの人がこのニュースに好意的で、

首相としての任務にも影響がないと思う人が多かったのですが

やはりどうしても「乳幼児は母親が育児をするべきだ」とか

「私の時代には母親が 赤ちゃんにつきっきりだったのだからそうするべきだ」とか、ありました。

 

私は3人の子供に3年づつ、合計9年間母乳をあげ続けました。

9年間母乳を出し続けるということは、夜間授乳を休みなく続ける、ということ。

つまり、9年間コマ切れ睡眠だったわけです。

 

何より子供たち自身が望んだことだったから、やって本当によかったと思うけど

それを人に押し付けたいか?といったら、それは絶対にありません。

だってその人やその家族の状況や、考え方によって決められるべきです。

 

赤ちゃんや子供が幸せに育つためには、

快適な環境と

たくさん愛情をこめて、

ぬくもりと手をかけてくれる人がいればいいのです。

 

別にそれはお母さんじゃなくてもいいのです。

 

そんなことは、ちいちゃい子に接したことのある人なら、分かるはず。

 

去年の Labour党の集会では、赤ちゃんができたらできたで

みんなでサポートすればいいじゃんと、私も含め女性達は言ってましたよ。

 

国民に対する裏切りという海外メディア。何言ってんの?

 

ちゃんと仕事すればいいんでしょ?

 

いい国作ろうという人の足を何で引っ張るんだ???

 

子供いなかったらいないで叩くし。できたらできたで叩くし。

人間は生き物だから、人生は思い通りにはいかないの。

 

計画通りにもいかないの。

 

本人たちがちゃんと考えてるし、何かあったらみんなでサポートするんだから。

 

よその国のことより

もっと自分の国どうにかしなさいよ。

 

 

それに政権がNational党からLabour党主導に変わってから、

国会ではこんな光景が。

 

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SCREENGRAB: TVNZ

赤ちゃんを抱っこする国会議長Trevor Mallard。うれしそう(^^)

6人のお孫さんがいるのだとか。

 

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NEW LABOUR MPS KIRI ALLAN, LEFT, AND WILLOW-JEAN PRIME WITH THEIR BABIES IN PARLIAMENT THIS WEEK. SCREENGRABS: TVNZ

Labour党国会議員の2人。 赤ちゃんもすやすや。

議長に抱っこされてたのは、右の議員の赤ちゃんだったと思います。

 

 

私がものすごく尊敬しているジャーナリスト、

John CampbellのCheckpointという番組で。

youtu.be

 

泣き出した赤ちゃんに、ジョンがうれしそうに

「まさに人生って、生きるってこういうことですよね。」

 

議長も、国会を

働く親のためにサポートできる職場のいい例として

国民をリードしたいと、いうことでした。

 

ジョン・キャンベルJohn Campbellは、

以前Campbell’s liveと言うテレビのニュース番組を持っていたのだけれど、

ジョン・キー元首相(National党) への追求が激しすぎて、

テレビ番組を降ろされて(圧力圧力)

今はラジオ番組をやっています。

でも今の方が、もっと自由に報道できてる気がするな。

 

さらに去年、グローバル放送賞のトッププレゼンターとして選ばれました。やったー👍

 

ジョンはいつも一般の人の味方で、

ニュージーランドの心を象徴する代表的人物だといつも痛感する。

 

何と言うか、出さなくていいのに

人として熱い血が通っていますよというのが、ボワーっ!と溢れ出ている人なの。

もう心底、尊敬しています。

 

日本では、市議会か県議会に赤ちゃんを連れて行った議員に

厳しい声があったようだけど、

会議なんだから子供が静かにしてればいればいいし、

むずがったら 別室に移してあげるサポートがあれば済むことじゃないだろうか?

なんでそんなに堅苦しいんだ?もう、少子化で困ってるのに。





それから突然ですがNZでは、堕胎は犯罪だって知ってましたか?

 

夫が前、大学で学生から聞いてびっくりして、私に話してさらに驚愕

 

堕胎が認められるのは、

妊娠した女性の命や肉体的精神的に害を及ぼす場合や、

妊娠の継続によって胎児の身体障害を負う危険がある時。

 

さらに二人の医師による承認が必要だそうです。

 

望まない性行為や

望まない妊娠の時はどうしたらいいんだ?

 

いつも友達に聞いてみようと思って、忘れちゃう。他の話題で。



先日も議論してて、

 

性交渉の時に No と言えばいいという(妊娠したのは女の責任)

小さな子供のいる女性がいたので、

 

「女性みんながあなたのように No を受け入れてもらえる健全な関係であればいいけれど、現実には、拒むことすら許されないような関係にあったり、そこから逃れられない女性もたくさんいる。同じ女性であるあなたが、想像力が乏しいがために、その人たちのことまで考えてあげられないことは、とても残念 。」と発言したら、

私に賛同してくれた女性や男性が考えをどんどんつなげていってくれた。

 

「ガイジン」の私が指摘すると、

「あ、やっぱりおかしかったんだ。」って気づくみたい。

 

人の苦しさを想像できない人は、どこの国でもいるのだ。

 

胎児であっても命があるのだから、堕胎してはいけないと

思うのは間違いではないけど、

それを人の人生に押し付けるのは、おかしい。

 

他人に、人の人生を決める権利が、なんであるんだ。

 

望まない妊娠で、母になりたくない人が

優しいお母さんになることは、もちろんある。

 

でも、悲しいことに虐待したり毒親になったりしても

堕胎反対論者は責任を取ってくれるわけではない。

 

生きながら苦しむ子供たちを、助けようともしないのに。

 

子供を持つかどうかは、男性にもそうだけど

特に、女性に決める権利があると思う。

 

ビル・イングリッシュ前首相(National党)は、

去年の選挙戦で堕胎が犯罪であることについて「特に問題ない」と言っていたが

ジャシンダは「犯罪であるのはおかしい。」と言って改憲する意思があると言ってた。

 

女性の権利は守られているようなイメージのニュージーランドだけれど、

 

よーく見てみると、結構おかしいとこがある。

 

だからいつもよーく見ているのが、大事。



移民として、この国に子供達を連れてきた以上、

環境を良くするために、

政治に関心を持ってできるだけ活動することは、

 

私自身は親としての責任だと思うし、

 

「お母さんがする、当たり前のこと。」のうちの一つ。

 

高いスマホや車を買ってあげることはできないけれど、

 

確固たる信念があることは、子供たち、みんな背中見てて感じ取ってくれている。

 

いや、もうみんなでかくなりすぎて

元大女だった母の背中を、見下ろしているな。

 

 

いい動きを、強くしよう。

 

広めよう。

 

すばらしい活動をしている人たち。

 

ジャシンダのこれからは、NZのためにいい風になるはずだから

 

とても楽しみ。

 

応援できることが、うれしい。








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NZで育つのは本当にいいことだらけなの? 悩みに向き合い続けて思うこと。

NZに移住してあっという間に10年。
 
英語を教えるイギリス人の夫を通して、一緒にたくさんの生徒たちを見てきました。
 
そんな中でも夫は
英語が母国語でない、
主に家庭の中で話す言語が英語じゃない生徒をたくさん受け持ちます。
 
30年ほどの教職経験の中でも
NZでの経験は他の国での経験とは違うよう。
 
アカデミック英語では、授業や課題のテーマとして
NZの抱える問題、例えば
移民、住宅、インフラ、差別、教育、医療、その他さまざまな切り口を批評的な視点で
議論したり小論文を書いたり、スピーチや発表をします。
 
だから生徒たちは、必然的に自分の置かれている立場を見つめざるを得ないんです。
 
それに夫が最初に自己紹介して、
外国人歴が長く、妻がアジア人で、同年代の子3人の親であること
それにNZerじゃないことを知ると
NZに否定的な意見や悩みを打ち明けやすいようです。
 
生徒たちそれぞれの考えや経験からくる思いに、直に接していると
「苦しんでいる生徒の多さ」に気づかされるんです。
 
夫は気になること心配事をしょっちゅう話すので、
一緒に対応を考えるんですね。
 
たくさんの生徒をサポートする夫を
妻側も精神的にサポートしていかないと、
支える先生がいつか倒れちゃうんじゃないかって、ぐらいに。
 
生徒たちの気持ちに寄り添ってみると、
初めは海外からの留学生だと思っていたら
実は、NZで生まれたり小さい時からいて
ここの教育を受けてきたはずなのに、苦しんでいる人が少なくない。
 
その多さにショックを受けたのはもう8、9年前のこと。
 

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小さい頃は、「自分はキウイで、〇〇人じゃないぞ!」と信じて疑わなかったのに
成長に伴って、無視したいけどできないビミョーな違和感、
食い違いを感じることが増えて
高校の中頃には、自分はどうしてもネイティブじゃない、キウイじゃない、と
思い知らされる。
 
夫がいうにはアジア人学生には、難しい言葉を知っているのに
使い方が間違えていることが多いらしい。くせになってて簡単に直らないことも。
 
学校ではそんな細かく指摘してくれないから、
 
家庭で根気強く直していってあげるべきところだけど
おうちのお父さんお母さんがそこまでやってこなかったってことですよね。
 
 
悩みを抱えている生徒たちのメールでも
練習のエッセイでも、
ちゃんと言葉で表現していても、していなくても、
 
つらさしんどさって滲み出ている。
 
すごい、モワ〜っとね、漂ってるんですよ。文面から。
 
劣等感、自己過小評価、低い自尊心、拭えない違和感が。
 
私自身が英語ネイティブじゃないからか、気持ちが敏感にわかって
大抵夫より先に気づきます。
 
大事なサインかもしれないから、自分の子を見つめるように
いつも注意深く真剣に見ています。
 
 
NZで子育てしてきた、している親御さんたち。
 
このことに気づいているのは、どれくらいいるのだろう。
 
 
生徒たちのほとんどは、この気持ちを親に話してません。
 
 
私の注目している人で、NZのコメディアンで、
精力的にメンタルヘルスの支援活動をしている、
Mike Kingさんと言うすばらしい人がいるのですが
 
そのマイクさんが去年8月、Checkpointという番組で言っていたことによると
 
子供達は悩みや苦しみを、
親に悪い傷つけたくない、できるだけのことはしてくれたからなどで
親に話さないことが多いんだそう。
 
NZに暮らす40%の子供が、学校を卒業までに自殺未遂をするそう。
そして自殺を考えたことのある80%の人は、
親や周りに助けを「一度も」求めなかった。
 
話した情報で何をされるか、親を傷つけるから親はできることはしてくれたから、と。
 
これ、すごい実感してます。
 
私たちが気づいた悩みのほとんどは親に言ってないです。
 
物騒なことを書きますが、事実なのでね。
 
去年のUNICEFの発表ではNZの青少年(15ー19歳)の自殺率は、調査37カ国中で
ワースト1です。
 
 
そして、マイクさんは
周りの大人は子供に対して決めつける考え方をやめるべきだ、と訴えていました。
 
 
 
海外生活だから、楽しくて当たり前?
 
ちっちゃい頃から学校で英語に囲まれてるんだから、英語できて当然?
 
お友達とは英語で会話してるし、英語習得は学校にまかせとけばなんとかなる?
 
親が母国語で話してるんだから、バイリンガルになるのは当たり前?
 
(バイリンガルって、英語も母国語もどっちも中途半端でもいいの?)
 
多民族国家だから、差別やいじめが少ない?
 
 
これらは、「親ふざけんな!」と怒りを込めて訴えてきた生徒たちの声。
 
生徒たちって、30代もいるんですよ。
 
 
以前ある韓国人生徒が、
「海外での子育ては、親(母親)にとってはファッションみたいなもの。ステータスがあって、自分たちは英語話さない日もあるくらい韓国コミュニティーにどっぷり浸かってんのに、さも充実しているかのように、海外生活自慢に余念がないんだ。子供には勉強頑張れって言うくせに、自分は十数年いても英語上達させようともしない。そのくせ家では、韓国語や文化を忘れないように押し付ける。」と
 
ぶちまけてくれたことがありました。
 
これを聞いた時、正直、すごくうれしかった。
 
それまで韓国人生徒は、不自然なくらい親をかばい過ぎるくらいで
もどかしいほど辛いのは自分のせい、と言う子ばっかりだったから。
 
ご飯作って毎日の移住生活で、親御さんも大変だと言うのもわかります。
大人がそれだけやってるから子供はなんとかなるだろうと。
子供がなんとかなったんならラッキーだけど、なんとかならない場合があるから
たった一人の先生のところにこれだけ悩みが寄せられるんですよね。
夫はカウンセラーじゃないんですよ。英語の教科の一教員なんです。
 
たまたまある教育を受けている人に、たまたま夫が接して、見つかった苦しみは
絶対に氷山の一角なはず。
 
でも生徒たちの訴えは、全部に近いくらいほとんどがホント的を得てて
「あなたの言う通り!」っていう感じなんです。
 
「あなたの言う通りだと思うよ。私に話してくれたみたいに、お母さんに話すことはできそう?」って前出の韓国人生徒に、そっと聞いてみたら
 
「聞く耳がないよ。言ったって理解できない。NZはいい国いい教育って信じて疑ってないから。学校みたいに毎日感じるやな態度とかズレを実際に知らないから。」って
あきらめ笑いをしてた。
 
大学の場合だと一人の学生に3ヶ月の期間しか接することができなくて、
悩みに気づいて励まし続け続けるのも、専門機関につなげることも
短期間でしかできません。
大丈夫なくらい立ち直っていくまで見届けることは、なかなか難しいです。
残念です。
 
 
あるヨーロピアンのママ友達が、
(私たちが)そんなに学生からたくさん悩みを打ち明けられるのは、
学生たちの親とは全然関係がないからじゃない?と。
悩みを聞いてると、親がもっと早くに気を利かせて手を打っていれば
こんなに悩まなくてよかったのにと思うことばっかり。
 
同じ親として腹立つから、何ボサーッとしてたんだー!と飛んでいって
スリッパでパコーン!と親の後頭部をはたきに行きたいところだけど、実際は無理。
 
つらかったら、ためてたらダメ。吐き出した方がいい。
 
私たちに吐き出してくれると、いつも「ああよかった」って思う。
 
ただ英語を教える夫にはたくさんの生徒が次々とやってくるので、
長年のうちに残念だけど忘れてしまうことがあって。
 
きちんと経験をつぶさに覚えているのは私だけ、なのです。
 
もう7、8年前からたくさんのみんなの悩みを本にして世に出して、
移民の親たちに現実を知ってもらいたいとまで考えていたけど
 
プライバシーもあるしそれは無理そうなので、
ここで書いて残していきたいと思います。
 
NZはいい国いい教育って、無邪気にパラダイス気分の親御さんに会うと
「家族みんなが同じようにそう思ってるといいですね。」って言います。
 
親がいくら気を揉んでても、
子供が朗らかだったりネガを振り払って前向きに生きれる人に育っていったら
いいことですよね。
 
でも親がのほほんと、子供のつらさや日々晒される困難を
理解しようともしないでいたら
子供だって心を開きたくなくなりますよ。
 
親の前では、何があっても万事OKのふりして「大丈夫」って言ってる、って
言う生徒とても多いですよ。
 
 
メンタルヘルスへの取り組みが危機的状況なのに、
前National 政権はずっと問題視していなくて、
去年9月の選挙の数週間前に、やっと問題として「選挙用に」取り上げた。
 
学生たちの置かれている現実の苦しさを私たちは知っているから、
手を打たない前National 政権には、ずーーーーっと頭にきてた。
そんなNationalに投票するサポーターに対しても。
 
この前の選挙では、
メンタルヘルスへの取り組み強化を長年訴えてきたLabourが政権を握るために
 
私も心の中から熱い想いが湧き上がって駆けずりまわったのだけど
 
あれは、夫や私には言えるからと、
悩みを打ち明けてくれたみんなのおかげなんだなあ、って今わかった。
 
 
悩みを打ち明けてくれたみんな、本当にありがとう。
 
みんなのおかげで、いい国にいい環境にしようって力が湧いてくるよ。
 
これからも、私たちに出会ったら話してみてね。一緒に考えたいから。
 
 
 
問題を明らかにして指摘するのは、解決する必要があるから。
 
文句言うのは、良くしたいから。
 
じっと何もしないほうが、しんどい。
 
 
ただ海外移住して、お客さんのようにそこに住んでるだけなのは、自分らしくない。
 
なるべく多くの人にとっていい環境にしたい。
 
 
 
新しい年になって、そんな私の想いで動き始めていることには、
 
ポジティブに勇気づけて後押ししてくれる人たちがいて、うれしい。
 
 
苦しかったり違和感が拭えなかったりする人は、
 
とにかく周りにわかってくれそうな人を見つけて、伝えてください。
 
 
吐き出した方がいいから。
 
 
これからも、私たちは当たり前のこととして手助けしていきます。
 
 
 
でも、もしNZで子育て中の親御さんがこれを見ていたら
 
自分の家庭ではどうか、考えてほしいのです。
 
 
家族にはそれぞれ方針があるし、何が正しい間違っているじゃなく、
 
こう言う現実があって、自分の家族はどうだろう?と考えてほしいのです。
 
 
考えて、
 
自分たちなりのやり方で、手を打ってほしいのです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

NZ不当解雇体験記20。移住環境はよくなるだろうか?

 

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ビザ手続きをする人は、移住アドバイザーや弁護士に
「お金払って頼んだから、おまかせ」じゃなくて
自分たちでも漏れのないようにしっかり確認してくださいね。