Sparkling* 光ってるのどうする?

こんにちは、ウトです。こちらは 以前のBittersweet in NZ の続きです。主に、NZ暮らしでの体験や思いを言葉にして発したくなると綴る私感ブログです。

NZの若者のメンタルヘルスが、心配。

お父さんとお母さんは、子供達のメンタル面が心配だ。。。
 
NZでは、若者の心の健康や精神疾患の増加が問題視されています。
 
それに、心理学や精神科医療従事者は、圧倒的に不足していて、
NZは危機的状況なのだそうです。
 
 
学生たち自ら語ったり、チャリティーを集めたりしています。
帰省していた長男も先日は、
オークランドで学生主催のチャリティーコンサートに参加してきました。
 
 
心配ごとが、子供の身近にも起こりました。
 
クライストチャーチの大学に通う長男は、
ある学部のHonours Degree(優等学位)にいるのですが、
去年の暮れ、彼のグループのプロジェクトが選ばれて、
大学を代表して、オーストラリアのメルボルンで発表することになりました。
 
どうやら、アフリカの厳しい環境に適応した、生活に必要な設備らしい。
(お母さんにはなんだか難しかったけど…)
 
選ばれてたくさんほめたのは言うまでもありませんが、
メルボルンに行けるというのも(大学の費用で)、ものすごくうらやましく喜んで、
本人も観光気分で、クリスマスあたりに仲間と一緒に旅立ったのでした。
 
発表が無事終わって、少し滞在を延ばして仲間たちと楽しんだメルボルンは、
地元オークランドよりも、ずっと行動しやすくて楽しかったそう。
建築とデザイン好きなお母さんのために、いい感じの建物の写真も撮って来てくれました。
 
帰国後、クリスマスディナーを家族で囲むと、
息つく間もなく、彼は9年ぶりの日本帰国を果たしました。
 
それから1ヶ月後に、帰NZ。
 
オークランド空港から帰って来る車の中。
久しぶりの息子と話したいお父さんの横で、長男には
なにやら取り乱した大学の友達から、何度も連絡が入ってきていました。
 
それはプロジェクト仲間の1人が、うつ病と強迫性障害で
大学を辞めてしまった、という連絡でした。
 
誰も本人と連絡取れないから、息子からも連絡とってくれ、とのこと。
 
しかし、残念ながら息子も連絡が取れず、
その子は、外との関わりを拒絶しているようで、
うつ病のことは、その子のお母さんつながりでわかったそうです。
 
日本でもそうだけど、ここNZでも精神疾患に悩む人がとても多くいます。
 
精神科の医療従事者の不足は大きな問題で、
海外からの専門家に頼っても、まだ足りないのが現状だそうです。
 
うつになってしまったそのキウイの友達とは、
プロジェクトプロジェクト発足からずっと仲間で、
発表することが決まってからは、テストや他の課題をこなしながら、
夜遅くや休みにも集まって、去年のほとんどをその友達と仲間は一緒にいました。
 
お母さんによると、去年の中頃にはもう、うつが発症していたそうです。
 
知らせを聞いたほんの1ヶ月前には、
メルボルンでみんな一緒にホテルに泊まって観光もしていました。
 
それでも、息子はおろか、
他の仲間たちも誰1人として、
一緒に過ごしたその間ずっと、
その子がうつで苦しんでいることに、気がつかなかったそうなんです。
 
 
楽しく学生生活を送っているよ、と言える人たちは喜ばしいことです。
うちの子は、積極的に勉強して、努力が全部結果につながって、
なにも困っていることがない、と言えるおうちはいいのですが。
 
でも高校3年目のNZCA Level 1から始まって、
高校4年目のNZCA Level 2、 その次の Level 3まで、
次々やって来る課題とテストに、
生徒たちは、相当なストレスを抱えていますよね。
生徒自身はもちろんのこと、
それを支えサポートしていく親の方も。
 
大学に入ったら入ったで、9割は借りているらしい国からの学生ローンを、
卒業したら返せるような仕事ができるのか心配しながら、勉強していて。
 
なぜこんなにも、お父さんとお母さんは君たちの心が心配なのかというと。。。
 
お父さんは、大学の先生として、
苦悩したり時には取り乱したりする学生たちのしんどさを、
現場で直に見ているから。
 
お母さんもそれをよく知っていて、
君たちのがんばりが成果につながらなくて、しんどいことを、
ひしひしと感じるから。
 
特に、長男の学部は、人気があるけど厳しくてタフなことでよく知られている。
 
先日も、別の大学の同じ学部の学生が自らの命を終えてしまった。
 
友達がうつになった時も「オレは大丈夫だよ。」と言っていたけれど。
 
お父さんは、心配で心配で、週末の度に電話して声が聞きたくて、
休みの度に帰って来させて、自分の目で確認したいの。
本当に大丈夫かどうかを。
 
向こうでは自炊して、作る気力も出ない日が続いて、やせて帰って息子を、
お母さんは好きなもの毎日作ってあげて、
休みが終わる頃には、ちょっとふっくらしたね、と
言わないけど、思いながら、
また送り出すのです。
 
君は、できるようになるまで、時間かかることがあるよね。
自転車に乗れるようになったのも、遅かったもんね。
 
でも、君がやり遂げたいの思うのなら、
なんとかやり遂げられますように、と
お父さんとお母さんは、心からいつも祈っているんだよ。
 
多分知ってるよね。

子どもに合う高校って、どこだろう?

先日は、末っ子の娘の三者面談。
 
「高校はどこに行くか決めた?」という先生。
 
NZでは5歳から小学校が6年間あって、中学校が2年、高校が5年間あります。
今12歳の娘は、中学校2年目のYear8。
 
「本人は2人のお兄ちゃんたちと同じR高校がいいみたいなんですけど、
(隣の)L高校との違いを教えてください。」
 
「R高校はネイティヴ向けで、勉強によりサポートが必要ならL高校がいいけど、
アカデミックな〇〇はR高校が向いてるわね。」
 
やはりそうか。兄ちゃんの時と同じ。
L高校とWB高校はノンネイティブ向きで、R高校はネイティブ向きと
8年前のあの頃も言われた。
 
R高校は、NZ最大の高校で生徒数が多いから、
全員がきめ細かく指導してもらえるとは限らない。
 
大丈夫って言われて信じてたら、大丈夫じゃなかった、
ついていけなくなった、っていうのはよくある話で、
大丈夫じゃないことに気がつかないっていうこともあります。
 
こちらの学校は、通いたい学校の学校区内(ゾーン内)に住所がある、
つまり住んでないといけません。
学校区外で許可されることもあるけど、近年の生徒数増加で年々厳しくなっています。
 
当然良いとされる学校の学区は、住宅費が高くて富裕層が集まるので、
治安が比較的いいけど、
よっぽど安い時に家を購入したか、それなりの所得がないと
住み続けるのが大変です。
 
自身もR高校の先生の「いい高校よ。」の言葉に、
「そうですね。落ちこぼれなければね。」と返事したら、
「〇〇は大丈夫。」苦笑い。
 
そう。この先生も娘のクラスを2ヶ月教えただけで、今週で教職を離れてしまう。
 

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住宅費の高騰と教員の収入の低さで、教員の減少が進んでいて、
いい学校と言われるR高校でも、パタパタと辞めて行く。
 
去年の次男のコンピューターテクノロジーの授業は、元々数学の先生の兼任で、
説明は一年通して「全部、サイトを読みなさい。」
息子の友達が、中国人の先生だから英語でちゃんと説明できないんだ、と
怒りながら教えてくれた。
 
R高校は、NZ最大の高校で生徒数が多いから、
しっかりついていかないと落ちこぼれる。
 
長男の入学した8年前と次男の4年前と比べて、
最近は「いい先生に当たる」ことがすごく大事。
 
子供にちゃんと指導してもらえるように、印象薄くならないよう
親も熱心さをアピールすることが、特に高校5年間は大事だと、痛感しています。
 
R高校には、ノンネイティブの生徒も多いのだけど、
担任の言ったように手厚いサポートが必要な子は、
L高校を選ぶ方がいいと思うのです。
 
親の行かせたい学校、じゃなくて子ども自身に適した所を。
 
 
なぜそう感じるかというと、
それは、NZで生まれ育ったにもかかわらず、英語がネイティブのように
身についていないアジア人をたくさん知っているからです。
 
夫はこの約10年で、8校しかないNZの大学のうち3校で教えた経験があって
現在も2校やそれ以外で、ノンネイティブを中心に
アカデミック英語を教えています。
 
長年英語教育を受けてきたのに、思うように上達していない人たちを、
たくさん見てきているのです。
 
現実に。日常的に。
 
 
そして、思春期20代、30代になっても、
自分に自信がなかったり、引け目を感じたり、
時には、もっと重苦しい気持ちでいたりするのです。
 
このことは、またの機会に書きますが、
たいてい親に隠していることが多いようです。
 
 
 
私は30年近く言語を教える夫の横で、
数多くの生徒を見てきて、25年以上になります。
 
日本でも子育てをして、
NZの幼稚園から大学まで、3人の子を育てて、
義務教育以降の教育事情を、現場で熟知している夫が家族にいるからこそ、
長いプロセスで、子どもや人の成長を見つめられて、わかることがあります。
 
親や学校から、適切なサポートが受けられていないから抱える痛みに、
気づいた時は、私たちもつらいです。
 
 
先日は、夫を車で迎えに言った時に、
夫が以前教えた中国人学生が歩いていたので、
夜遅く寒いこともあって、家まで送ってあげました。
 
NZで育って、いい高校と言われるWB高校にも通ったそうだけど、
英語はネイティのようにはなっていなかった。
この前遊びに来た、長男の日本の小学校の友達の英語の方がずっと上手で。
 
 
長男は、小学校6年生まで日本で過ごしたので、
英語を本格的に始めたのは、NZの中学校の1年目のYear 7からだったけど、
ESOLで学んだのはその年1年間だけで、次の年からESOLはしませんでした。
それで、彼はネイティブ向きのR高校を勧められたのでしょう。
 
でもNZに来たばかりの1年目は、
自分から先生に、ネイティヴの生徒と同じ宿題を出してもらっていたそうで、
毎日夜遅くまで、勉強していました。
私も慣れない新生活と、幼稚園と小学校に行き来しながら、疲れていたけど
とても先に寝ることはできない。
 
お父さんが先生だから教えてもらえるからいいと、思われるかもしれないけれど、
本人は頑としてお父さんから教わるのを拒否してて、
自分の力で周りに追いつこうとしていました。
無駄に頑固で、ほとほと困りましたが
私のサポートは聞いてくれていたので、一緒に夜遅くまでつきあっていました。
 
我が家では、家族に言語学のプロがいても、
工夫して、学校の指導以上のことをしてきました。子供が生まれてからずっと。
 
日本では日本語を、NZでは英語を、言語の基軸にするために。
 
移住してきたアジア人のご家庭では、英語を基軸言語にするために
どんな秘策・対策を取っているのでしょう?
 
自分の能力を発揮するだけの英語力が、十分についていない生徒たち、
子どもの適切な環境を選ぶより、親の都合が優先される家庭を見るたび、
ギモンに思います。
 
高校選ぶ時に、子どもに合うところではなく親の希望で進める場合は、
  • 高校5年間、学校が求める以上の勉強のサポートができる高い英語力が親自身にあるのか?
  • 多忙な教師たちから自分の子にあった指導を引き出す、コミュニケーション能力が親自身にあるのか?
  • 大丈夫と言われる事の大部分が「大丈夫じゃない」NZ生活において、「大丈夫と言われたけど、『実は』大丈夫じゃない」を見抜ける洞察力があるのか?
これらは高校に限ったことではないけれど、
この上の3つの点で、親御さん自身がやっていける確信があるのか、
まず自分たちに問い正すことが大事だと思います。
 
 
それにしても、末っ子がもう高校に行くとは…
こないだまで、ちっちゃいヒヨコみたいだったのになあ。
 
早いなあ。

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Bittersweet な訳。

NZに移住してからよく聞かれる
 
「ニュージーランド、好き?」
 
見知らぬNZerには「YES」と答えるものの、心の底からの言葉じゃない。
 
 
同じ移民でも、母国の生活環境が劣悪だったり
夜中の物音を「襲われるんじゃないか」と怯えて暮らしてきた国の人たちには
NZの方が明らかにいいわけで、「YES」というその返事も明るい。
 
 
でも、ヨーロッパや北米とかからの移住者と二人っきりになって話すと
ちょっと違う。
 
 
ある日、アメリカから移住して来た彼女は、初めて会った私の
NZ好き?という問いにこう答えた。
 
「…うーん、半分半分かな…。住んでみたら、なんか聞いてたことと違うじゃんって。」
 
ほんとは彼女の方から先に、私にNZ好きかどうかを聞いてきた。
 
今は心から好きとは言えないな、という私の返事に
 
饒舌になってきた彼女は
あの時、彼女自身のモヤモヤを共感できる
 
誰かの言葉がほしかったんじゃないだろうか。
 

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東京で私は、イギリス人の夫との間に3人の子供達に恵まれて
「子供たちは、日本とイギリス(英語圏)の両方で育つ権利がある」という
夫婦共に強い思いがあった。生まれる前から。
 
 
子育て前半を豊かな文化の日本で過ごし、いざイギリスに移ろうとしたのだけど
夫の母国イギリスは、子育てするには治安が悪かった。
 
まだ小さかった時にあった友人の子供まで、殺人事件に関わるような。
 
荒れたロンドンで育った夫でも、帰国を思いとどまって
友人たちも「戻ってきてほしいけど、戻ってくるな。」というほどだった。
 
そして、一か八かで、NZの永住権を申請してみたら許可が下りたので
オークランドに移住した。
 
あっという間に、10年目に突入した。
 
NZでの子育ても10年ほどなので、子供たちの仲良しを通じて
ママ友達やその家族もひっくるめて、お互い助け合っている。
 
周りのママ友達は、ほとんどキウイやヨーロッパからの移民なのだけれど
のんびりNZで、のほほんと子育てしているか?っていうとそんなことは全然ない。
そんなこと言ったら、みんなきっと怒る。
 
我が家も子供のためにあれこれ考えて、がんばっているけど
周りには本当に長い間努力している人たちがいる。
 
だからしんどい時は、お互いになぐさめたり、励まさずにはいられない。
キツイのが少し和らいで、なんとか乗り越えられるように。
 
子供の教育に悩んだり、先生や学校と話し合ったり、もめたり
子供のいいとこ伸ばそうと、伸ばして将来自立していけるようにと
みんな一生懸命なのだ。
 
それは、どこにいてもおんなじじゃないだろうか。
日本でも。のんびりっぽいNZでも。他の国でも。
 
NZの生活を書いていくのに、いいことだけを書いていくのは
私にとっては、ウソだ。
 
暮らして見たら「なんか違う。」ってかなり多くの移民が思うのは
苦い部分を、移住前に知る機会が少なかったからじゃないだろうか。
 
それに私たちは、夫の方が特にそうだけれども
NZで生まれたり育ってきたりしてきた移民の子供たちから
 
英語のレベルが、環境・能力・仕事に十分だったり
自分の納得するレベルに達していないという悩みをたくさん聞く。
 
それはほとんどがアジア人だ。
その悩みの中には、かなり深刻な場合もある。
 
英語習得の明るい「成功例」は表に出やすいし、移民が信じたいこと。
「うちの子は、うまくやっているんだ。」と。
 
英語力がネイティヴのように身についていない
あるいは英語も母国語も中途半端な状態は、表には出にくい。
ほとんどが隠しているし、「親には言っていない。」から。
 
両方の言語が中途半端なのを「ダブルリミッテッド」というらしく
この呼び名を好まない人もいるようだけど、好き嫌いに関わらず
こういう状態に苦しんでいる人たちがいるわけで
 
その苦しさを聞いて明かされるたびに、本当に気の毒でならない。
親は何してきたの?
 
いろんな人たちの、たくさんの苦い思いを隠せない。隠すのは、ウソだ。
 
だから、苦しいのも、楽しいのも、書き残していこうと思う。
 
 
 
 

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